【総務担当者向け】小さな業務改善策10選|効率化のアイデアと改善の進め方を紹介

企業の円滑な運営を支える総務部門は、突発対応も多いため、日々の忙しさに追われがちです。

「改善が必要だとわかっていても、どこから手を付ければいいのかわからない……」と悩む担当者も多いのではないでしょうか。

本記事では、小さな工夫でできる改善策10選に加えて、ITツールの導入やアウトソーシングの活用事例をご紹介します。改善プロセスや定着させる方法も見ていきます。

この記事を読むことで、日常業務にすぐ応用できる改善アイデアと、総務部門の業務改善を計画的に進める方法がわかります。

業務改善を通じて効率化や生産性向上を目指している方は、ぜひ最後までご一読ください。

総務業務に改善が必要な理由

総務部門は、会社全体の運営を支える重要な基盤です。庶務から人事・労務、設備管理、福利厚生まで業務範囲が広く、担当者に負担が集中しやすいのが現状です。

さらに、総務は「コスト削減」や「効率化」といった間接的な成果でのみ評価される傾向があります。

特に以下の3点は、総務部門が抱える代表的な課題です。

  • 業務の幅広さ
  • 突発対応の多さ
  • 属人化

これらは業務効率化を妨げる要因であり、早急な改善が求められます。総務の業務改善を進めるには、属人化を減らし、誰もがスムーズに働ける仕組みを整えることが重要です。

総務の業務改善がもたらすメリット

総務業務の改善は、作業を早くすませることだけにとどまりません。業務フローの見直しや標準化、IT活用といった改善策を組み合わせることで、時間・コスト・生産性の3方向からアプローチし、部門全体の業務効率化と労働環境の改善につなげられます。ここでは、代表的な3つのメリットをご紹介します。

時間を短縮できる

繰り返し発生する書類作成や承認フローを見直すことで、処理時間や待ち時間の短縮が可能です。従業員のサポートや職場の環境整備といったコア業務に削減した時間を再分配でき、業務の質を高めることにつながります。

例えば「1件あたりの処理時間」や「承認に要する日数」などの指標で可視化すると、改善後の手応えを実感し、共有しやすくなります。

コストを削減できる

紙の削減や備品発注ルールの標準化、保管方法の統一などをすることで、直接費と間接費を抑えることが可能です。ポイントは目先の費用だけでなく、運用コスト全体の最適化を意識すること。継続的に無駄が出にくい仕組みに変えることで、予算の予見性も高まり、経営判断の材料としても活用しやすくなります。

直接費

消耗品や運用にかかる費用(用紙代、郵送代、備品代など)

間接費

人件費や管理にかかる費用(工数・保管スペースなど)

生産性を高められる

業務マニュアルの整備や見える化・標準化を進めることで、特定の人の働きに依存する「属人化」が解消され、誰でも同じ品質・手順で進められるようになります。その結果、引継ぎや突発的な対応に応じやすくなり、品質の安定化と人的ミスの削減も実現。

マニュアル化で業務フォローが標準化されると、部門間の連携やリモート対応もスムーズになり、業務フロー全体の最適化と働きやすさの向上にもつながります。

小さな改善から始めよう|総務業務改善アイデア10選

ステップ

総務の業務改善がもたらすメリットをみてきましたが、いきなり大規模な改革を進めるのはハードルが高いものです。「小さな業務改善」なら低リスクで取り組め、成果を実感しやすくなります。ここでは、総務部門で取り入れやすい代表的な業務改善事例を10個ご紹介します。

改善アプローチ課題改善内容効果
運用の見直し毎日の社内便対応で手間が多い発送頻度を週数回に見直す作業負担を削減
郵送コストを削減
備品発注が担当者ごとに属人化している購入サイクルと発注ルールを標準化無駄な購入を防止
在庫切れを回避
休日や夜間も空調・設備が稼働している休日の運転停止やタイマー設定を導入電気代削減
環境負荷の低減
標準化・ルール化倉庫・共用部が散らかり探すのに時間がかかる5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)を実施探す時間を削減
業務効率化を実現
業務が人に依存しやすいマニュアル・FAQを整備属人化を防止
教育・対応を標準化
年次業務や締め切りを忘れやすい年間カレンダーとリマインド運用抜け漏れを防止
繁忙期の負荷を分散
システム導入・オンライン化稟議・申請に時間がかかるワークフローを紙からオンラインに移行承認スピードが向上
処理時間を短縮
契約書・文書の管理が煩雑電子化して保存方法を統一検索性が向上
保管工数を削減
会議室の二重予約や利用効率の低下予約管理表やシステムを導入二重予約を防止
稼働率を改善
自動化問い合わせの一次対応に時間がかかるフォーム+自動返信で一次受付を自動化担当者の工数を削減FAQ誘導で自己解決を促進

