「日々のタスクが膨大で、業務効率化にまで手が回らない」
「作業担当者が定着せず、いつも人手が足りない状況」
営業事務の部門に対して、このような悩みを持つ人事担当者や責任者は多いのではないでしょうか。
本記事では、営業事務の業務効率化について、具体的な流れや手法をご紹介します。
単体で導入可能な手法とそのポイントなどもあわせてご紹介しますので、始めやすい取組から実践してみてください。
目次
営業事務の主な業務

営業担当者が行うべき業務の一部を担い、営業活動のバックアップやサポートを行う営業事務。例えば次のような業務があります。
見積書や請求書の作成
顧客データの管理
営業資料・提案書の作成
電話やメールでの顧客対応
商品の受発注管理
売上データの入力・管理
社内会議用資料の準備
営業活動に欠かせない各種業務を担当し、組織全体の生産性向上に貢献しています。
営業事務を効率化するメリット

業務が多岐に渡り、作業者の作業負荷が高くなりがちな営業事務。働き方改革等で営業担当の残業コスト減等の実績を上げる企業が多い中、営業事務の業務負荷は現在も高い状態です。営業事務の効率化によって得られるメリットを3つご紹介します。
従業員の負担軽減
営業事務を効率化させるメリットは、従業員の負担軽減ができることです。営業事務の負担を軽減させ、単純作業に取り組む時間を減らすことで、後述するコスト削減や顧客満足度の向上につなげられます。
営業事務は書類の整理や電話対応など、業務内容が多岐に渡り、作業量も多いため、従業員への負担が大きく、ミスも生まれやすい状態です。
業務効率化によって従業員の負担を軽減できれば、ミスの削減にもつながります。
コスト削減
営業事務の業務の効率化は、コスト削減にもつながります。業務の効率化によって残業を減少できれば、単純な人件費の削減だけでなく、事業所運営に必要な水道光熱費や通信費、交通費、など固定費や雑費などのコスト削減も見込めます。
人件費の削減方法について、詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
【関連記事】
人件費削減に効果的な方法とは?人手不足を避けつつ安全にコスト削減を!
顧客満足度・売上の向上
営業事務の効率化は顧客満足度・売上の向上にも役立ちます。
従業員の負担を軽減し、従業員のパフォーマンスを引き出すことで顧客満足度を上げるとともに、ムダに消費してしまっているコストを適切に運用することで、顧客満足度や売り上げの向上が見込めます。
営業事務の効率化が進まない理由

一般的に営業事務は、作業が属人化しやすく、画一的な手法で業務を効率化することが難しい業務といわれています。属人化とは、特定業務の状況や手順が周囲に共有されておらず、特定の担当者以外担当できない状態のことです。
また、営業活動のサポートを行う営業事務は、営業担当や取引先、社内の他部門との調整も受け持ちます。そのため、他部門の希望に沿ったスケジュールで作業を進行せざるを得ず、営業事務担当者が自部門の業務の調整を行うのは簡単ではありません。
これらの営業事務の特性が、効率化が進まない理由として考えられています。
従業員の負担軽減、コストの削減、顧客満足度・売上の向上など、効率化を行うことで得られるメリットの多い営業事務の効率化ではありますが、効率化を行う準備段階で部門からの反発をうける企業も多いのが現実です。
効率化しやすい営業事務の業務内容

営業事務で業務効率化を目指す場合、効率化しやすい業務があります。それぞれの業務について、具体的にどのような業務が該当するか、なぜ効率化しやすいのかをご紹介します。
管理業務
管理業務は、営業事務の業務の中でも比較的業務フローが決まっているケースが多い業務です。管理業務は次のような業務が該当します。
- 受発注業務
- 在庫・納期確認
- 顧客管理
具体的には、業務手順の見直しや専用システムの導入などで効率化が可能です。
資料作成
営業活動に伴う書類の多くは、定型文で構成されています。このような場合はテンプレートの活用が効果的です。
見積書や発注書、契約書等はもちろん、会議やプレゼン用の資料、営業提案書などの資料についても外部サービスの活用等で効率化が可能となります。
営業資料作成の効率化をする場合の注意事項として、営業担当者の要望と意図を正確に理解し資料に反映させることが重要です。営業担当者の意思に沿わない資料となってしまうことで、逆効果になってしまうことがあります。
電話対応
電話対応を外注に依頼することも効果的です。
部署に直接掛かってくる電話対応を外注にすることで、営業事務の業務負担を軽減するだけでなく、営業担当者が会議に集中しやすい環境を構築できます。
問い合わせやクレーム対応など、営業に直結する電話対応については注意が必要です。
外注にする場合は、作業範囲やフローを明確にし顧客満足の低下に繫がらないような工夫が必要です。
営業事務を効率化させるための流れ

