企業にとって、コア業務の他に必要なバックオフィス業務は多岐にわたります。その中でも、年末調整は重要な業務の一つですね。
しかし年末調整は複雑で、膨大な時間を要するため、日々の業務を圧迫しかねません。そんな企業の悩みを解消してくれるのが、アウトソーシングを利用するという方法です。
この記事では、年末調整をアウトソーシングすることで得られるメリットと注意点をご紹介します。
目次
年末調整のアウトソーシングとは?
まずは、年末調整についてご説明します。年末調整とは、所得税を精算する制度のことです。
会社員や公務員の方は、給料から税金が差し引かれていると思います。これを源泉徴収と言い、概算で多めに徴収されていることがほとんどです。その年の年間所得はその年の終わりまで確定していないため、このような方法がとられています。
年末調整を行い、年間の給与額と控除額を改めて計算し、所得税を正確に算出します。本来の所得にかかる所得税よりも多く徴収されていれば還付され、不足していたら追加で徴収されます。
年末調整は事業主の義務で、一般的には経理や総務、顧問税理士が担っています。
必要な業務とはいえ、ただでさえコア業務も多忙な時期に行われる年末調整は、担当者にとって負担が大きいことは否めません。
そこで注目したいのが、年末調整を代行してもらうアウトソーシングです。
年末調整の外注先は、税理士資格の保有者、もしくは税理士在籍の代行業者である必要がありますが、その分プロがしてくれるという安心感がありますね。
依頼先には例えば、税理士を紹介してくれる会社や、税理士法人、経理・記帳代行のサービス会社など様々です。
年末調整については、過去の記事でも紹介しておりますので是非ご覧ください。
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年末調整業務が大変な理由
実際に業務を行ったことのない方でも年末調整業務が大変だということは想像していただけると思いますが、さらに具体的に説明します。
①年末調整の時期は担当者の残業が増えがち
年末調整は例年11月~12月にかけて行われます。この時期にまとめて申告書のチェック、税額計算など、普段の業務に加え専門的な知識と正確性が求められる業務を行わなければなりません。
そのため、担当者は残業せざるを得ない状況がよく見られます。
②社員数の増加により対応が困難に
社員数が多いほど、年末調整の作業量も増えます。
社員の増加は嬉しいことではありますが、年末調整業務の担当者が増えない限り、負担はますます増え対応が困難になっていきます。
③書類の記入・提出の手間が煩わしい
年末調整は以下のような流れで行うのが一般的です。
- 従業員による申告書類の作成と提出・所得税額の計算
- 法定調書合計表等の作成と提出
- 源泉徴収税の納付
従業員たちの提出物の管理を慎重に行ったうえで、一人ひとりの所得税の計算をして記入、更に「法定調書合計表」「支払調書」「源泉徴収票」を作成。それらをまとめて税務署へ提出しなければなりません。
さらに、上記の作業にあわせて「給与支払報告書」を作成し、従業員の居住する自治体へ提出する必要も生じます。
これらの書類の作成や提出に、非常に手間がかかるのです。
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④申告漏れ、申告ミスがあると、再申告となり追徴課税となるリスクがある
前項で挙げたように、年末調整担当者が行う業務は多く、更に専門性も求められます。
多忙による疲労や確認不足などにより、ミスを引き起こしてしまう可能性もゼロではありません。
もし過年度分で誤りがあった場合には、再調整が必要です。
修正後に不足分が発生した場合、追加徴収が必要となり、まずは会社から不足分を支払い、従業員にも徴収請求を行います。
また、税務署から半年後に誤りの通知がくる場合もあります。申告漏れやミスは、後々に手間もかかりますし、無申告加算税が発生する場合もあるので要注意です。
年末調整をアウトソーシングする6つのメリット
ここからは、煩雑かつ負荷の多い年末調整業務をアウトソーシングする6つのメリットについて解説します。
1.担当者の作業負荷を軽減
年末調整の時期は、通常業務に手が回らなくなってしまうほど、担当者は多忙になります。
よって残業が増えてしまう…という負のループが、アウトソーシングの利用によって緩和されるでしょう。
2.プロによる質の高い処理を実現
経理の専門知識を持ったプロに年末調整業務を依頼することにより、高クオリティでミスの少ない成果を挙げることが期待できます。また社内だと時間がかかっていた業務も、経験豊富な代行業者によってスピーディーに仕上げられる可能性が高まるでしょう。
3.年末調整に関するコストの削減
年末調整の業務を行うには、記入・申請・集計用の紙やデータ容量、管理費など細々としたコストがかかってしまいます。アウトソーシングすることにより項目ごとの細かい管理が不要となるため、企業にとってコスト削減に繋がります。
また、担当者の時間外労働など、人件費のコストカットも期待できそうです。
4.マイナンバー管理の不安が解消
2016年からマイナンバー制度の運用がスタートし、それ以降の年末調整にはマイナンバーが必須となりました。本人だけではなく、控除対象扶養家族のマイナンバー記載が必要です。
