業務改善を進めるうえで「どこに問題があるのか」を正しく把握することは欠かせません。しかし現場では「何が問題なのか分からない」「どこから改善すればいいのか決められない」と悩む声も。そんなときに必要なのが、業務の問題や非効率な部分を丁寧にあぶり出す“問題点の洗い出し”です。
本記事では、問題点の洗い出しが業務改善においてなぜ重要なのか、その意味や具体的な手法、注意点、実際の事例までをわかりやすく解説します。
目次
業務改善における問題点の洗い出しとは
業務改善を進めるうえで、最初のステップとなるのが「問題点の洗い出し」です。改善を図るには、現状を正しく把握し、非効率な部分や見えにくい問題点を明らかにする必要があります。目に見える業務の流れだけでなく、その裏にあるムダや属人化、重複作業などを可視化することで、具体的な改善につなげることができるでしょう。
こうした問題点の洗い出しが不十分なまま施策に進んでしまうと、本来注目すべき原因を見誤り、現場に混乱を招いたり、期待した効果が得られなかったりする恐れがあります。たとえば「作業が遅れている」といった現象に対し、単に「もっと早くやろう」と対処するだけでは、根本的な解決にはなりません。重要なのは、なぜ遅れているのか、どこに業務の滞りがあるのかを丁寧に掘り下げることです。
問題点を正確に捉えれば改善の方向性が明確になり、実行しやすい対策につながります。また、関係者間で認識を共有しやすくなり、協力も得られやすくなるでしょう。逆に、問題点が曖昧なままでは、改善策が空回りし、取り組み自体が形骸化してしまいかねません。
業務改善の成果を高めるには、何を直すべきかを明確にすることが不可欠です。その意味で問題点の洗い出しは、業務改善全体の質と効果を左右する重要なプロセスといえるでしょう。
問題点の洗い出しが重要な理由
業務改善を成功させるには、「何を変えるか」を明確にすることが重要です。その土台となるのが、問題点の洗い出し。問題を正しく把握できていなければ、施策の方向性がずれたり、対処すべき部分を見誤ったりするリスクがあります。
ここでは、なぜ問題点の洗い出しが業務改善において重要なのか、その理由を3つの視点から解説します。
目的が明確になりやすくなる
問題点の洗い出しはゴールが曖昧なまま進めると、関係者の認識がずれたり、対策が的外れになったりするリスクがあります。それを防ぐには、問題を具体的に言語化し、関係者間で共通認識を持ちましょう。
例えば「作業が遅い」という問題点があっても、原因が人員不足なのか、手順の複雑さなのか、情報伝達の問題なのかによって、対策は異なるものです。洗い出しによってボトルネックを特定できれば、改善の方向性と目的が明確になり、取り組み全体に一貫性が生まれます。
解決策の的確さ・実行力が高まる
業務改善で成果を上げるには、対策を導入する前にそれが本当に必要な施策かどうかを見極めることが重要です。問題点を丁寧に洗い出しておけば、改善策は現場の実態に即した無駄のないものになります。
例えば「作業効率が悪い」と感じても、その原因は工程の重複や不要な承認、属人化などさまざまです。表面的な問題だけを見て対処すると、根本原因が残り、再発を招く恐れがあります。
無理のない内容であれば協力も得やすく、結果として施策の実行力と継続性が高まるはずです。問題点の洗い出しは、的確な改善の土台として欠かせない工程といえます。
チーム内の認識共有・納得感が得られる
問題点の洗い出しは、改善の方向性を定めるだけでなく、関係者全員の理解や納得を得るためにも重要です。業務改善は個人ではなくチームで取り組むものだからこそ、問題を共通の言葉で認識し合うプロセスが必須です。
例えば、同じ「非効率」という言葉でも、誰が・どこで・何に対してそう感じているかは人によって異なるもの。洗い出しによってそれらの認識を整理し、可視化することで、チーム全体で「何を改善すべきか」を共有できるようになります。
