2030年問題とは、日本の少子高齢化問題によって労働人口が減少する社会問題の呼称です。
2030年には、日本の総人口の内、約1/3が高齢者になると言われており、それに伴い労働人口の割合が減少します。
増えていく高齢者を支える労働人口が減少することは、日本の医療・社会保障などに影響を与えますが、問題はそれだけではありません。
特に企業にとっては、経営を続けていくうえで深刻な問題であるといえるのです。そこで今回は、2030年問題が企業にもたらす影響について見ていきます。
2030年問題の対策方法についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
2030年問題とは？
2030年問題とは、少子高齢化によって2030年頃に浮き彫りになると予測されている社会問題のことです。
少子高齢化による医療・社会保障問題など、日本経済全体でさまざまな問題に直面すると考えられています。
特に、日本は2007年以降世界を先駆けて超高齢化社会へと突入し、以降生産年齢人口が年々低下の一途を辿っています。
参考：厚生労働省「超高齢社会と終末期医療」
生産年齢人口が減少するということは、日本の経済を回す人材が不足するということです。
それに加え、団塊世代が50代後半となり、リタイアに向けて後任者に引継ぎや育成などもしなければなりません。その結果、企業にはさまざまな影響があります。
2030年問題が企業にもたらす影響
2030年問題によって労働人口が減少すると、企業に以下のような影響を与えます。
- 人材確保が難しくなる
- 人件費が上昇する
- 離職率が上昇する
- 事業継続が危うくなる
それでは詳しくみてみましょう。
1.人材確保が難しくなる
まず、人材の確保が難しくなることです。
2030年頃は団塊世代の定年退職し、労働人口が今よりも減少している時期で、業界全体で人材の補充が急務になるからです。求人を出しても応募がなく、更には求める優秀な人材が採れなくなります。
その結果、企業間の採用活動の競争は激化していくでしょう。
2.人件費が上昇する
次に、人件費が上昇することも大きな影響です。
先にお伝えしたとおり人材確保が難しくなります。その結果、より優秀な人材を採用するために「採用条件の競争」が激化すると考えられています。採用条件の競争とは、言ってみれば待遇の引き上げ競争です。
採用難は、人材にとって売り手市場となるため、給与などを始めとして、より好条件の求人に応募が集まります。
そして、人材はよりよい条件を求めて転職がしやすくなるため、企業は人材を確保するために人件費などを引き上げなければならなくなります。
3.離職率が上昇する
続いて、離職率が上昇することも影響の1つです。理由は採用難と人件費の上昇の弊害にあります。例えば、高待遇で社員を採用したとしても、職場の人材不足によって業務負荷が増えると不満を招き、離職につながります。
また、業務量にあった待遇を求めて転職する人材も少なくありません。こうして人材の出入りが増えると、業務運営が安定せず、滞ってしまうでしょう。
根本にある問題は、人材不足と非効率な業務運営です。その結果、離職率は上昇してしまいます。
4.事業継続が危うくなる
最後に、最も大きく深刻な影響として事業継続が危うくなることが挙げられます。原因は、前述の1～3までが重なることです。採用難や人件費上昇に加えて定着しなくなると、求める人材が社内に定着せず、各部署の運営と業務品質が低下する事態になりかねません。
例えば、下記のようなことが考えられます。
- 営業の人員が足りないため、契約率が減少
- 担当者がいないため十分なサービスが行えず、顧客満足度が減少
- 人員が足りないため工場が稼働できず、出荷数が減少
これらは業績が悪化する引き金であり、あわせて事業継続の危機を招く黄色信号といえるでしょう。
2030年問題は、日本経済全体で悪化すると考えられていますが、特に影響が大きい業界を次項でご紹介します。
2030年問題の影響が大きい業界は？
2030年問題によって、特に労働力不足の影響を受けるといわれている業界は以下のとおりです。
- 医療・介護業界
- 建設業界
- IT業界 など
医療・介護業界
医療・介護業界は、2030年問題の原因とも言える少子高齢化によって高齢者が増えるため、利用者の増加に伴い、医療・介護で働く人材ニーズが更に高まると言われています。
