VBAで実現!業務改善の事例7選やVBAでできることなど徹底解説

「日々のルーティン作業に時間がかかっている」「もっと効率的に仕事を進めたいけれど、どうすればいいか分からない…」そんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。

本記事では、日々の作業を劇的に効率化するVBAの具体的な活用事例をご紹介します。

VBAが初めての方でも、VBAで何ができるのか、導入のメリット・デメリット、VBAの学習方法がわかります。業務改善で時間を生み出し、仕事の質を高めるための情報を、ぜひ最後までご一読ください。

VBAとは

VBAとは「Visual Basic for Applications」の略で、MicrosoftのExcelやWordなどのOffice製品に組み込まれているプログラミング言語です。

手作業で時間をかけて行っている作業がを、VBAを使えば一瞬で終わります。

プログラミングと聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、Excel操作に慣れていれば、基本的なVBAのコードは意外とシンプルです。

VBAとマクロとの違い

自動化と言えばよく耳にする「VBA」「マクロ」ですが、それぞれ意味が少し違います。

まず「マクロ」とは、作業の手順を記録して、繰り返し再生できるようにする仕組みです。表の整理や計算、印刷など一連の操作を自動化できます。同じ手順を何度も手作業で行う必要がなくなるため、業務の効率化が期待できます。

一方で「VBA」は、マクロを動かすためのプログラミング言語です。

VBAはマクロだけでなく、書類の自動作成やメールの一斉送信など複雑な処理も可能です。

VBAでどんな業務が改善できる?

PC作業や架電業務をしている複数の手元

VBAは毎日くり返し行う作業の効率化やヒューマンエラーを減らすことが期待できます。ここでは、具体的にどんな業務が改善できるのかをご紹介します。

文字列、数値の操作と変換

VBAでは名前の一覧から苗字だけを取り出したり、数字の単位をそろえたりといった「文字や数字の整理」が簡単にできます。具体的には、下記のようなことが可能です。

  • 企業名の「株式会社」だけを削除する。
  • 半角カタカナを全角カタカナにする。
  • 1000という数値を「¥1,000」と表示する。

一つ一つ手作業で行うと手間がかかり、ミスが起こりそうな作業を一瞬で処理できます。

転記作業の自動化

Aの書類からBの表へデータを転記したり、まとめたりする作業も、VBAで自動化が可能です。これにより、毎月の売上集計や報告書作成などの面倒な作業を効率化できます。人の手で転記するとミスが起きやすいですが、VBAなら同じ手順を正確にくり返すのでヒューマンエラーを防げます。

マクロ作成で操作をボタン1つに

VBAでは「マクロ」という機能を使って、一連の操作を記録できます。そして、それをボタン1つで実行できるようにすることも可能です。例えば、「表を整理して、グラフを作り、PDFで保存する」といった流れも、1クリックで完了できます。マクロの作成者以外も、ボタンをクリックするだけで、複雑な作業を誰でも簡単に実行できます。

フォーム設計で入力・申請をスムーズに

VBAを使うと、入力フォームや申請画面を作ることもできます。プルダウンリストやチェックボックスなどが設置できるため、必要な情報を簡単に入力することが可能です。選択式にすることで入力ミスを防ぎ、業務のスピードアップにもつながります。

Office製品との連携

VBAはExcelだけでなく、WordやOutlookなど他のOffice製品とも連携できるのが大きな強みです。例えば、Excelにある情報を使ってWordで報告書を作成したり、Outlookで自動的にメールを送信したりなどが可能です。複数のソフトをまたいで使う作業も、VBAならスマートにまとめられます。

Web APIとの連携で最新データを自動収集

VBAは、インターネット上のサービスとつながることもできます。これを「Web API連携」といいます。例えば、為替レートや天気予報などの最新情報を、自動でExcelに取り込むことが可能です。手動で検索して入力する手間がかからないうえに、リアルタイムに近い形で最新情報を収集し、活用できます。

VBAが苦手な業務・向いていない業務

VBAは業務を効率化するための便利なツールです。しかし、すべての業務に適しているわけではありません。

ここでは、VBAが苦手な業務・向いていない業務について、いくつか代表的な例をご紹介します。

膨大なデータ処理

VBAは日常的なデータの集計や転記にはとても便利ですが、数万行〜数十万行といった大量のデータを処理するのはあまり得意ではありません。

例えば、売上データを毎日何十万件も記録するような業務では、VBAでは処理に時間がかかってしまったり、場合によってはフリーズしてしまったりするしまうこともあります。