また、現場の声をもとに問題点を洗い出すことで、関係者にとっても「自分ごと」として捉えやすくなり、改善への納得感や協力体制が自然と生まれます。こうした共通認識が、改善策の実行力と継続性を支える基盤になるでしょう。
問題点の洗い出し手法と進め方

問題点の洗い出しは、感覚や勘に頼って行うものではありません。現場の状況や業務内容に応じて、効果的な手法を選び、一定のプロセスに沿って進めることが重要です。
ここでは、実務で活用されている代表的な5つの洗い出し手法をご紹介します。
手法①:ヒアリングと現場観察
ヒアリングと現場観察は、もっとも基本的で実践的な問題点の洗い出し手法です。実際の担当者に話を聞き、作業の様子を直接見ることで、日常業務に潜む問題を把握できます。
ヒアリングでは、複雑な手順や承認の遅れなど、現場ならではのボトルネックが明らかになります。一方、観察では、本人も気づいていない非効率や無駄が見えてくるでしょう。同じ入力作業の繰り返しや紙の資料のやり取りなどは、外から見てこそ問題だと気づけることがあります。
多少の手間はかかりますが、現場の実態に基づいた問題をつかめるこの方法は、信頼性の高い改善の起点になります。
手法②:なぜなぜ分析
「なぜなぜ分析」は、問題の根本原因を掘り下げて見つける手法です。1つの問題に対して「なぜ?」と繰り返し問いかけることで、表面的な現象の奥にある本質的な要因を明らかにしていきます。
例えば「作業ミスが多い」という問題に対し、「なぜミスが起きるのか?」と問い、その答えにさらに「なぜ?」を重ねていくことで、マニュアルの不備や工程の複雑さなど、背景にある構造的な問題にたどり着けるでしょう。
手法③:業務フローの可視化と整理
業務フローの可視化は、作業の流れを図や表にまとめて全体像を把握し、問題を見つけるための手法です。誰が、いつ、何をしているかを線で結んで整理することで、無駄な手順や重複作業、確認の遅れなどが見えてきます。
例えば、同じような作業を複数の担当者が別々に行っていたり、不要な承認が工程に組み込まれていたりする場合、図にするとすぐに分かります。現場の感覚に頼らず、業務全体を客観的に見直せる点が大きな利点です。
特に、部署をまたぐ業務や複数人が関与するプロセスでは、可視化によって認識のズレを防げます。紙でもツールでも構いません。まずは業務を見える形にすることが、改善への第一歩です。
手法④:フレームワーク活用
問題点を効率よく漏れなく洗い出すには、業務改善で使われるフレームワークを活用するのが効果的です。フレームワークは思考の整理や分析を助ける“型”で、問題の焦点を自然に絞り込むのに役立ちます。
例えば「ECRSの原則」は、作業を「排除・結合・再配置・簡素化」の視点で見直すもので、製造現場からバックオフィスまで幅広く活用されています。ほかにも、「4M分析(ヒト・モノ・カネ・情報)」や、業務を分解して見直す「業務分解図」なども有効です。
これらを使えば、主観に頼らず、チーム全体で共通の視点を持って問題を洗い出せます。特に、初めて改善に取り組む現場でも、思考の土台として機能し、業務全体を体系的に見直す助けになるでしょう。
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手法⑤:問題点 洗い出しシートやフォーマットを活用する
問題点を整理するには、専用のシートやフォーマットを使うのもおすすめです。問題を一元管理でき、抜けや重複を防ぎながら体系的に整理できるでしょう。テンプレートを使えば記録の迷いも減り、複数人での共有や打ち合わせにも活用しやすくなります。
代表的な形式には「問題・原因・影響・改善案」を並べて記入する4項目フォーマットや、部署や業務プロセスごとに分類する表などがあります。ExcelやGoogleスプレッドシートを使えば、担当者や優先度、対応状況も記録でき、進捗管理にも応用可能です。
こうしたフォーマットを使うことで、感覚ではなく、誰が見ても理解しやすいかたちで問題を「見える化」できます。初めて改善に取り組む現場や小規模チームにも取り入れやすいでしょう。
