「家でできる副業を探している」
「テープ起こしって未経験でもできるの?」
「テープ起こしの報酬相場ってどれくらい?」
これからテープ起こしを始めようと思っている方は、このような悩みをお持ちではないでしょうか。
テープ起こしは在宅でもできるお仕事ですが、取り組みやすそうなイメージがある一方、知っておくべきポイントがいくつかあります。
この記事では、初めてテープ起こしをする方が知っておくべき基本知識から報酬相場、仕事の探し方まで、わかりやすく解説していきます。
テープ起こしとは?

テープ起こしとは、音声データ(録音された会議、インタビュー、講演、動画など)を聞き取り、その内容をテキスト化するお仕事です。「文字起こし」「書き起こし」などと呼ばれることもあり、さまざまなシーンで活用されています。
テープ起こしが必要なシーンって?
テープ起こしは、以下のようなシーンで活用されています。
- ビジネス
- インタビュー・スピーチ
- 講義・セミナー
- メディア・コンテンツ制作
企業では会議の議事録作成はもちろん、研修やセミナーの記録を残したり、プレゼン資料の素材として音声を文字化したりする際に利用されています。
また、テープ起こしは各種コンテンツを制作する際にも有用です。テキスト化されたインタビューやスピーチの内容をもとに作成するだけでよいからです。
例えば、動画の字幕作成やポッドキャストの要約、記事や書籍の原稿作成、テレビ番組のテロップ作成まで、多様なシーンでテープ起こしが活用されています。セミナーにおいても、講師の音声をテキスト化しておけば受講者が復習する際に便利です。
テープ起こし報酬の相場

テープ起こしの報酬は、クライアントと委託者間の交渉で決まります。委託者の経験値や提出する仕上げ方によって金額幅があるのが一般的です。
クラウドソーシング「ランサーズ」によると、報酬の相場の目安は、下記の通りです。(2025年7月時点)
要約 | 190 〜 260円 / 1分 |
素起こし・整文 | 150 〜 240円 / 1分 |
ケバ取り | 90 〜 200円 / 1分 |
参考:ランサーズをもとに作成
報酬は、作業時間や難易度によっても変動します。特に、「仕上げ方」によって必要な作業工数が変わり、手間のかかる方法で提出するほど、報酬が高くなる傾向があります。
それでは続いて、具体的な仕上げ方をみてみましょう。
テープ起こしの3つの仕上げ方
テープ起こしには、以下の3つの仕上げ方があります。
- 素起こし
- ケバ取り
- 整文
1.素起こし
「素起こし」とは、聞いた内容をそのまま文字にする仕上げ方です。例えば、「えー」「あのー」などの音声も省略せずに、聞こえるまま全てをテキスト化します。
このことから、素起こしはその場の雰囲気や話し手の息遣いが伝わりやすいといえますが、音声をそのまま文字で追わなければならず、若干読みにくい印象を与えます。
2.ケバ取り
「ケバ取り」とは、素起こしを元に不要な部分を削ってテキスト化する仕上げ方です。「えー」や「あのー」と言った部分を省くことで、素起こしよりも読みやすく整えられます。
3.整文
「整文」とは、ケバ取りしたものからさらに文章の表現などを変更し、読みやすく整える仕上げ方です。例えば、「ここは非常に重要です。テストに出るので」という言葉を「テストに出るため、この問題は非常に重要です。」のように、自然な文章に修正します。
質の高い整文を行うには、内容を正確に理解することはもちろん、該当分野の用語の知識が求められます。そのため、ライティングスキルだけでなく、リサーチ力も必要です。
初めてでもわかる!テープ起こしの基本的な流れ