しかし、労働力不足によって一人ひとりの業務負荷が上がり、十分なサービスを行えなくなるかもしれません。
そのまま少数精鋭で働く環境が続けば離職率が上がり、人材獲得競争が激化すると考えられます。
建設業界
建設業界は、肉体労働や長時間労働、休日数が少ないというイメージにより、若い層に就業希望者が少ない業界の1つです。
政府が時間外労働の上限規制をしたことから近年は減少傾向にあります。しかし、日本建設業連合会の「建設業デジタルハンドブック」によると、2023年は調査産業計に比べて労働時間が年間約250時間多いという結果が出ています。
また、年間出勤日数も、調査産業計に比べて30日多いため、週休2日が十分に定着していないようです。
そのため、少ない応募者の中から希望する人材を探さなければなりません。
また、専門性のある技術が必要な業務が多く、人材不足により技術の継承も十分に行えない可能性があることも、重要な課題とされています。
年々業務の自動化は進んでいますが、建設業界は豊富な経験や技術が必要とされる業務が多く、業務効率化を進めにくいのが実情です。教育を行う時間と労力のコストも高くなります。
参考：日本建設業連合会の「建設業デジタルハンドブック」
IT業界
IT業界は、一般企業のデジタル化や最新テクノロジーの技術躍進により、人材ニーズが増えている業界の1つです。
常に新しい技術が開発されており、対応できる人材の育成が間に合わないほどです。技術の進歩に比例してますます人材不足は加速し、人材の獲得競争も激化していくと考えられています。
以上のように、人材不足による企業の影響についてお伝えしてきましたが、いったいどのような解決策があるのでしょうか。次項で詳しくご紹介します。
2030年問題への具体的な対策5選
2030年問題への具体的な対策は、以下の5つです。
- 働き方の多様化など、環境を整備する
- 従業員のリスキリングを実施する
- シニア人材を活用する
- デジタル化で業務効率を高める
- 業務を振り分け、外部委託も検討する
それでは詳しく見てみましょう。
1.働き方の多様化など、環境を整備する
1つ目は、働き方の多様化や労働環境の整備です。
例えば、定年延長や女性の社会進出促進、リモートワークの普及などがあげられます。
労働環境の整備や改善は、現在雇用している職員の離職率を減らすだけでなく、魅力的な企業であることをアピールでき、応募総数のアップが見込めます。
つまり、働き方改革を進めることで労働力不足が解消され、生産性を向上できます。
2.従業員のリスキリングを実施する
2つ目は、従業員のリスキリングを実施することです。
リスキリングとは、従業員に新たなスキルを習得させることや、既存スキルをアップデートさせることです。
例えば、スキルアップ研修への参加を積極的に援助したり、企業内でリスキリングのプログラムやレクリエーションの場を設けたりしてもよいでしょう。
企業側の教育投資の負担が大きく感じられますが、若い世代が新しい知識を得ることで、将来の大きな戦力として期待できます。
モチベーションアップや配置転換、既存業務の改善にもつながるため、初期投資として積極的に検討しましょう。
3.シニア人材を活用する
3つ目は、シニア人材を活用することです。
日本人の平均寿命が伸びていることに比例して、60歳以降の人口も年々増加しています。
それに比例して、60歳〜64歳男性の就業率は約8割と年々上昇傾向にあるようです。
更に、70歳以降も働くことを希望する高齢者（60歳以上）は約8割と言われており、60歳以上の就業率も増加していくと考えられています。
知識と経験豊富なシニア人材を上手に活用することで、人材不足解消が見込めるでしょう。
参考：内閣府「令和6年版高齢社会白書」
4.デジタル化で業務効率を高める
4つ目は、デジタル化で業務効率を高めましょう。
業務の効率化を図ることで、一部の人材に業務が集中することを防ぎ、少ない人員でもスムーズに運営できるようになります。
例えば、紙媒体のものをデジタル化することで、ファイリングや管理といった雑務を減らすことができます。
勤怠時間を管理できるシステムを使用すれば、勤務日数の管理や給料計算といった業務を簡略化することができ、ヒューマンエラーのようなミスも少なくなるでしょう。