営業事務の業務を効率化させるためには、次の4つのステップを踏むことが基本となります。
- 現状分析と課題発見
- 優先順位を決める
- 手法を決める
- 効果検証・改善
それぞれの内容について確認しておきましょう。
現状分析と課題発見
まず、現状の業務を把握し、業務のあるべき姿と現状との差(=課題)を洗い出します。
正しく現状を把握・分析することは、最適な改善策を検討するために必要なステップです。
このフェーズでは、管理職と実作業を行うスタッフとの双方にヒアリングを行います。
ヒアリングで可視化するポイント
- 業務の目的
- 業務の内容やフロー
- 担当者
- 工数
- 対象業務の課題感
業務を遂行しながらのヒアリングとなるため、一次的にスタッフの業務負担が増えることが予想されます。すべての業務を洗い出した後、関連業務への影響等も考慮しながら対策を講じることが理想ではありますが、長期に渡るヒアリングは、現場の業務負担を増やし、業務効率のさらなる低下を招きかねません。全業務の可視化を目指しながら、優先度の高い業務から着手し、段階を追って効率化を進めていく柔軟な進め方をおすすめします。
理想の業務状況は、管理者と現場とで認識に違いがある可能性が高い部分です。管理者と現場との認識の差を埋めながら、ヒアリングの際に抽出した課題感も含め、各業務の「ムリ」「ムダ」「ムラ」を確認しましょう。
現状の業務と理想の業務との差を洗い出し、次のステップに進みます。
優先順位を決める
洗い出した業務を改善の難易度と改善の効果とで分類し、優先度を決定していきます。
具体的には、改善が容易で効果が大きいものの優先順位を最も高く設定し、改善が難しく効果が小さいものは優先順位を低くすることがポイントです。
営業事務の業務には、自社のみで完了できる作業と取引先に影響のある作業とがあります。この二つで作業を分類した後、自社のみで完了できる作業を「短期で対応できるもの」と「中長期的に対応が必要なもの」とに分類します。
まずは自社内のみで完結でき、より改善効果の高い作業を優先的に改善していきましょう。
手法を決める
業務効率化の対象作業が決定したら、具体的な手法を決めていきましょう。手法にはいくつかの種類があります。
- 類似する作業を1つにまとめる
- 順番や担当を変える
- 作業自体が不要であると判断される場合には、業務を廃止する
また、業務効率化の担当者のアサインも行うのもこのタイミングです。案件ごとに担当者を決めておくことで、進捗状況の確認や問題発生時の対応などがスムーズになります。
効果検証・改善
採用した手法は定期的に効果チェックを行い、最適な手法であるかどうかを監視できる体制もあわせて構築します。監視の際はPDCAサイクルを活用し、手法の見直しやさらなる改善を行うなどで改善策の精度を上げることが必要です。
業務効率化の方法|ECRS(イクルス)の4原則で改善策を考えるのが効果的

