日本では少子高齢化による労働力不足が問題となっていました。しかし、2020年に入り、新型コロナウイルスが世界的に流行したことで、一部の業界ではリストラが発生しています。しかし、それとは逆に、新型コロナウイルスの流行をきっかけに、さらに労働力不足が深刻化する企業も。
そこで、労働力不足が顕著な業界はどの業界なのでしょうか。また、労働力不足を解決するにはどうすれば良いのでしょうか。
本記事では、
・2020年の日本国内における労働力不足の現状
・労働力不足の原因
・労働力不足を解決する手段
について解説します。
2020年:国内における労働力不足の現状
新型コロナウイルスの流行で景気が悪化し、リストラや内定取り消しも一部の業界で発生してはいますが、全体で見ると労働力は不足したままの様子。それでは、詳しく労働力不足の現状について見ていきましょう。
緊急事態宣言解除後、不足が緩やかに増加
画像:人手不足に対する企業の動向調査(2020年10月)帝国データバンク
上記のグラフを見ると、今年の新型コロナウイルスの流行をきっかけに、正社員・非正社員ともに需要が一気に下がっていることがわかります。しかし、緊急事態宣言が解除された5月下旬以降、緩やかではあるものの、上昇しています。
今年上半期は経済活動が停止状態になり、正社員・非正社員の需要も大幅に減少しました。しかし、徐々に経済活動を再開する企業が増え、コロナ流行前と同様に専門職の需要はあること、一部の業界ではコロナ流行をきっかけに今まで以上に人員が必要となったことが要因となり、正社員・非正社員全体の需要増加に繋がっていると考えられます。
しかし、飲食業は営業時間の短縮、輸送業は海外渡航制限など、コロナによって損害を受けた業種も多く存在します。これらの業界は大幅な人員削減を行っています。正社員・非正社員需要の上昇が大きなものではなく緩やかなのは、このように需要が減った業種の影響でしょう。
正社員・非正社員それぞれの動向
多くのコロナ禍で内定が取れなかった新卒生、リストラにあった社会人が、緊急事態宣言後にコロナをきっかけに需要が出た業種への就職・転職を果たしています。それにより、コロナ禍で大幅に需要が増えた業種の一部は人手不足が解消されつつあります。
しかし、需要が変わらず高いままの業界も。コロナの流行はまだ終わりが見えない状況であり、これらの職種は当面の間は「仕事を選ばなければ問題なく就職できる」という状況が当分続くでしょう。
特に労働力不足な業界は?
就職難と言われるこのご時世で、労働力不足となっている業界はどこなのでしょうか。
まず正社員でコロナ流行をきっかけに特に需要が増えたのが、教育・電気通信・家電販売業の3つの業種です。これらはステイホーム・リモートワークによる需要の増加が考えられます。また、建築や農林水産業などの第1次・2次産業に関しても、全体的に需要は減っているものの、高い数字を誇っています。
非正社員では、家具、飲食料品小売業や旅館ホテルなどが挙げられます。家具、飲食料品小売業は、家にいる時間が増えた故の需要増加でしょう。旅館ホテルに関してはGotoトラベルの影響による需要増加ですが、Gotoトラベルが中止となった12月以降は需要の低下が考えられます。
各業界が労働力不足に陥っている原因
先ほど挙げた業界を中心に、各業界が労働力不足に陥っている理由はなぜなのでしょうか。理由を掘り下げていきましょう。
労働人口が減少しているから
日本は少子高齢化が進み、かつて労働者だった世代が会社を辞めていくものの、子供が生まれず、若い世代でその穴埋めができない状態に陥っています。
やはり優秀な人材は、大手を中心に雇用が安定していて待遇も良い企業へ行きます。しかし、現代は大手でも人材確保に苦戦しているような状況。そのため少子高齢化の中で特に中小企業はいかに優秀な社員を確保するかが課題と言われています。
条件や環境のミスマッチが起きているから
