クラウドサイン導入のメリットは何?法的効力や導入企業の事例なども解説!!

契約書のやりとりをWeb上で行える「クラウドサイン」。リモートワークが普及する中、導入したいものの、安全性や有効性が気になる企業は多いはず。

結論を言ってしまうと、クラウドサインは法的効力と強固なセキュリティを持っているので、安心・安全に利用できます。実際、導入によってコストや時間の削減に成功している企業は少なくありません。

本記事では、そんなクラウドサインについて、サービス概要やメリット、費用、そして導入事例などを紹介していきます。

【クラウドサイン導入の前に】クラウドサインとは?

クラウドサインとは、弁護士ドットコム株式会社提供の、契約締結をWeb上で完結させるサービスのことです。

使い方はとても簡単。

①当事者間で契約内容について合意した後、契約書をクラウドサインへアップロード

②クラウドサインから取引先顧客へ契約書を送信

③取引先が署名・捺印すれば契約締結完了

以上、3ステップです。対面したり郵送したりする必要がなく、迅速に契約を締結できます。

取引先がクラウドサインのアカウントをもっていなくても、契約締結が可能。取引先が契約書を閲覧したか、締結の進捗はどうなっているか等まで確認でき、書類受領漏れを防げます。また、締結後の契約書をクラウド上で管理できます。

このように、契約に関する煩わしい工程を省けるため、業務効率化や働き方の多様化が進む中で利用者が増加しているサービスです。

クラウドサイン導入のメリット

次に、クラウドサインを導入するメリットをみていきましょう。

弁護士ドットコム監修という信頼感がある

1つめは、弁護士ドットコム社による法律監修という信頼感があること。

合意した契約書書面には、弁護士ドットコム株式会社名義で電子署名を付してくれます。また、同社名義で書類の概要・締結日時などが記載された「合意締結証明書」も発行。これにより契約書類の証拠力も上がります。

契約締結がスピーディーになる

2つめは、契約締結がスピーディーになること。

紙の契約書では、契約書の準備、取引先による署名・捺印、原本の写し発行などの工数と時間が必要です。郵送ともなれば、締結確認まで1週間以上かかることもあるでしょう。

一方クラウドサインなら、契約書を印刷したり原本写しを発行したりする時間を省けます。早ければ数分で締結も可能です。

コストを削減できる

3つめは、コストを削減できること。

クラウドサインでは印紙税がかかりません。紙だと200円〜数万円かかっていたのをカットできるのです。

印紙税法2条によると、印紙税は書面文書の場合のみを指しており、電子契約は対象外と考えられます(*1)。国税庁も「電磁的記録」によって締結した契約書には印紙税が発生しないとはっきり述べています(*2)。

印紙税のほかには、契約書の印刷代・インク代・郵送代なども削減できますね。

*1:e-Gov法令検索/印紙税法
*2:国税庁/文書回答事例

コンプライアンスを強化できる

4つめは、コンプライアンスを強化できること。

クラウドサインでは、強固なセキュリティ環境下で書類のやりとりが行われるので、情報が外部に漏れるようなコンプライアンス事故を防げます。また、契約書はWeb上で閲覧や保管ができ、紛失の恐れもありません。

クラウドサインに法的な効力はある?

メリットの多いクラウドサインですが、法的な効力はあるのでしょうか。

これについては、一部の例外を除き「ある」が答えになります。そもそも、契約締結の方式は、書面に限らずEメール上でも口頭でも構いません。つまり、クラウドサインのような電子契約もOKなのです(民法で「契約方式の自由」として認められています)。

そして、弁護士ドットコム株式会社の電子署名が付されて証拠力が向上しているクラウドサインなら、さらに安心して利用できるわけです。

ただし、例外として、定期借地契約、定期建物賃貸借契約、投資信託契約の約款などは紙の書面で合意するよう法令で義務付けられており、クラウドサインでは契約を結べません。

クラウドサイン導入にかかる料金

次に、クラウドサイン導入にかかる料金をみていきましょう。プランは、Standard、Standard Plus、Businessの3つです。

Standard Standard Plus Business
月額費用 ¥10,000〜 ¥20,000〜 ¥100,000〜
月額固定費用 ¥10,000 ¥20,000 ¥100,000
1件送信の費用 ¥200 ¥200 ¥200
ユーザー数 無制限 無制限 無制限
送信件数 無制限 無制限 無制限
機能 ・書類作成、送信
・電子署名+タイムスタンプ
・テンプレート作成、管理
・チーム管理・Web API
Standard+
・紙の書類インポート
Standard+
・アカウント登録制限
・IPアドレス制限
・承認権限設定
・高度な管理機能
・SSO機能
・電話サポート

*Businessプランで紙の書類インポート機能を追加するには別途申し込みが必要

クラウドサイン導入企業の事例

では次に、クラウドサインの導入事例を3つ紹介していきます。

他社からの乗り換えで作業時間もコストも半分以下に!