まずは「運用の見直し」や「標準化・ルール化」といった小さな工夫から始め、総務部門全体に「改善の土台」を築くことが大切です。その結果、仕組みを変える改善や外部リソースを取り入れる施策といった、本格的な改善へと発展させやすくなるでしょう。

なお、当ブログを運営する「フジ子さん」でも、小さな業務改善につながるサポートを承っています。。
フジ子さんによる総務業務の改善サポート例は、以下よりご確認ください。

【注意点付き】総務業務の改善事例を紹介

注意

小さな総務業務改善アイデアを見てきましたが、ITツールの導入やアウトソーシング・BPOを利用して業務の効率化を図る方法もあります。ここでは、総務業務の改善事例とあわせて解説します。

1.仕組みを変える改善|ITツール導入

総務業務の効率化を進めるうえで、ITツールの導入は欠かせません。ITツール導入により、定型業務の効率化だけでなく、リモート対応や部門連携の強化も可能になります。

ITツール導入で注意すべき点は、以下の3つです。

  1. 費用対効果を見極める
  2. セキュリティ対策を徹底する
  3. スモールスタートから始める

これらの注意点をふまえ、ここでは、実際にITツールを導入して業務改善を実現した企業の事例を見てみましょう。

事例1.総務主導でkintone活用範囲を拡大、業務スピードと内製化を推進

実際にITツールを導入して業務改善を実現した企業の事例をご紹介します。

【課題】    従来のワークフローシステムでは、申請・承認手続きが煩雑で、スマートフォンからの対応ができず、業務スピードが低下。また、各部門の業務が個別システムで管理されていたため、社内インフラの統一やデータ連携が進まず、システム改修の柔軟性にも課題がありました。
【導入内容】総務部主導で、実務に即したワークフローシステムをkintone上に構築。情報システム部門のエンジニアの技術支援を受けながら、kintoneの標準プロセス管理機能を活用して内製化を推進しました。スマートフォンからの申請・承認を可能にし、承認順番の通知を他のコミュニケーションツールと連携することで、進捗を視覚的に把握できるようになりました。さらに、電子契約サービスとのAPI連携によって契約業務をデジタル化。新たなシステム開発を行わずに、既存のkintone環境で業務効率化を実現しました。
【導入効果】・承認スピードの大幅な向上
・進捗状況の見える化で申告漏れを防止
・過去の申請履歴が検索可能になり、照会対応の手間を削減

参考:ZOZO | 事例 | kintone(キントーン)

事例2.Slack活用で生産性を向上、成長率20%を支える情報インフラを構築

次に情報共有の手段を構築し、定型業務のワークフローを自動化した事例をご紹介します。

【課題】    メール中心のやり取りにより、情報共有の遅れや見落としが発生。総務部門への問い合わせも分散しており、対応漏れや重複対応が課題でした。また、請求書処理や勤怠報告などの定型業務もメールベースで行われていたため、工数が膨大となり、コア業務を圧迫していました。
【導入内容】Slackのワークフロー機能やIncoming Webhooksを活用し、請求書処理や勤怠報告などの定型業務を自動化。また、リマインダーによる期日管理の徹底や、Googleスプレッドシート等との連携により、情報の抜け漏れを防止しました。コミュニケーション面では、オープンチャンネルを基本とし、部署横断でのリアルタイムな情報共有を促進。複数拠点・在宅メンバー間でもスムーズに業務が可能となりました。
【導入効果】・請求書処理の自動化により、月間約20時間の工数削減
・勤怠報告業務で、月間約216時間の工数削減
・ナレッジ検索時間を従来の1/50に短縮

参考:成長率20%を支える生産性向上基盤として Slack を10年近く活用

おすすめのITツールやRPAの活用方法については、以下の関連記事で詳しく紹介しています。


【関連記事】

バックオフィスの業務改善ツール10選|手間・属人化・手作業の悩みを解決

2.社外の力を借りる改善|アウトソーシング・BPO活用

総務業務の改善は、必ずしも社内だけで完結させる必要はありません。

人員不足や専門性の不足を補う方法として有効なのが、アウトソーシングやBPO(Business Process Outsourcing)の活用です。総務部門は業務範囲が広く、限られた人員ではすべてをカバーしきれないケースもあります。そこで、外部リソースを上手く取り入れて業務を最適化する考え方が重要になります。