営業事務の業務効率化は現状業務と並走しながら段階を経て行うことが現実的です。とはいえ、洗い出した課題をどのように改善したらより高い改善効果が得られるのか、判断が難しいところではあります。そんな時に役立つ改善策がECRS(イクルス)です。
ECRS(イクルス)とは、業務効率化の改善策を考えるためのフレームワークで、以下の4つの切り口から順に改善策を考えていきます。
- 【Eliminate(排除)】:不要なものを無くす
- 【Combine(結合)】:似ているものを1つにまとめる
- 【Rearrange(交換)】:順番や担当者を入れ替えたり、方法を変えたりする
- 【Simplify(簡素化)】:複雑なものをわかりやすく・簡単にする
単語の順序にも意味があり、E→C→R→Sの順に取り組むことで業務改善の最大の効果が得られるとされています。
関連資料:バックオフィスの生産性向上をはかる方法について詳しくはこちら
営業事務を効率化させる方法【排除】
現在の業務について、業務フローから不必要なものを廃止したり、付加価値のない業務であればその業務自体を排除します。
排除の例
- 画一的な報告しかされない定例の会議やミーティングの廃止
- 形骸化された報告書や帳簿の廃止
- 必要以上の作業人員の削減
例えば、「以前は必要であったが現在は不要」というような、形骸化した業務が排除の対象です。
「無駄な作業は行わない」という単純明快な方法ですが、業務上の不要なコストを確実に削減できます。加えて、導入コストや追加の手間が不要で、業務改善の効果も得やすい方法です。
営業事務を効率化させる方法【結合】
これまで別々に行っていた関連タスクや重複する作業をまとめる方法です。業務の排除ができない場合に検討します。また、分離した方が明らかに効率が良くなる業務がある場合も、このタイミングで改善策を検討します。
統合の例
- 内容が同一で参加者のみ異なる会議の同時開催
- 内容が重複している複数の報告書や帳簿の一本化
- 複数のシステムに同一の情報を登録するような作業がある場合、システムを統合して入力作業をまとめる
類似する業務を一つに統合すると、業務の遂行に必要な人員やシステム等のコストを抑えることができ、作業も効率化できます。統合は、リソースの最適化とプロセスの改善に有効な方法です。
営業事務を効率化させる方法【交換】
プロセスのステップを、より論理的・効率的な順序に並べ替えたり、業務プロセス自体を別の手段で置き換えることを「交換」と呼びます。業務の排除や統合による効率化が難しい場合に、業務内のプロセスに着目して改善を図る方法です。
交換の代表的な例としては、書類のデジタル化、コミュニケーションツールの導入、
作業工程や設備機器の配置の見直し、インサイドセールスの導入などが挙げられます。
また、営業事務担当が行っている業務をアウトソースし、外部に委託することで社内業務の効率化を目指すアウトソーシングは、近年ではBPOと呼ばれ、サービスも充実しています。
アウトソース先として、経験豊富な人材がさまざまなバックオフィス業務を遠隔でサポートできるフジ子さんもおすすめです。フジ子さんは、一般的な営業事務業務からより高度な営業サポート業務まで、パソコンでできる業務であればどのような業務でもご依頼いただけます。
【関連記事】
アウトソーシングとは?メリット・デメリットや契約先の選び方【わかりやすく解説】
プロセスやプロセスのステップを再配置することで、作業の流れが改善され、コスト削減につながります。
営業事務を効率化させる方法【簡素化】
複雑な手順を単純化することで、作業効率の向上を目指します。【簡素化】は、人的ミスのリスクが減少し、作業の速度と正確性の向上が期待できる方法です。
営業支援ツールの導入
営業の現場では、さまざまな情報のタイムリーな管理が必要不可欠です。商談の進捗状況や売上のデータ等を分析できるSFAやメール配信や広告の管理等を自動化できるマーケティング支援ツールのMAなど、営業活動を支援するツールを導入することで、営業活動を自動化できます。また、これらの業務支援ツールを顧客関係を管理するCRMツールと組み合わせると、より効率的に管理できます。CRMツールでは顧客の温度感や状況を細かく管理できるため、単に顧客管理ツールとして活用するだけでなく、見込み度合いが高い顧客に注力するなど、営業活動の質を高める上でも効果的です。
ダウンロード資料やFAQの充実
自社サイトのFAQや資料を充実させることで、資料への誘導のみで顧客からの問い合わせに対応できるため、顧客対応のコスト削減が期待できます。
マニュアル作成
社内マニュアルを作成し、やり方を共有することで、担当者ごとの作業ムラをなくし、属人化の防止にも効果があります。
ExcelのマクロやVBAを使う
マクロやVBAを使用することで、定例業務を自動化できます。業務時間を短縮し効率化ができ、人為的ミスの回避が期待できます。
個人で営業事務を効率化させるためのポイント