1つめは、別の電子契約システムからクラウドサインに乗り換えて、作業時間・費用ともに半分以下にできた事例です。

インパクトの強いCMでおなじみの「RIZAP」。パーソナルジム運営のほか、マンツーマンゴルフレッスン、キッズ向け運動教室、英語学習教室などを手掛けるRIZAPグループ株式会社の人事部門で、雇用契約をメインにクラウドサインを利用しています。

人事部門が取り扱う契約書類には、社員の契約更新、処遇条件変更通知などたくさんの種類があり、以前は夜中まで書類の対応をしていたことも。

そこで業務効率化のために他社の電子契約サービスを利用してみたものの、期待していたような効果は得られませんでした。テンプレートの変更に1週間かかる、一括送信ができず一通ずつ送信など、手間も時間も大きな変化はなかったのです。

そして他のサービスを探していたところ、クラウドサインを発見しました。

・リーズナブルなコスト
・テンプレの編集がしやすい
・サインする側がどこに何をすべきかわかりやすい
・契約書の進捗状況がわかる
・一括送信できる
・契約書を管理できる

以上の点をクリアしていることと、シンプルなのに重要なポイントをおさえていることから、すぐに導入を決断。すると、残業時間も運用費用も半分になりました。

同社は今後、あらゆる契約書類をクラウドサインでやりとりできるよう検討していくそうです。

電子契約を避けていた人もクラウドサインを利用するように

次に、クラウドサイン導入後も紙での契約を続けていた社員が、しだいに電子契約に移行していく事例をご紹介します。

国内外の自己啓発書や実用書を出版している「サンマーク出版」。海外との出版権・翻訳権の売り買いをスムーズにするために、クラウドサインを導入しました。編集作業を進めるには、契約締結をしなければいけません。ところが、海外と紙の契約書をやりとりするには、国内以上に時間がかかりますよね。

これを解消する上で、弁護士ドットコム提供という安心感と他社サービスに比べたリーズナブルさが導入の決め手になりました。海外の取引先との利用を想定していたものの、実際は国内の著者との間で多く利用されているそうです。

導入当初、電子契約に慣れない担当者は、紙の契約書でやりとりしていたとのこと。しかしサインする箇所を指示し、手紙を添え、郵送の準備をする隣で、ほかの社員がクラウドサインでスムーズに契約締結している姿をみて、徐々に利用するようになったといいます。

郵送コスト、作業負担が明らかに減っていることに加え、精神的負担も削減。今後は、当初の目的であった海外の版権契約で利用できるよう、拡大を目指していくそうです。

コロナ禍でテレワークになってもスムーズに事業が進んだ

3つめに、以前からクラウドサインを利用していたため、急なテレワーク下でも事業を進めることができた事例を紹介します。

ぐるなび株式会社」は、飲食店予約システムやグルメ情報サイト運営のほか、飲食店へ経営や集客のコンサルティングなども行っています。同社は、2018年にクラウドサインを導入しました。

ただ、積極的に電子契約を取り入れるよう導入前からアナウンスをしていたものの、すぐには浸透しませんでした。主な取引先である飲食店側で、紙にこだわる方が多かったのが要因の1つです。

しかし、電子契約システムの認知度が上がるにつれて紙ベースから移行する店舗が増え、今では法人契約のほとんどがクラウドサインを導入しています。

そして、電子契約が社内に定着していたおかげで、コロナ禍による急なテレワーク下でも契約関連で事業を止めることなく対応できました。もし紙媒体の契約のままだったら、担当者は自宅で契約書を印刷し、切手や封筒を準備し、郵送しに行かなければいけません。業務に少なからず影響が出ていたでしょう。

同社は、アナログに進めている業務を電子的にできないか今後も見直し、取引先と従業員の生産性向上に努めていくそうです。

まとめ

本記事ではクラウドサインについて、サービスの概要やメリット、費用、導入事例などを紹介してきました。

想像もしていなかったコロナ禍、そして急なテレワークの中、物理的なハンコを必要とするワークフローのために業務が停滞した企業は少なくなかったはずです。ウイルスの驚異は未だ去っておらず、電子契約の必要性は高まっています。

すべての契約書をいきなり電子化は難しいと思いますが、できるところからやっていくのを検討してみてはいかがでしょうか。