入社してみると、思っていたのと違ったということはよくあります。特に若手は定着が難しく、10人に1人が第二新卒枠を使って転職しているという説もあるほどです。この場合は職場の雰囲気が悪い、給料が安いなどの問題を洗い出す必要があるでしょう。
コロナ禍で需要が急拡大したから(IT系等特定の業種)
コロナ禍で急激に需要が拡大した業種は多いです。例えば、リモート授業やリモートワークなどにより、たくさんの人が1日中インターネットにアクセスする状態が続き、インフラ業界は一気に需要が高くなりました。ステイホームをきっかけに自炊をする人が増え、スーパーなど食料品販売店も需要が増加しています。
ただし、これらの業種は急激な需要の増加をしているため、急激に需要が下がるリスクも理解する必要があります。
外国人労働者の受け入れができなくなっているから
特に日本の第1次・2次産業は人手不足が深刻で、外国人労働者に頼っている部分が大きいです。しかし、新型コロナウイルスの流行により、帰国して戻ってこない外国人労働者も増えました。
第1次・2次産業は労働環境が悪い・辛いというイメージを持っている人も多く、不景気でも目指す人が少ない業種。しかもいつ収束するかわからないので、元々雇っていた外国人労働者が戻ってくるタイミングもわからず、新しく人も来ず、人手不足のまま運営しなければいけない状態に陥っている企業も多いです。
労働力不足を食い止めるための対策3選
労働力不足でも、この状況で新たに人を正規雇用する余力のある企業は限られているでしょう。そこで労働力不足を食い止めるにはどんな策があるか紹介します。
人材の定着率を上げる
特に人の出入りが激しいと感じているなら、労働環境に問題がある可能性が高いです。
かつては多少悪い労働環境でも将来待遇が良くなることを見越して耐える人が多く存在していました。しかし、現代では定年まで社員の面倒を見る年功序列制度に限界が出始めており、実力主義にシフトチェンジする企業が増えています。そのため、将来性が期待できなければすぐに見切りを付けて会社を辞めていきます。特に優秀な人材ほどその傾向が顕著でしょう。
この場合はまず問題を洗い出し、給料を上げる、労働規約を変えて職場の雰囲気が変わるようにするなど対策をしましょう。
不要な業務を見つけて削除する
業務の中には、必要ないのに「昔からこのやり方だから」という理由で発生している無駄な業務が多く存在していることがあります。少しでも社員の無駄な仕事を減らし、本来やるべき仕事に専念できる環境を作るには業務の見直しも必要です。現場の意見を取り入れ、どの業務が不要なのかを洗い出してカットしましょう。
また、IT化が進んだ現代では、ソフトウェアを導入することで自動化できる業務も多いです。例としては経理や勤怠管理、給与計算など。少しでも業務の効率を上げたいと考えているなら、ITツールを駆使して作業時間を減らすのも良いでしょう。
アウトソーシングを活用する
ITツールを導入することで労働力不足を解決できれば良いですが、人でないとできない仕事の労働力不足は、人を雇わないと解決できないでしょう。しかし、人を雇えるほどの余裕がないと考えている企業におすすめなのが、アウトソーシングの活用です。
アウトソーシングを利用すれば、業務委託なので保険料などを支払う必要がなく、正社員を雇うよりも安上がりです。しかもすぐにスキルのある人材に仕事が依頼できることから、専門職を欲している企業からするとアウトソーシングを利用するメリットは大きいでしょう。
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まとめ
多くの業界が労働力不足に悩まされており、不景気に入って仕事が減っても人員不足な企業も少なくありません。しかも日本は少子高齢化が進み、今後さらに労働人口の減少が予測されています。
人の数が限られている中で、少しでも効率良く仕事を進めるかつ、人員の確保を行うには、待遇の改善、業務の見直しが重要です。仕事で発生する無駄を失くして社員の負担を減らし、定着率が高くて人が集まる会社を目指しましょう。