膨大なデータを処理したい場合は、専用のデータベースソフト(AccessやSQL Serverなど)を利用する方が安定し、スムーズに作業を行えます。

サポート範囲外のアプリとの連携

VBAはMicrosoft Office製品(Excel・Word・Outlook・Accessなど)と連携するのが得意です。しかし、Office以外のソフトやWebアプリと連携したい場合は、できることが限られてしまいます。

例えば、会計ソフトや在庫管理システムなど、Office製品以外の業務ソフトと連携したいとき、VBAでは直接操作できないことがあります。場合によっては「API」と呼ばれる仕組みを使って連携することも可能ですが、そのためにはプログラミングの高度な知識が必要です。

こういったケースでは、PythonやJavaScriptなど、より柔軟に他のシステムとつながる言語の方が適しています。

OCRや画像解析などの複雑な処理

VBAは、基本的には「数字や文字のデータを扱うこと」が得意です。そのため、手書きの文字を認識するような高度な処理(OCR)や、写真の中から特定のものを探す画像解析などには向いていません。

例えば、手書きの請求書をスキャンして自動で読み取り、内容をExcelに転記したいといった場合、VBAだけでは対応が難しいです。これらの処理には、AIや機械学習の技術を使う専用ツールや言語(Pythonなど)がよく使われます。

VBAで業務改善できる事例7選

VBAは、日々の業務を効率化するためのとても便利なツールです。特にExcelを使う作業で力を発揮し、手入力の手間やミスを減らせます。ここでは、実際にVBAで業務改善できる7つの事例をご紹介します。

請求書やレポートなどの自動作成

取引先ごとの請求書や、毎月の売上レポートなど、決まった形式の書類を大量に作成する業務も、VBAで自動化できます。

ExcelのデータをもとにWordやPDF形式で書類を生成したり、保存先のフォルダを自動で振り分けたりといった処理も可能です。

例えば、顧客リストや注文情報から住所や名前、請求金額などを読み込み、請求書のテンプレートに自動で反映できます。

また、売上データや顧客の行動データなどの情報を使い、グラフの作成や日々の売上集計、月次報告なども自動化が可能です。

メールの一括送信

VBAはExcelに記載された宛先リストに沿って、Outlookからメールを一括で送信することが可能です。
取引先への請求書送付や、社内のお知らせメールなど、同じ内容を複数人に送る業務がとてもスムーズになります。件名や本文を宛先ごとに変えることもできます。

タスクやスケジュールの管理

Excel上に入力されたタスクの内容や締切日をもとに、進捗状況を管理したり、遅れているタスクを自動で目立たせたりする仕組みも、VBAで作成できます。

また、プロジェクトの進行管理によく使われる「ガントチャート」も、VBAを使えば自動で作成が可能です。ガントチャートは手入力で修正や更新を行うと、入力する列を誤ったり、削除してしまったりなどのミスが起こることがあります。そこで更新用のファイルを別に用意し、VBAでガントチャートに反映すればミスを減らせます。

Web上のデータを自動収集・分析

VBAでは、リサーチやマーケティングで必要なWeb上の最新データを自動で取得し、分析することも可能です。例えば、競合他社のWebサイトから商品価格を定期的に取得し、自社の商品価格との比較ができます。

取得したデータをもとに、グラフやレポートを作成することもできるため、情報収集と分析の効率化が期待できます。

勤怠管理や給与計算

VBAを使えば、労働時間や残業時間、給与などの計算が自動で行えます。入力ミスのチェック、集計、警告表示などのを自動化が可能です。できます。例えば、「今月の遅刻回数が○回以上の人に色をつける」などの条件付き処理も簡単に行えます。

顧客リストなどのデータ管理

顧客リストなどのデータ管理もVBAを使えば業務改善につながります。データを入力する際は、重複データのチェック、全角・半角や苗字と名前の間のスペースのあり・なしなどの表記を統一できます。

また、「過去1年間に商品を購入したお客様」など特定の条件に一致する顧客を素早く検索したり、リストアップしたりすることも可能です。

データ量が膨大な場合は、AccessやSQL Serverなどを利用し、VBAで連携する方法もあります。

ログファイルの監視と自動通知システム

システムやアプリが出力するログファイルには、「誰がいつ何をしたか」などが記録されています。VBAではログファイルを監視し、更新やエラーを自動で検出して担当者に通知する仕組みを構築できます。ミスの発見が早まり、素早い対応が取れるでしょう。

VBAを導入するメリット・デメリット

ここまででVBAで業務改善する具体的なイメージが見えてきたのではないでしょうか。ここでは改めて、VBAを業務に導入する際のメリットとデメリットをわかりやすくご紹介します。

