業務で必要な設備や物品を全て購入しようとすると、コストは膨大なものとなってしまいます。コスト削減のために活用したいのが、レンタルまたはリースです。
レンタルとリースは同じ意味を持つサービスのように見えますが、実は細かい部分が異なります。本記事では、レンタルとリースの仕組みやメリット・デメリット、費用などの違いについて紹介していきます。
目次
レンタル契約とは
レンタル契約とは、レンタル会社が所有する物品を顧客に対して短期間貸し出す契約のことです。レンタルは、一般的に車やDVD、レンタルスペースがよく知られていますが、コピー機や複合機などのOA機器、事務用品、設備、什器など様々なものが借りられます。
レンタルは一時的な使用を前提としたもので、レンタル会社があらかじめ所有しているものを利用者に貸し出すという仕組みです。
リース契約とは
リース契約は、リース会社が機械や設備を利用者に代わって購入し、長期的に賃貸することです。リース契約の対象となる物品は多岐に渡り、パソコンやサーバなどのIT機器のほか、OA機器、営業用の自動車、工場における産業機械、工作機械、重機などが挙げられます。
リースの種類は、ファイナンスリースとオペレーティングリースの2つです。日本国内で通常使われている「リース」という言葉は、一般的にファイナンスリースを指し、オペレーティングリースの形態がとられるケースはほとんどありません。
ファイナンスリース
ファイナンスリースとは、貸手が利用者の代わりに物品を購入して貸し出すことをいいます。
ただ、利用者は「リース料を払って物品を借りる」形ではあるものの、実質は分割払いで購入しているのと同じです。リース契約期間中に途中解約できず、資産の保守・修繕義務が利用者にあります。故障などリース物品の使用に伴って生じる費用を借手が支払うことなどが特徴です。
借手は、一括で購入することなく機械設備などの資産を利用できるため、実質的に自社で購入した資産と同様に利用可能です。一方、貸手は毎月安定したリース料を獲得でき、契約期間中に安定して大きな利益を得続けられます。
ファイナンスリースの種類は、リース料支払い後に物品が利用者のものになる「所有権移転ファイナンス・リース取引」と、所有権がリース会社のまま変わらない「所有権移転外ファイナンス・リース取引」の2つです。
オペレーティングリース
オペレーティングリースは、ファイナンスリース以外のリースの総称をいいます。契約期間に応じてリース料を支払い、契約期間が終了した時点でリースしていた資産を返却しなければいけません。
リース期間は、自由に設定できるという特徴があります。オペレーティングリースでは、リース期間分だけ料金を支払うので、ファイナンスリースよりもリース料は安くなります。
また、所有権は貸手にあるため、資産が故障した際はリース会社が修繕費を負担します。
レンタルとリースの違い比較表
レンタル | リース | |
契約期間 | 短期 | 中長期 |
途中解約 | 可能 | 原則不可 |
貸し出す物品 | レンタル会社の在庫にある物品 | 借手の希望に応じてリース会社が購入した物品 |
納期 | 短納期が可能 | 短納期が困難 |
物品の状態 | 中古 | 新品 |
物品の所有権 | レンタル会社 | リース会社*実質的には借手 |
保守・修繕の義務 | レンタル会社 | 借手 |
料金体系 | 日・月あたりの定額 | 物品価格×リース料 |
料金 | リースより割高 | レンタルより割安 |
契約終了後の扱い | レンタル会社へ返却、または再契約 | リース会社へ返却、または再契約 |
レンタル契約のメリット
上記の表を踏まえ、まずはレンタル契約のメリットを3つ紹介します。
短期でも利用できる
レンタル契約は短期で必要なときだけ利用できます。さらに、在庫状況や配送の手配ができれば、問い合わせから最短即日あるいは数日内でスピーディーに納品することも可能です。
途中解約ができる
リース契約は途中解約できないのに対して、レンタル契約は基本的にいつでも契約を解約して返品できます。ただし、利用するサービスの内容によっては違約金が発生するケースもあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
保守・修繕の手間や費用がかからない
保守・修繕の義務はレンタル会社が負うことになります。このため、利用者は定期メンテナンスや修理の際に費用の負担がありません。
レンタル契約のデメリット
次に、レンタル契約を利用する際に注意しておきたいデメリットを2つ紹介します。
物品の選択肢が狭い
レンタル会社が所有する物品からレンタルしたい物品を選定するため、物品の選択肢が狭くなります。また、レンタルで借りられる物品は、もともとレンタル会社が所有しているものであるため、中古品がほとんどです。
物品の性能やサイズなど、希望と違う物品を使うことになる可能性があります。
料金が割高になりやすい
料金を日割り計算すると、短期であればレンタル料金のほうがリース料金よりも割安です。レンタル契約は短期的な賃借を前提としており、途中解約できることや保守・修繕の義務がないなど、リース契約よりも自由度が高い分、料金が割高になります。
リース契約のメリット
この章では、リース契約のメリットについて3つ紹介します。
新品を使用できる
機器や設備が古くなると、業務効率に悪影響を及ぼす可能性もあります。リース契約では、利用者の希望をもとにリース会社が購入した物品を貸し出すため、新品を使用できます。
OAやIT機器をリースすると、最新機能を搭載したモデルや新品を使用できるため、業務効率が上がるでしょう。契約期間は、法定耐用年数より短い期間内にすると、購入するよりも効率的に新品を使用できます。
初期費用を抑えられる
設備導入の際、購入すると多額の初期費用がかかりますが、リース契約の場合は初期費用を抑えられます。リース契約は、購入ではなく借りるための契約であるため、月々のリース料を払えば設備を導入できるからです。
物品や設備の更新が容易にできる
通常、物品を購入すると償却の関係で新しい物品に更新しにくいものです。リース契約の場合は、あらかじめ耐用年数に合わせたリース期間を設定することによって、全額償却をしたのと同じ結果になります。
このため、物品や設備の更新が容易です。
リース契約のデメリット
次に、リース契約を利用する際に注意しておきたいデメリットを2つ紹介します。
途中解約ができない
リース契約は、税法上、途中解約ができません。どうしても解約をしたいときは、違約金を支払い、強制的に契約満了することになります。
保守・修繕を自社で行う必要がある
レンタル契約と異なり、リース契約は保守・修繕を自社で行う必要があります。このため、リース契約している物品が故障、あるいは破損した場合、修繕費用は利用者が負うことになります。
また、物品の修繕が不可能な場合、残りの契約期間分の代金も支払わなければならない可能性があります。
レンタルとリース、どっちが良い?
ここまでレンタルとリースの違いについて紹介してきましたが、結局どちらがいいのでしょうか?最後にレンタルとリース、それぞれに向いているケースを紹介します。
レンタルが向いているケース
レンタルは、物品を短期で使用したい場合や数回しか使用しない場合におすすめです。
リースが向いているケース
リースは数年かけて購入代金を返済していく仕組みなので、長期的に継続して物品を使う場合におすすめです。
まとめ
本記事では、レンタルとリースの仕組みやメリット・デメリット、費用などの違いについて紹介しました。業務で必要な設備や物品を全て購入しようとすると、コストは膨大なものとなってしまいますが、レンタルやリースを活用することで、初期費用を抑えながら物品や設備を使用できます。
短期間使用する場合はレンタル、長期間使用する場合はリースがおすすめです。レンタルとリース、それぞれのメリット・デメリットを十分に理解し、期間と目的に合わせて使い分けていきましょう。