マイナンバーは非常に重要な個人情報であるため、管理を任される担当者は管理に神経をつかうことになります。セキュリティ管理において信頼できるプロのアウトソーシング先を見つけることで、その負担を軽減できるはずです。
5.業務品質に統一感が生まれ社内共有・引継ぎがスムーズ化
毎年行う年末調整の代行業者を決めることで、業務品質のムラがなくなることが見込めます。
煩雑な業務は概ねアウトソーシング先に依頼することになるので、社内での年末調整に関する業務はいたってシンプルに。よって社内共有や引継ぎも簡易的かつスムーズに行えるでしょう。
6.経営者や社員のリソースの有効活用
年末調整を経営者または従業員が行うと、その時間に人手がとられ、当然コア業務の人員が削減されてしまいます。そうなると、コア業務にも支障が出てしまいますね。
年末調整をアウトソーシングすることで煩雑な業務から解放され、本来優先すべき営利活動に時間と労力を費やすことができるでしょう。
アウトソーシングできる年末調整業務の種類
年末調整をアウトソーシングできる年末調整業務について、具体的にご紹介します。
アウトソーシングする先の会社によって異なりますが、一般的には以下の業務が含まれています。
- 従業員向け「年末調整に必要な提出物」の案内作成
- 回収した申告書の内容チェック
- 不備対応と進捗管理
- 年末調整控除データの作成
- 年税額の計算および過不足税額資料の作成
- 源泉徴収票の作成
- 法定調書合計表の作成
- 給与支払報告書の作成・市区町村役所への発送
ただし、依頼先の会社によってはオプション料金が発生する場合もあるので、見積もりの際に、含まれている業務内容はしっかりと確認しましょう。
年末調整代行サービスを導入する流れ
年末調整をアウトソーシングするという方法に魅力を感じたら、早速社内で導入を検討し、リサーチされるかと思います。導入までの一般的な流れは以下になります。
①問い合わせ
ネット検索や紹介で気になる事業者が見つかったら問い合わせをしましょう。そこでまずは、担当者との面談日程のすり合わせを行います。
②相談・ヒアリング
年末調整代行事業者の担当者と面談、もしくは電話などで現在抱えている悩みや希望などを相談できる場が設けられます。この時までに、これまでの業務の流れや、困っていることなど社内で洗い出しておくとスムーズです。
相談時間については「1時間は無料」など、依頼先によってサービスが異なるため、事前に確認しておくと安心です。
③提案・見積もり
面談の後、プランや見積もりの提示があります。この時に、どのような業務内容が含まれているのか、または含まれていなくて別途オプションなのかなど、細かくチェックすることが重要です。
④契約・サービススタート
提案内容を社内で吟味し、問題がないようであれば正式契約を結びます。
ひとつのポイントとして、契約先を決めるまでに複数の会社を比較検討してみるのがおすすめです。料金やサービス内容など、より自社に合ったアウトソーシング先を見つけやすくなるでしょう。
年末調整代行サービスの料金相場は?
ここからは、年末調整代行サービスの料金の相場を、代行会社の紹介と共に解説します。
1.ウェブゼイム
ウェブゼイムは、税理士を紹介するサービスを行う会社です。紹介料は無料で、さらに「最低料金保証付き」であることから、業界最安値を売りにしています。
顧問税理士の紹介をはじめ、年1回の決算時期だけ利用する、というスポット対応も可能なので、企業にあった形での利用ができますね。全国各地で利用できることもポイントです。
【年末調整サービス料金】以下税込み価格
- 従業員3人以下:一律11,000円
- 4~10人:基本料金6600円/回、サービス料金1,650円/人
- 11~20人:基本料金8,800円/回、サービス料金1,540円/人
- 21~30人:基本料金12,100円/回、サービス料金1,430円/人
- 31~50人:基本料金16,500円/回、サービス料金1,320円/人
- 51人~:見積もり
年末調整計算だけではなく、源泉所得税納付書の作成・法定調書合計表の作成から提出まで、年末調整に関すること全てを格安で税理士が代行するので、コストをおさえたい場合におすすめです。
2.経理外注・記帳代行センター
「経理外注・記帳代行センター」はマクシブ総合会計事務所が運営しており、東京都を中心に経理代行を行っています。
現在は年末調整のみの受付は停止しているものの、その他の様々な経理業務も併せて依頼したいと考えている方にはおすすめできるサービスです。
【年末調整サービス料金】
- 基本料金:一律5,500円/回
- 従業員10人以下:計算料金1,650円/人
- 11~20人:計算料金1,540円/人
- 21~30人:計算料金1,430円/人
- 31~50人:計算料金1,320円/人
- 51~100人:計算料金1,100円/人
- 101人~:基本料金、計算料金共に別途見積もり
3.税理士法人YFPクレア
「税理士法人YFPクレア」は、首都圏に7拠点を置き、企業はもちろん、医院や芸能関係者など幅広いジャンルで経理サポートをしている会社です。
年末調整の依頼方法はシンプルで、企業側は「扶養控除等申告書」と「保険控除等申告書」「配偶者控除等申告書」を書いてクレアに送ればOK!