問題点の洗い出しを行う際のよくある失敗
問題点の洗い出しは業務改善の第一歩ですが、やり方を誤ると、かえって改善の妨げになることもあります。特に、原因の深掘りが甘いまま問題を列挙してしまったり、担当者の主観だけで判断してしまったりすると、本質的な問題を見落とす可能性が高まります。
ここでは、実際によく見られる失敗のパターンをご紹介しながら、問題点の洗い出しを効果的に行うための注意点を整理していきます。
問題の“表層”だけで止まる
問題点の洗い出しでよくある失敗は、表面的な現象だけを取り上げて原因を深掘りしないまま改善に進んでしまうことです。例えば「作業が遅れている」とだけ捉えて、「もっとスピードを上げよう」と指導しても、根本的な解決にはつながりません。
重要なのは、なぜ遅れているのかという背景に目を向けることです。属人化、ツールの使いづらさ、工程間の連携不足など、複数の要因が絡んでいることも少なくありません。表層の問題にだけ対処すると、対症療法に終わり、同じ問題が再発しやすくなります。
担当者の主観に偏る
問題点の洗い出しが、特定の担当者の感覚や印象に依存して行われると、客観性が欠け、重要な問題を見落とす可能性も……。例えば、「作業が多すぎる」といった指摘も、実際には業務量ではなく手順の非効率が原因である場合があります。
主観だけでは、他の関係者が同じように問題として認識していないケースもあり、改善の優先順位や対応策にずれが生じやすくなってしまうものです。洗い出しを行う際は、複数の視点から情報を集め、データや業務フローなど客観的な根拠と照らしあわせて整理することが重要です。
改善よりも“誰のせいか”探しになってしまう
問題点を洗い出す際に、「誰が悪いか」という視点に偏ると、改善の目的がすり替わってしまいかねません。責任追及が中心になると、関係者の協力が得られにくくなり、現場の雰囲気も悪化します。
業務改善は個人を責めるためではなく、仕組みやプロセスを見直し、組織として効率を高めるためのもの。特定の担当者だけに原因を押しつけず、業務全体の流れや環境に目を向けることが、建設的な改善につながります。
問題点の洗い出し後にすべきこと3選

問題点を洗い出した後、その情報をどう活用するかが業務改善の成果を左右します。ただ問題を可視化しただけでは、改善にはつながりません。洗い出した内容をもとに、現実的かつ優先度の高い問題から着手することが重要です。
ここでは、洗い出し後の具体的なアクションとして取り組むべき3つのステップをご紹介します。
問題の分類と優先順位付け
洗い出した問題点は、そのままでは数が多く、何から手をつけるべきか判断が難しい場合があります。そのため、最初に行うべきなのが「分類」と「優先順位付け」です。
分類では、業務内容・関係部署・原因の種類などに応じて問題を整理しましょう。例えば「作業フローの問題」「人的ミス」「情報共有の不備」など、共通点でグループ化することで、全体像がつかみやすくなります。
次に優先順位の判断基準としては、業務への影響度、改善による効果の大きさ、対応にかかる工数などを指標にするとよいでしょう。限られたリソースの中で効率よく改善を進めるには、「すぐに着手すべき問題」と「後回しでもよい問題」とを見極めることが重要です。
実行可能な改善策の選定
問題を分類・優先順位づけしたあとは、現場で無理なく実行できる改善策を選定してください。理想論だけで組まれた改善案は、現場に定着せず、結果的に形だけの取り組みになってしまう恐れがあります。
改善策を検討する際は、「現行の業務体制で実行できるか」「すぐに取り組めるか」「効果が明確に見込めるか」といった観点で現実的な選択を心がけましょう。例えば、属人化の解消を図る場合、いきなり大規模なシステム導入を検討するのではなく、まずはマニュアルの作成やFAQの整備といった、小さな施策から始める方が実行しやすく効果も見えやすくなります。
また、関係者の協力が不可欠な施策は、事前に関係部門と合意を取るなど、調整プロセスも見込んだうえで計画を立てるとスムーズです。