仕上げ方によっても多少変わりますが、テープ起こしの基本的な流れは以下の通りです。
- 音声データの確認
- 聞き取りと入力
- 校正・整文
- 納品
1.音声データの確認
まずは、音声データを確認します。このとき、音質や話者の人数、専門用語などを事前に押さえておくと作業しやすくなります。
雑音が多い場合はノイズ除去機能のあるツールを使用するなどして、聞き取りやすい状態にすることが大切です。
2.聞き取りと入力
次に、専用ツールやPCのソフトを使って音声を聞きながらテキスト化します。まずは全体像を把握することに集中しましょう。音声データの主題と語り手の意図などを意識して取り組むと、不明瞭な部分も推測しやすくなります。
またタイピングスピードが気になる方は、AIを活用した文字起こしツールを活用するのも効率的です。
3.校正・整文
続いて、入力したテキストの校正・整文をします。この工程は、仕上げ方によって作業内容が大きく異なります。素起こしの場合は、誤字脱字のチェックのみで完了です。
ケバ取りや整文形式での提出の場合は、「えー」「あのー」などの不要な言葉を削除し、自然で読みやすい文章に整えます。そして、書き起こしが終わったら、黙読や音読を行い、誤りがないかを確認してみてください。
4.納品
最後に、クライアントから指定されたファイル形式(Word、テキストファイルなど)やレイアウトなどを確認し、体裁を整えて納品します。提出前には、黙読や音読を行い、誤りがないか最終確認してください。
このように、テープ起こしは工数のかかる作業でスキルも求められますが、いくつかスキルアップを意識するだけで作業の効率化が可能です。次章でみてみましょう。
テープ起こしで気をつけること

テープ起こしを正確かつ効率的に進めるポイントは、以下の3つです。
- タイピングスキルの向上
- 語彙力やライティングスキルの向上
- 文字起こしツールの活用
まず、作業スピードの向上と正確性を上げるためにタイピングスピードを上げましょう。正確なタイピングは作業の時短になるだけでなく、誤字脱字を防ぎ、最終確認・修正対応もしやすくしてくれます。
次に、語彙力やライティングスキルも必須です。話者の意図を正確にとらえて文章に変換するスキルを身につければ、聞き手にとって理解しやすい、質の高い文字起こしができるようになります。
最後に、文字起こしツールを活用することです。ツールの自動文字起こし機能を使えば、納品物の元となるたたき台を作成する時間を短縮できます。人の耳では聞き取れない音声でも文字化でき、繰り返し聞きながら内容を推測して作業できます。
ただし、どのようなツールがあるのかわからない方もいるでしょう。次項でおすすめツールをご紹介します。
テープ起こしが初めての方におすすめのツール①無料ツール
テープ起こしを効率化にするツールには、無料・有料のサービスがあります。
まずは無料で使用できるおすすめツールをまとめてみました。
ツール名 | 主な特徴 | 無料プラン/お試し | 主な有料プラン (月額目安) |
Notta | リアルタイム、多言語(100+)、話者識別、AI要約 | 月120分まで無料 | 1,185円~ (年払い) |
AutoMemo | 高精度(98.9%)、録音同時文字起こし・要約、専用レコーダー連携 | 月1時間まで無料 | 1,480円~ (月払い) |
文字起こしさん | 最新AI高精度、短時間処理、辞書機能 | 毎日10分まで無料 | 1,100円~ (月額) |
Rimo Voice | 日本語特化、雑音除去、字幕データ出力 | 無料トライアルあり (時間制限) | 1,500円~ (税抜, 年契約あり) |
toruno | 会議の文字起こし+録音+画面キャプチャ、法人向け | なし (有料サービス) | 9,000円~ (税抜, 月30時間) |
スマート書記 | AI議事録特化、自動要約、使えば使うほど高精度化 | なし (法人向け) | 10,000円~ (AIパック別途) |
AI GIJIROKU | Zoom連携、リアルタイム翻訳、高精度(99.8%) | 閲覧のみ無料 (収録不可) | 1,500円~ (税込, 月100分) |
気になるツールがある方はサービス名のリンクをクリックし、公式サイトをご参照ください。
【難易度低い順】テープ起こしの仕事探し
テープ起こしの仕事は、さまざまな方法で始めることが可能です。本章では、難易度が低く挑戦しやすい順にご紹介します。
1.【クラウドソーシング】クラウドワークス

画像引用:クラウドワークス
「クラウドワークス」は、日本最大級のクラウドソーシングサイトです。「テープ起こし・文字起こし」カテゴリだけでも2,300件もの求人があります。(2025年7月現在)
クラウドソーシングサイトの大きな特徴は、「初心者でも始めやすい」という点です。一方で、低単価の案件が多いという現状もあります。
まずは、案件の多いクラウドワークスで経験を積み、実績を重ねてから、他の専門業者の求人や高単価の案件にチャレンジするのがおすすめです。
2.【クラウドソーシング】ランサーズ