BPOを活用することで得られる主なメリットは以下の3つです。

  • リソース不足の解消
  • コストの最適化
  • 業務品質の向上

例えば「フジ子さん」では単なる業務代行だけでなく、マニュアルが整っていない業務や担当者に依存していた業務も、安定して運用できるようサポートしています。

こうした対応により、属人化しやすい業務も整理・共有され、引継ぎや教育の負担を軽減できます。以下では、実際の業務改善事例をご紹介します。

事例1.業務をマニュアル化で継続的な改善の仕組みを構築

【課題】     制作関連企業様では、コア業務に十分なリソースを振り分けられず、定型業務のマニュアル化や運用フローの可視化が進んでいませんでした。これらの課題を改善するために、フジ子さんを導入しました。
【導入の効果】体制変更があっても定型業務が安定して回せるようになり、コア業務に集中できる環境が整いました。さらに、暗黙知となっていた業務をマニュアル化し、属人化防止と継続的な改善の仕組みを構築できた点も評価いただいています。

事例2.人事異動による引き継ぎの手間を削減し、依頼対応をスピード化

【課題】     社員を雇用すると、組織再編や退職に伴う後任への引き継ぎなど、多くの手間や時間がかかっていました。また、業務を任せるたびに説明が必要な点も負担となっていました。
【導入の効果】フジ子さんを利用することで、一度の説明で業務を共有でき、引き継ぎの手間が大幅に削減されました。多くの担当者が迅速に対応してくれるため、業務をスムーズに進められています。便利な反面、つい依頼が増えてしまうほど対応が早く、頼りになる点も特徴です。

ご紹介したフジ子さんの導入事例は以下からご確認いただけます。


【関連記事】

総務BPOとは?概要や依頼できる業務、事例、おすすめ業者などを紹介

総務の業務改善を定着させる方法

業務改善は一度取り組んで終わりではなく、部門全体に定着させてこそ成果につながります。

ここでは、最初に取り組むべき基本プロセスから、成果を数値で見える化する工夫、そして改善を循環させる仕組みを解説します。

業務改善の基本プロセス

改善を進める際は、行き当たりばったりではなく、手順を明確にすることが重要です。

以下の流れは以下の通りです。

「業務の洗い出し→課題整理→改善・解決策の選定→実行→評価」

このプロセスを踏むことで、改善の方向性を誤らずに進められ、最初の取り組みを成功につなげやすくなります。

成果を数値で示す工夫をする

改善の効果は目で見えにくいため、成果を数値化して示すことが定着のポイントです。

例えば以下のような指標を設定すると効果的です。

  • 業務時間を20%削減する
  • 入力エラーを半減させる

これにより、担当者自身が効果を実感できるだけでなく、社内への説明もしやすくなります。時間削減率やエラー率など、わかりやすい数値を活用するのがおすすめです。

数値化の方法としては、改善前と後の処理時間やミス件数を測定するのが基本です。例えば「1件あたりにかかる平均処理時間」や「月間のエラー件数」といった具体的な数値を比較すると、改善の成果を明確に示せます。

グラフや表で可視化することで、直感的に伝わりやすくなりますよ。

マニュアル化・共有による属人化防止

改善を取り入れても、やり方が特定の人にしかわからない状態では長続きしません。業務フローをマニュアル化してナレッジで共有し、誰でも同じように実行できる仕組みを作ることが大切です。

これにより属人化を防ぎ、改善を継続できる環境が整います。

改善を継続する仕組み

改善は一度切りでは効果が限定的です。「PDCAサイクル」を日常業務に取り込み、定期的に評価と見直しを行うことが重要です。

小さな改善を繰り返し積み上げることで、部門全体に「改善文化」が根付き、継続的に成果を生み出せる体制が整います。


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業務改善で効率アップ!初心者でもできる進め方と支援活用法

まとめ

総務業務は幅広く、突発対応や属人化によって改善が後回しになりがちです。しかし、人員不足やコスト削減の要請が強まる今こそ、業務改善に取り組む価値があります。

重要なのは、まずは身近な業務から改善を始め、成果を数値で示しながら継続することです。改善を定着させることで、総務部門は日常業務を支える役割にとどまらず、会社全体を動かす戦略的な存在へと発展できます。

改善を進めるには、社内の努力だけでなく、外部の専門知識やリソースを取り入れることも有効です。総務業務のアウトソーシングを検討しているなら、オンラインアシスタント「フジ子さん」もぜひご活用ください。

定型業務の代行はもちろん、労務や採用といった専門性が必要な業務にも対応可能です。さらに、業務フローの整理やマニュアル作成などの「改善の仕組みづくり」もサポート。属人化を防ぎながら、計画的に改善を進められる体制づくりをサポートします。

「日常業務を効率化したい」

「改善を定着させたい」

このようにお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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