効果検証と見直し
改善策を実行した後は、それが実際に効果を発揮しているかどうかを必ず検証する必要があります。改善の成果が曖昧なままでは、次の問題が見えず、継続的な改善につながりません。
効果検証では、事前に設定した目標や指標(例えば処理時間の短縮率やミスの発生件数など)と、実施後の実績を比較しましょう。その結果をもとに、うまくいっている点と問題の残る点を整理し、必要に応じて施策の微調整や新たな改善案の検討を行います。
見直しは一度きりで終わらせず、一定のサイクルで行うのが理想です。PDCA(計画・実行・評価・改善)のような継続的な改善サイクルを意識することで、業務改善が一過性の取り組みではなく、組織に根付いた文化として定着していきます。
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自力での改善が難しいと感じたら

業務改善は自社のリソースだけで取り組めることも多いですが、すべてのケースでそうとは限りません。問題が複雑だったり、業務全体を俯瞰する視点が不足していたりする場合、どうしても限界を感じる場面があります。
そのようなときは、外部の支援やツールの活用を選択肢に入れることで、改善のスピードや精度を高められます。ここでは、実際にどのような支援があるのか、オンラインアシスタントの活用例を含めてご紹介します。
外部支援を活用する選択肢
業務改善を進める中で、問題の整理や改善案の検討がうまく進まない場合は、外部の力を借りるのも有効な手段です。自社だけでは気づきにくい視点を取り入れられ、問題の可視化や実行支援をスムーズに進められる利点があります。
例えば、改善の経験が豊富な専門家やサービスに相談すれば、短期間で現状の問題を整理し、具体的な施策につなげることが可能です。全体を委託せずとも、洗い出しの段階や実行支援のみを部分的に依頼する方法もあります。
必要に応じて外部をうまく活用することで、業務改善の負担を減らし、成果を早めることができるでしょう。
「フジ子さん」のようなオンラインアシスタントの活用

外部支援の中でも、手軽かつ柔軟に導入できる選択肢の1つが、オンラインアシスタントの活用です。例えば「フジ子さん」は、事務作業や業務整理のサポートをリモートで行うサービスで、業務改善の現場でも活用が進んでいます。
オンラインアシスタントは、現場の業務状況をヒアリングしながら、業務の可視化や問題の洗い出しを第三者視点でサポートしてくれます。自社のリソースでは見落としがちな業務の重複や非効率を発見し、改善提案までつなげてくれる点が大きな特徴です。
また、業務そのものの一部をアウトソースすることもできるため、「洗い出しと改善」を同時に進めやすくなるメリットもあります。特に、人手不足やノウハウの不足に悩む現場にとっては、無理なく実行できる実践的な支援手段といえるでしょう。
客観的な視点での可視化・洗い出し支援のメリット
外部の支援を受けることで、自社では見過ごされがちな問題に気づけることも。利害関係のない第三者だからこそ、感情や前提にとらわれず、業務をフラットに観察・分析できます。
また、問題の整理や可視化に慣れた支援者であれば、要点を的確に押さえたヒアリングや業務の棚卸しが可能です。結果として、問題点が明確になり、優先順位をつけた改善につなげやすくなります。
まとめ
業務改善の成否は、改善策そのものよりも、最初の「問題点の洗い出し」に大きく左右されます。問題を正しく捉えられていなければ、どれほど手を尽くしても成果にはつながりません。
本記事では、洗い出しの重要性、具体的な手法、注意点、そして改善後に必要な行動までを段階的に解説しました。これらを参考にすれば、現場の実情に合った実践的な改善が進めやすくなるはずです。
もし自社だけで取り組むのが難しいと感じたら、第三者の視点や外部の支援を柔軟に活用することも選択肢に入れてみてください。丁寧な洗い出しと着実な一歩から、業務改善の成果は着実に積み上がっていくでしょう。

