画像引用:ランサーズ
「ランサーズ」も、クラウドワークスと並ぶほど規模の大きいクラウドソーシングサイトです。実際に利用していた方によると、全体的な案件数は豊富で、特にデータ入力など初心者でも始めやすい仕事が多いとのことでした。
全案件19,629件のうち、「未経験」で検索すると520件確認できました(2025年7月時点)。テープ起こしの場合公募の案件自体もあまり多くない傾向ですが、親和性の高い仕事を受注しながら、スキルアップを目指せます。
例えば、ライティングの案件で文章力やタイピングスキルを磨きながら、実績を積むことです。ワーカーの等級が上がって受注しやすくなるうえ、既存のクライアントにテープ起こしも対応していることをアピールすれば指名依頼も期待できるでしょう。
3.【オンラインアシスタント】フジ子さん
「フジ子さん」は、完全在宅で業務を行うオンラインアシスタントサービスです。テープ起こしだけでなく、経理、労務、人事、Webデザインなど、在宅で可能なさまざまな業務をオンラインでサポートします。
フジ子さんの特徴は以下の3つです。
- 完全在宅でできる
- チームで連携して業務を行う
- これまでの経験やスキルを生かせる
テープ起こし専門の求人よりは、オンラインアシスタント業務の一環としてテープ起こしの依頼がある場合があります。
4.【オンラインアシスタント】HELP YOU

画像引用:HELP YOU
「HELP YOU」は、クライアントがコア業務へ注力できるよう、日々の業務をオンラインでサポートするサービスです。HELP YOUにフリーランスとして所属して業務を行い、報酬は1カ月のトータル稼働時間×時間単価によって決定します。
テープ起こし(文字起こし)の案件はもちろん、秘書・総務、経理、人事、マーケティング、ECサイト運用など多岐にわたる業務に対応しており、自身のスキルアップにもつながるでしょう。
基本的に経験者を募集しているため、これまでのスキルを生かしたい方におすすめです。お子様がいる方が多く所属しており、柔軟な働き方が可能です。
5.【オンラインアシスタント】ビズアシスタントオンライン

画像引用:ビズアシスタントオンライン
「ビズアシスタントオンライン」は、クラウドワークスが運営するオンラインアシスタントサービスです。他のオンラインアシスタントサービスと比べて、テープ起こし(文字起こし)案件を含め比較的簡単なお仕事が豊富な点が特徴です。
ビズアシスタントオンラインでは、月30時間稼働などの案件もあり、隙間時間でも無理なく働けます。また、契約の前にクライアントとクラウドワークス担当者を含めた三者面談があるため、安心して仕事を始められるでしょう。
6.【求人サイト】Indeed

画像引用:Indeed
「Indeed」は、日本最大級の求人サイトです。CMを見たことがある方も多いのではないでしょうか。テープ起こしだけでも100件以上(2025年7月現在)もの求人があり、さまざまな雇用形態や給与条件を比較できるのも魅力です。
「たくさんの求人を比較しながら選びたい」という方にはIndeedをおすすめします。
7.【求人サイト】求人ボックス

画像引用:求人ボックス
「求人ボックス」は、多くの人が利用する求人サイトです。働き方や雇用形態、勤務地などの条件を指定できるので、あなたにあった求人も見つかりやすいでしょう。
また、テープ起こしだけでも約250件(2025年7月時点)の求人があります。「自分に合った条件の仕事を見つけたい」という方には、求人ボックスがおすすめです。
8.【テープ起こし専門業者】テープリライト株式会社

画像引用:テープリライト株式会社
「テープリライト株式会社」は、音源のテープ起こしを行う会社です。会議録や学術講演、法廷での尋問内容など、多岐にわたる分野の音源から高品質な文字起こしを行います。
また、テープリライト株式会社のテープ起こしは「ただ文章に起こすだけ」ではありません。お客様目線でわかりやすく文章をまとめ、専門用語の徹底的なリサーチも求められます。
高い専門性と品質が求められるため、これまでの経験を活かしてスキルアップを目指したい方におすすめです。
【テープリライト株式会社求人情報】
こんな人におすすめ | テープ起こし上級者・レベルの高い仕事に対応ができる人 |
応募資格 | ・大卒以上
・事務文書作成あるいはライター・編集等の実務経験をお持ちの方 ・自宅にWindowsパソコンとブロードバンド環境(ウイルス対策済)をお持ちの方 |
雇用形態 | 業務委託 |
報酬 | 完全出来高制(原稿料は200字あたり50円からスタート) |
勤務地 | 在宅勤務 |
9.【テープ起こし専門業者】ナレッジデータサービス