年末調整だけの依頼も可能かつ、クラウド化している場合も代行可となっています。柔軟な対応はとても安心できますね。
同サービスに給与計算代行を依頼している場合は、基本料金無料で、一人当たりの料金のみで年末調整の代行を行ってくれます。
【年末調整サービス料金】
〇計算料金:100名以下の場合2,000円~/人
〇基本料金:給与計算の依頼ありの場合無料
給与計算の依頼がない場合は以下のとおり
- 1~10名:20,000円/回
- 11~30名:25,000円/回
- 31~50名:30,000円/回
- 51~100名:35,000円/回
- 101名以上:基本料金、計算料金共に見積もり
4.ECOMIC
「ECOMIC」は給与計算や年末調整など、バックオフィス業務のアウトソーシングをしてくれる会社です。
年末調整については、専用のクラウドシステム「簡単年調」を利用することにより業務工程の大幅な削減を実現。申告内容の確認や訂正依頼も、すべて同社が代行してくれます
導入実績は1,300社以上で、多種多様な企業が導入し業務のスリム化を叶えています。
【年末調整サービス料金】
- 499名以下:初期費用100,000円、基本料90,000円、処理料金840円
- 1,000~1,999名:初期費用150円/人、基本料275,000円、処理料金690円/人
- 9,000~9,999名:初期費用150円/人、基本料2,000,000円、処理料金480円/人
年末調整のアウトソーシング料金の相場は、基本料金+従業員の人数によって1人あたりの費用が変わります。基本料金を除くと、1人あたり840円〜2,000円が相場です。
年末調整をアウトソーシングする際の4つの注意点
ここまでで、年末調整をアウトソーシングするまでの流れや、かかる費用の相場について説明しました。
アウトソーシングの利用は、企業にとって大きなメリットですが、注意すべき点もあります。気をつけなければならない点を4つご紹介します。
1.信頼性のあるサービス・代行パートナーを選択
まずは、信頼できるパートナーになるかどうかの見極めです。
その見極めには、知名度や経験実績などが指標になるでしょう。口コミや、ホームページの事例などを事前にチェックすることは重要です。
専門知識と豊富な経験を持った企業を選ぶことで、精度の高いサービスを受けることができます。
2.アウトソーシングが可能な業務範囲を確認
代行業者によって業務内容に違いがあります。契約した後に、代行業者に依頼する認識だったものが、企業側でしなければならないことだった、ということがないようにしっかりと確認しておきましょう。
オプション対応として、追加料金を支払うことにより依頼する業務範囲を広げられる場合もあります。対応可能かどうか、事前に担当者に確認しておくと良いでしょう。
3.データ管理と情報セキュリティ対策の徹底
年末調整をアウトソーシングするにあたり、企業は社員の重要な個人情報を外部に預けることになります。依頼する代行業者のデータ管理方法や、セキュリティ対策における意識の高さを確認することはとても重要です。
4.業務代行先との円滑なコミュニケーション
業務代行先がプロだからとはいえ、依頼した後すべて任せきりにするのはNGです。
万が一、問題が発生した場合に、トラブルの発見・対処に遅れが生じてしまうほか、企業側で訂正処理が必要な場合、対応が後手後手となってしまう懸念があります。
都度進捗を確認し、代行業者から連絡があったならばすぐに対処できる環境を整えておくのが、上手なアウトソーシングの利用方法です。
まとめ
今回の記事で、年末調整をアウトソーシングするメリットと注意点を説明しました。
注意点を考慮すれば、年末調整という煩雑な業務をアウトソーシングすることは、企業の円滑な運営に直結しそうですね。
前述したように、年末調整は税理士資格を保有している人ではないとできません。
年末調整をアウトソーシングする際は、税理士もしくは、税理士が所属している業者かどうかきちんと確認しましょう。
このように、士業の独占業務といった専門性の高い業務は特定の資格を保有している人でないといけませんが、経理業務などのバックオフィス業務はとても手がかかりますよね。
「フジ子さん」でも、士業の独占業務以外の経理のアウトソーシングを承っています。
経理のエキスパートチームもあり、年末調整の準備のお手伝い、給与計算や記帳業務も対応可能です。
経験豊富なスタッフが、企業のバックオフィスをお手伝いします。
無料トライアルでお試しができるので、お気軽にお問い合わせください。