通勤の時間やストレスがなくなり、多様な働き方を実現できる在宅勤務。メリットは大きく、働き方改革やコロナ禍を受けて実施する企業が増えています。
しかし問題もあり、その一つとして勤怠管理が挙げられます。オフィスに通って仕事をするという従来の形態とは違うため、今までと同じ方法でというわけにはいかないのです。
そこで今回は、在宅勤務の勤怠管理について、その課題や解決策を解説していきます。
在宅勤務の勤怠管理┃よくある課題
というわけで、まずは在宅勤務の勤怠管理でよくある課題を見ていきましょう。
打刻が自己申告になる
1つめは、打刻が自己申告になる点。
オフィスだと出退勤時にタイムカードやICカード等を使うことで、打刻に一定の正確性を担保できます。会社にいる間を労働時間とする”みなし制”が適用できるからですね。
しかし、出退勤のない在宅勤務では、打刻の正確性が従業員個人に大きく依存します。
実際に未申告の労働は多々発生しており、日本労働組合総連合会の調査によると「テレワークで、残業代支払い対象の時間外・休日労働をしても申告しないことがあった」と答えた人は、全体の65.1%にのぼります*。
このように、勤務時間を正しく管理しにくいのは在宅勤務の課題といえます。
中抜け時間が生じやすくなる
2つめは、中抜け時間の問題です。
中抜け時間とは、私用で業務から離れている時間のこと。在宅勤務の大きなメリットに、プライベートと仕事の両立がありますよね。病院へ行ったり、役所へ用事を済ませに行ったり、子供の送り迎えをしたり、オフィスにいると難しいことができるようになります。
その反面、私用中の時間をどう取り扱うかが課題になりやすいのです。
中抜け時間を休憩時間とするのか、時間単位の有給にするのか、フレックス制を導入するのか。社内で制度作りができていない場合、勤怠管理が煩雑になってしまいます。
申請書類のペーパーレス化
3つめは、申請書類のペーパーレス化です。
残業や有給、経費精算などの申請書類が紙の場合、提出や受け取りのために出勤する必要が出てきます。テレワークのために出勤する人が出てくるわけで、本末転倒です。
これを避けるには書類のペーパーレス化が不可欠。あわせて、少なくとも社内向けの印鑑も電子化しましょう。
都内企業の75%がペーパーレス化を行っているという調査もありますが、まだの企業は早急に仕組みを整えなければなりません*。
*:ペーパーロジック/ペーパーレス化に伴う2021年度予算に関する意識調査
在宅勤務の勤怠管理をスムーズに行うには?
ここからは、在宅勤務の勤怠管理をスムーズに行う方法を紹介していきます。
打刻の問題の解決策
繰り返しになりますが、在宅勤務での打刻は自己申告。ですので、結局は従業員個人のモラル次第といえます。
よって企業が行うべきは、打刻のルール作りとその周知です。ルール作りのためには、まず打刻の手段を決めなければなりません。厚生労働省は以下の2つをとりあげています*。
1:メールや電話で始業・終業の時間を報告
2:勤怠管理システムを導入
1に関しては、その日の業務内容を日報にまとめて提出させている企業もあります。また、メールや電話の代わりに、Slackやチャットワークといったチャットツールを導入するのも良いでしょう。
2の勤怠管理システムは、近年ではインストールしなくて済むクラウド型が主流です。ジョブカンやマネーフォワードなどが有名ですね。打刻だけでなく勤務実績や休暇申請などを一元管理できるものメリットになります。
いずれかを選んだ上で、打刻はいつ行うか、イレギュラー発生時にはどうするかといったルールを整備しましょう。
ただし、あまりガチガチに従業員を縛るとかえってストレスになりかねません。必要以上に細かく報告させるのは避けるのが重要です。
中抜け時間の取り扱い方
中抜け時間の取り扱い方には、主に以下の3つがあります。
休憩時間とする
中抜けを休憩時間とする場合、
・開始と終了の時刻を早急に申告
・始業または終業時刻を前後にずらす
といったルール作りが必要です。オフィスでの休憩時間を参考にしてみると良いでしょう。
時間単位の有給とする
有給とする場合は、休憩ではないため始業・終業時刻のズレが起こりません。
ただし、有給の管理が煩雑になりやすいため、勤怠管理システムで勤務状況を一元管理するのがおすすめです。もちろん、申請のルール 作りも忘れずに行いましょう。
フレックス制を導入する
フレックス制とは、始業・終業時刻を自由に決められるシステムのこと。就業を義務付けるコアタイムも設けられます。
総労働時間を守れば従業員の裁量で働き方を決められるため、コアタイム以外は中抜けしやすい制度です。しかし、自由性が大きい分、従業員の自己管理能力が問われるともいえます。
ペーパーレス化に有効な方法
ペーパーレス化で手っ取り早く有効な方法は、Officeソフトの活用です。ワードやエクセル、googleドキュメント、googleスプレッドシートなどがありますね。
申請書類の場合、あらかじめテンプレートを定めておき、PDFの形で担当者へ送付してもらうようにしましょう。メールかチャットツールかも決めておかなければなりません。
また、確認や認可のための印鑑も電子化する必要があります。いちいち印刷していては意味がありません。Officeソフトの拡張機能や、シャチハタクラウドのような電子印鑑サービスを活用するのがおすすめです。
まとめ
今回は在宅勤務の勤怠管理について、課題と解決策を解説してきました。
勤怠管理の難しさは、在宅勤務導入を妨げる大きな要因です。導入後に悩む企業も多く、実施と改善を繰り返して最適化していく必要があります。
ぜひ本記事を参考に、スムーズな勤怠管理を実現していただければと思います。