画像引用:ナレッジデータサービス
「ナレッジデータサービス」は、データ入力・アンケート入力・集計代行サービスを行う会社です。在宅ワーカーとして応募し、合格すれば仕事がスタートします。しっかりとしたマニュアルがあるので、初心者でも安心して応募可能です。
「スピード」よりも「確実に納品する」ことを重視しているので、「テープ起こしの速さに自信がない」という方でもチャレンジできます。
【ナレッジデータサービスの求人情報】
こんな人におすすめ | マニュアル完備の元で仕事をしたい初心者 |
応募資格 | ・パソコンを使用した業務に関心のある18歳以上の方
・自宅にパソコンがあり、インターネット接続環境が整っている方で、1日に1回は、メールチェックができ添付ファイルの送受信ができる方 ・必要に応じて、1日4~6時間パソコンに向かえる方 |
雇用形態 | 業務委託 |
報酬 | 時給800円から900円程度(平均的な速度でこなした場合) |
勤務地 | 在宅勤務 |
10.【テープ起こし専門業者】東京反訳

画像引用:東京反訳
「東京反訳」は、会議や英語多言語、裁判法廷用音声など、各種音源をテープ起こしする会社です。
東京反訳には、以下の特徴があります。
- 案件が多い
- 12月~3月の繁忙期には通常単価に+5%割増
- 研修会、忘年会の開催など交流の場あり
魅力的な求人ですが、全くの未経験では、仕事を開始するための「トライアルテスト」合格は難しいでしょう。応募の前に、文字起こし講座・ドリル・テキスト等で基礎を学ぶことをおすすめします。
募集は不定期なので、こまめに情報をチェックしましょう。
【東京反訳の求人情報】
こんな人におすすめ | テープ起こし経験者・テープ起こしについてテキスト等で学んだ人 |
応募資格 | ・文字起こしの実務経験が1年以上の方
・文字起こし講座(通信教育含む)を受講済の方 ・ドリルやテキストできちんと勉強し、練習問題で高得点が取れる方 ・医療・医学についての知識がある方、関心がある方(医療系のみ)など |
雇用形態 | 業務委託 |
報酬 | 記載なし |
勤務地 | 在宅勤務 |
テープ起こし初心者によくある失敗例

テープ起こしは、一見簡単そうに見えますが、経験と技術が必要な仕事です。始めたばかりの頃は、以下のような失敗に直面することがあります。
- 時間がかかる
- 聞き間違いが多い
- 誤字脱字が多い
- 納期に間に合わない
これらは主に、スキル不足や作業時間の見積もり不足が原因です。
特に、作業時間の見積もり不足は初心者によくある問題と言えるでしょう。10分音声のテキスト化に2〜3時間かかることも珍しくありません。短い案件から始め、ご自分の作業時間を把握しましょう。
また、聞き取れない箇所で作業が止まりがちですが、プロは印をつけて先に進み、後から文脈で推測します。さらに、「ケバ取り」や「整文」といった仕上げ作業、表記のゆらぎや読みにくいレイアウトにも注意が必要です。
まずは、短い音声のケバ取りから経験を積み、テープ起こし専門のガイドブックや各クライアントが定める表記ルールなどで表記統一を心がけましょう。失敗を避けるには、焦らず丁寧な作業と、余裕を持ったスケジュールで案件を受けることが何よりも大切です。
最初のうちは焦らず、丁寧な作業を心がけてください。
まとめ

テープ起こしは、特別な資格がなくても始められる在宅ワークとして、初心者にもおすすめの仕事です。作業に役立つツールを上手に活用すれば、効率的に作業を進められるでしょう。
ただし最初は時間がかかったり、報酬が低かったりするかもしれません。しかし、経験を積むことで着実にスキルアップが可能です。まずは、一歩を踏み出してみましょう。
「副業として収入を得たい」「自分のペースで働きたい」あるいは「ライティングスキルを向上させたい」という方は、テープ起こしにも挑戦してみてください。