営業事務の効率化は、個人で対応できるものもあります。ひとつひとつは細かなモノですが、積み重ねれば大きなコストカットにつながります。
ショートカットキーを活用する
マウスを使わず、ショートカットキーを使うことで、業務効率の改善が期待できます。例えば、コピーやペースト、やり直し等、頻繁にする作業のショートカットキーであれば、積み重ねでの業務改善効果が大きくなります。
業務上よく使うものを覚えるだけでも効果的です。
ユーザー辞書やテンプレートの活用
ユーザー辞書やテンプレートによく使う言葉や文章を登録しておくことで、文章作成にかかる手間を削減できます。
ユーザー辞書は入力ミスを避けたい商品名や取引先の企業名など、数文字を入力し変換することで自動で対象の文字を入力してくれます。そのため、入力時間の短縮やミスの軽減に効果的です。
単語だけではなく、よく使う文章はテンプレートを用意しておくことで一部の文言を加筆変更するのみで済むため文字入力や推敲の時間短縮に役立ちます。
営業事務を効率化させるなら、オンラインアシスタントがおすすめ

営業事務を効率化させるには、オンラインアシスタントの活用がおすすめです。
オンラインアシスタント「フジ子さん」では、業務量に応じた柔軟なプラン調整や、業務内容・業務範囲の調整もご相談いただけます。オンラインアシスタント「フジ子さん」は、1つのご契約でさまざまな業務をご依頼いただけるため、バックオフィス業務と並行しながら業務効率化ツールを作成するといったご依頼もお承りいたします。
オンラインアシスタント「フジ子」さんを活用して、営業事務の効率化を行った事例をご紹介します。
より詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください。
データ集計の効率も見栄えも大きく改善され、業務時間が半分以下に。
解決したかった課題:
データ集計などの分野に強みを持った方に効率化を依頼したい
検討のきっかけ:
マーケティング領域において、スプレッドシートなどでデータ集計などを行ってきたが、その分野に強い人間がおらず、効率も見栄えも悪いことに悩んでいたので、フジ子さんの導入を検討。
導入して得られた効果:
これまでかかっていた手間を省くことができたことと、作っていただいたデータが想像以上に使いやすいことで、業務時間はこれまでの半分以下になっていると実感
「少しでも面倒だと思う仕事は全部振ってください」と言われ、攻めの仕事に集中できるように
解決したかった課題:
メールの問い合わせを受けてくれる人を探していた
検討のきっかけ:
社員の業務効率を上げるために、業務を整理し、社員以外でも対応可能な業務はアウトソースしたいと考えていた。
導入して得られた効果:
社員の私たちにしかできない、攻めの仕事に集中できるようになった。
少数精鋭で社員各自が専門分野を持っているが、初期のミーティングの際に、プランナーの「少しでも面倒だと思う仕事があれば、全部振ってください」とのコメントがきっかけで、「なくてもいい業務はお願いして、社員は自分にしかできないことをしよう」と社内全体で思えるようになった。
金銭的なコストだけでなく、教育にかかる時間的コストも削減して生産性が向上。
解決したかった課題:
バックオフィスの人員が不足しており、業務が非常にひっ迫。生産性向上のためアウトソーシング先を探していた
検討のきっかけ:
バックオフィスの人員が不足している中で、主要メンバーが産休に入ったことで業務が非常にひっ迫したため。
正社員の雇用は考えておらず、生産性向上のためアウトソーシング先を探していた。
導入して得られた効果:
日々の雑多な業務をフジ子さんに任せたことで、やりたくてもできなかった売上アップや前線メンバーのサポート、商品サービスのクオリティ向上などの業務に着手することができた。
まとめ

今回は、営業事務を効率化する流れや手法をご紹介しました。企業の営業活動を支える営業事務の業務効率化は、単にコストを削減し、従業員の負担を軽減するだけでなく、顧客満足につながります。
営業事務を効率化し、従業員も顧客も満足できる企業運営を目指しましょう。
バックオフィス業務の効率化をご検討になる際は、ぜひフジ子さんにお任せください。