VBAを導入するメリット

VBAを導入するメリットは下記の通りです。

  • 反復作業を自動化できる
  • ヒューマンエラーを減らせる
  • 比較的簡単にシステム構築できる

毎日くり返す単調な作業、例えば「データのコピー&ペースト」「決まった書類の作成」などは、VBAで自動化できます。これにより、作業時間を大幅に短縮できるうえ、社員がより重要な業務に集中できるでしょう。

手作業ではどうしても起きてしまう「入力ミス」や「貼り付け間違い」などの人為的なミスも、VBAを使えば防ぎやすくなります。
一度プログラムを組んでおけば、何度繰り返しても同じ手順で処理されるため、安定した品質が保てます。報告書や計算結果にミスがないことは、社内外の信頼を得るうえでもとても大切です。

VBAは他のプログラミング言語と比べると、比較的やさしく始められるのも特徴です。特に、普段からExcelを使っている人であれば、基本的な操作を覚えるだけで簡単なシステムが作れるようになります。
また、すでにあるExcelファイルに組み込むだけで使えるため、新しくソフトを導入する必要もなく、導入コストが低い点も魅力です。

VBAを導入するデメリット

VBAが活躍する場面はたくさんありますが、デメリットもあります。

  • 習得に時間がかかる
  • 属人化のリスク

初めての方にとっては「コードを書く」という作業はハードルが高く感じるかもしれません。簡単な操作はすぐに覚えられますが、複雑な処理や他のシステムとの連携を行うには、ある程度の学習が必要です。
特に、エラーが出たときの対処や、より効率的な書き方を身につけるには、継続して学ぶ必要があります。急ぎの業務改善を目指す場合は、外部のサポートを利用することも1つの方法です。

属人化とは「業務が特定の人しか分からない状態」になってしまうことです。例えば、VBAでプログラムを作成した担当者が退職した後、誰もそのコードの内容が分からないといったケースが考えられます。不具合が起きても対応できない、改善したくてもできないなど、業務に支障をきたすおそれがあります。そのような属人化を防ぐためには、マニュアル作成や複数人でコードをレビューし、コードの内容を理解しておくなどの対策が必要です。

VBAの学習方法

「業務をもっと効率化したい」「自分の手で自動化にチャレンジしたい」と思ったとき、VBAはとても心強いツールになります。ただし、プログラミングに触れたことがない方にとっては、「何から始めればいいの?」と迷ってしまうこともあるかもしれません。

ここでは、VBAをこれから学びたい方向けに、やさしくて実践的な学習方法をご紹介いたします。

初心者向けの書籍やWeb講座を活用する

昨今では、VBAの基本から学べる書籍や、動画で学べるオンライン講座が数多くあります。例えば、以下のような教材が初心者にはおすすめです。

  • 絵や図解が多く使われている入門書
  • 実際の業務例をもとにした「作って覚える」スタイルの本
  • YouTubeやUdemyなどで見られる無料・有料の解説動画

こうした教材を活用すれば、自分のペースで少しずつ学習を進められます。

小さな業務の自動化から試してみる

VBAは「使ってみること」が何よりの学習になります。最初から難しいことに挑戦しようとせず、まずは以下のような簡単な業務から始めてみましょう。

  • シート内のデータを並べ替える
  • 特定の文字を一括で削除する
  • 特定の条件に合ったデータを色付けする

実際の業務で使えるものに挑戦すれば、勉強しながら業務の効率化も実感でき、一石二鳥です。

エラーが出たら検索する習慣をつける

プログラミングにはエラーがつきものです。エラーは決して悪いものではなく、「どこが間違っているのか」「どうすれば直るのか」を学ぶための大切なヒントです。
エラーが出たときは、ネット検索を活用して解決策を探してみましょう。
VBAの解説記事やQ&Aがネット上にはたくさんあります。自力で調べて解決することも、VBAを使いこなすための大切なスキルです。

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まとめ

VBAを活用すれば、日々の手間のかかる作業を自動化し、ミスを減らしつつ業務のスピード向上が期待できます。

今回ご紹介した事例はあくまで一部で、業務内容にあわせてカスタマイズすることで、さらに多くの場面で活用できます。

VBAはとても便利なツールですが、向いていない業務もあります。VBAの「得意」と「不得意」を正しく理解したうえで、上手に活用していきましょう。

VBAは、特別な環境がなくてもExcelさえあれば始められる、実用的なプログラミングです。最初は「難しそう」と感じるかもしれませんが、基本から学べば誰でも活用できます。日々の業務を効率化したいとお考えの方は、ぜひVBAに触れてみてはいかがでしょうか。