また、業務をデジタル化する際にマニュアルを作成することで、誰でもマニュアルを見れば業務を行うことができるため、属人化を防ぐことにもつながります。
デジタル化は、2030年問題に向けて進めておくべき対策なのです。
5.業務を振り分け、外部委託も検討する
5つ目は、業務を振り分け、外部委託も検討することです。
業務を専門性がいる内容と雑務とで分け、委託可能なものはアウトソーシング（外部の業務委託サービス）の利用も検討してみてください。
例えば、データ入力や発注業務などの雑務を外部に任せることで、社員はより重要な業務に集中でき、業績アップにつながります。
さらに、財務や翻訳、Webサービスなど、専門性の高い業務を委託することで、より質の高いサービスを提供できる可能性もあります。
ここまで、2030年問題を乗り切るためのさまざまな方法をご紹介しました。
しかしながら、今までの業務内容を一新して、すぐに全ての対策を検討し実行するのは難しいことでしょう。
そこで、最後に解説したアウトソーシングの一例をご紹介します。
2030年問題対策に！オンラインアシスタント「フジ子さん」
フジ子さんは、経理・秘書/総務・人事の他に、翻訳・Webサイト運用のような専門性のある業務を遠隔でサポートしてくれるサービスです。
オンラインアシスタントに必要な業務を依頼できるのが特徴で、人材不足の解消が期待できます。
フジ子さん🄬にできること
| 経理 | 秘書/総務 | 人事 | Webサイト運用 | カスタマーサポート |
| クラウドツールの導入サポート振込み、支払い補助代行記帳代行経費精算 | 備品購入代行出張手配やお店の予約資料作成調べもの、リサーチ業務翻訳、英語メール対応 | 給料計算求人広告の出稿と管理面接スケジュール調整入社、退職の手続き勤怠管理 | Webページの編集SNSの運用代行ECサイトの運用代行クラウドソーシングの管理画像の加工、編集 | お問い合わせの一次対応折り返し電話対応WEB会議の司会クレームレポートの対応 |
この他にも、ラミネートや書類の印刷・スキャン、発送などのオフライン作業も可能です。
このように、多種多様な作業を依頼できます。続いて、フジ子さんの成功事例をみてみましょう。
2030年問題の影響が大きい業界の導入事例をご紹介
2030年問題で、特に影響が大きいと言われている業界の導入事例を2つご紹介します。
- 医療業界
- 建設業界
株式会社corte 様
業種：医療・ヘルステック
株式会社corte様は、薬局で患者さんの薬歴作成を支援するサービスを提供する企業です。
代表者が事務関係の仕事を全て1人でこなされ、非常に時間を奪われていたことがお悩みでした。
事務のアウトソーシングを検討した際、オンラインアシスタント「フジ子さん」の柔軟な契約形態が決め手となりました。幅広い業務を依頼可能で、契約期間の縛りがなかったからです。また、業務マニュアルなしで頼めることと、安定したサポートが受けられることも魅力でした。
その結果、事務作業に時間をとられることなく、コア業務に集中できるようになりました。
建築設計事務所 様
業種：建設・不動産
建設設計事務所様では、バックオフィス業務の人員不足がお悩みとのことでした。
人員不足を改善するため、バックオフィス業務のアウトソーシングサービスを比較検討したところ、オンラインアシスタントの「フジ子さん」を導入することになりました。決め手は、他のサービスよりリーズナブルであり、無料トライアルで事前に試せる点です。
その結果、雑務が軽減し、本来の業務に時間が割けられるようになりました。
低コストなだけでなく、入社準備や勤怠管理が不要なことにも満足しています。
どちらの企業様からも、フジ子さんをご利用いただいたことでコア業務に集中できるようになったとお声をいただいております。
ぜひ一度、フジ子さんにご相談ください。
まとめ
2030年問題は、あと数年後に必ず起きる社会問題です。
日本経済だけでなく、各企業にとっても対応が急務であることはご理解いただけたと思います。
働き方改革やデジタル化などの具体的な解決方法はありますが、なかなか初期投資や実施するまでに時間を要するため難しい場合もあるでしょう。
そのような時は、先ほどご紹介したフジ子さんのような外務委託サービスを取り入れるのも良策です。
コスト削減や業務の効率化、優秀な人材の確保まで一挙に解決できるフジ子さんを、2030年問題対策の1つにいかがでしょうか。
