コロナ禍で見えてきたリモートワークのメリット・デメリットとは?対策も解説

コロナ禍によってリモートワークを余儀なくされている昨今。

「リモートワークの方が効率的でいい」
「自宅で仕事は集中できないから出社したい」
「従業員の勤怠状況が把握しにくい」
「セキュリティ面に不安がある」

と従業員、企業側それぞれに感じるメリット・デメリットがあります。今後もまだまだ続くであろうリモートワーク。円滑に進めるためには現状を把握し、課題を見つけ、解決していかなければいけません。

本記事では、リモートワークの現状、従業員と企業側それぞれのメリット・デメリット、課題への対策をご紹介していきます。ぜひご参考にしてください。

コロナ禍におけるリモートワークの現状

コロナ禍においてリモートワークが推奨されていますが、業種や環境、雇用形態によっては実施できていないところも多くあります。

まずは以下の側面から日本全体企業のリモートワークの現状を把握していきましょう。

・リモートワークの実施率
・実施率が高い業種・低い業種
・リモートワークに対する感想

調査は株式会社パーソル総合研究所によるもので、第3波の2020年11月18日〜11月23日に行われたものです。

リモートワークの実施率

リモートワークの実施率は全国平均で24.7%。5月の緊急事態宣言直後から1%減少しています。

正社員と、パート・アルバイトや契約社員、派遣社員などの非正規雇用とで実施率に差があり、非正規雇用のリモートワーク実施率は正社員比マイナス8.9%の15.8%という結果に。企業規模によっても違いがあり、1万人以上の企業では45.0%、100人未満の中小企業では13.1%と大きな差がつきました。(*)

リモートワーク実施率が高い業種・低い業種

リモートワークの実施率は、業種によっても異なります。

実施率が最も高い業種は55.7%の情報通信業。最も低い業種は4.3%の医療・介護・福祉分野です。ネット環境下で進められるものと、不要不急でない対人の仕事で大きく差が開きました。(*)

リモートワークに対する感想

リモートワークに対する感想としては、

「リモートワークで行える業務ではない」

「会社がリモートワークに消極的」

という声があがっています。リモートワークができる業務であるにも関わらず、企業がリモートワークを積極的に推奨していない、出社する上司や同僚がいるので仕方なく出勤をしているというように、出社を控えたいけれどできないという声が上昇傾向にあります。(*)

業務上リモートワークが可能なのに出社するのには、相応のデメリットを感じているからと考えられます。ここからは、リモートワークのメリット・デメリットを従業員と企業側それぞれの立場から見ていきましょう。

*:第四回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査|パーソル総合研究所

従業員から見たリモートワークのメリット

従業員から見たリモートワークのメリットを一つずつ見ていきましょう。

時間や場所の融通が比較的効きやすい

リモートワークはネット環境が整っていれば、比較的時間や場所の融通が効きます。出先であっても、カフェやコワーキングスペースなどのWi-Fi環境下で業務を進められます。

通勤の手間をなくせる

毎日、通勤時間を考慮して早く起きて準備し、バスや電車など公共交通機関の時間に合わせて慌ただしく行動する必要がありません。通勤に片道1時間以上かけている人にとっては、往復で2時間以上の時間を自分自身のために使えるようになるので、大きなメリットと感じるでしょう。

育児などとの両立がしやすい

育児や介護などと両立して業務を進められます。出社を伴う働き方だと、家庭の都合で休まなければいけない場面がありますが、自宅での勤務であれば仕事と平行して進められます。

企業から見たリモートワークのメリット

続いて、企業から見たリモートワークのメリットを見ていきましょう。

会社やブランドのイメージが向上する

コロナ禍においてはもちろん、従業員の多用な働き方を推奨している企業として、会社やブランドのイメージが向上すると考えられます。

遠隔地にいる優秀な人材を獲得できる

出社を伴う場合、通勤圏内に居を構えているかどうかでふるいに掛けなければいけません。しかし、リモートワークなら住まいは関係ないので、遠隔地にいる優秀な人材を獲得する可能性が広がります。

オフィスの維持費を削減できる

従業員数に応じた広さのオフィスを構える必要がなくなり、賃料だけでなく、空調や清掃などにかかる維持費用を削減できます。

従業員から見たリモートワークのデメリット

次に、デメリットを見ていきましょう。まずは従業員から。

オン・オフの切り替えがしにくい

プライベート空間での仕事となるので「集中できない」あるいは「ダラダラと残業してしまう」など、オンとオフの切り替えが難しい方もいるでしょう。

ネット環境に依存した働き方になってしまう

ネット環境が整っていれば進められるのはメリットでもありますが、万が一通信状況が悪くなると何もできません。オフィスであればオフラインでできる場合でも、リモートワークとなるとオンラインありきとなりネット環境に依存した働き方になってしまいます。

メンバー同士で直接話す機会が減る

直接話す機会が減り、コミュニケーション不足になりやすいです。ZoomやGoogleMeetなどのビデオツールはあるものの、活用しなければ意味がありません。

オフィスにいれば隣の席の人に気軽に話しかけれていたことでも、オンラインで相手の状況が見えなければ躊躇してしまいますよね。

企業から見たリモートワークのデメリット

次に、企業から見たリモートワークのデメリットも確認していきましょう。

勤怠管理がしにくい

パソコンの向こうにいる相手の勤怠状況が把握しにくいという問題があります。始業・終業の時間を管理できたとしても、時間内に何をしているかまでは完全に把握することはできません。

セキュリティ面に課題が残る

これまで社内ネットワーク上のセキュリティ対策で守られていた情報を、社外のインターネット環境で扱うことになります。万全だと言い切れる状況でなければ、リモートワークに踏み切れないという企業は多いでしょう。

新人の育成がしにくい

新人を受け入れた場合、顔を合わせずに教育していくことになります。コミュニケーションが取りにくいリモートワークで新人を育てるとなれば、声をかける、質問はないか問いかけるなど、積極的に働きかけるよう意識しなければいけません。

リモートワークを円滑に進めるための対策

最後に、リモートワークを円滑に進めるための対策を3つご紹介します。

メンバー間で話す機会を設ける

従業員同士で話す機会を積極的に設けましょう。無駄な会議を開催する必要はありません。「チーム間のグループチャットを活用して意見交換をする」「週に1度10分程度ビデオ通話で仕事の進捗状況や困っていることを報告し合う」というように、ルールを決めてコミュニケーションを図ります。

お互いに声をかけづらい環境なのであえてルールを作り、話す機会を設けることでコミュニケーションが活発になります。

会社側から従業員へ向けた発信を行う

オフィスに出社しないことで、従業員は会社の経営状況や取り組みなどの情報が見えにくくなります。仕事へのモチベーション維持や目標設定などのためにも、会社側から従業員への発信を行いましょう。

ビジネスツールを活用する

ビジネスツールを活用すれば、勤怠管理や業務の進捗管理などがスムーズに行えます。ほかにもコミュニケーションツールや情報共有ツールなど、ビジネスシーンで使えるものがたくさんあるので活用しましょう。

まとめ

本記事では、リモートワークにおけるメリットとデメリットを従業員・企業側それぞれの視点で見てきました。

今後、リモートワークを円滑に進めるのに重要なことは、ご紹介したメリット・デメリットを理解したうえで、従業員とともにルールや方針を決めていくことです。定着するまでも、あるいは定着してからも状況を確認し合いながら、改善を重ねていきましょう。