昨今、求人票に記載されることも多くなってきた離職率。働きやすさの一つの指針で、求職者が企業を選ぶときの大きな判断材料となっています。採用面接で、離職率を尋ねてくる求職者も多いくらいです。
離職率が高いことは、一概に悪いことではありません。計算方法や計算対象によって割合が大きく変わってくるからです。ただ、一般的に離職率が極端に高い企業のイメージがあまり良くないことは、言うまでもありませんよね。
当記事では、離職率の意味や定義、離職率を下げる方法などを解説していきます。
離職率とは?意味、定義について
そもそも離職率とは、一般的に「ある時点で仕事に就いていた人数のうち、一定期間後に退職した人の割合」のことです。
この「一定期間」は、企業によって異なり、三カ月だったり一年だったり三年だったりします。
計算するときは、企業の期首を起点とするのが一般的ですが、中途採用の場合は入職した日を起点とすることもよくあります。
離職率の計算方法は、ごく簡単にいうと
「一定期間に離職した人÷一定期間の在籍者の人数×100」
になりますが、この「一定期間」をいつからいつまでにするのか、対象者を誰にするのかで数値が大きく変わってきます。
ちなみに、厚生労働省によると、平成28年度の日本の離職率はおよそ15%となっています。
離職率が高い職場・企業の特徴
離職率が高いことは、それだけ社員の入れ替わりが激しいことを示しています。なるべくなら離職率の低い、安定した職場で永く働きたいと思うのは求職者にとって当然です。では離職率の高い職場の特徴とはどういったものでしょうか。いくつか見ていきましょう。
ハラスメントが常態化している
よく聞くハラスメントとして、セクシャルハラスメント、モラルハラスメント、パワーハラスメントなどがあります。
これは、誰がどんな状況で受けてもうれしいものではありません。
なかには、ハラスメントと気づかず、他意も悪気もまったく無くなにかを言ってしまう人もいるでしょう。
しかしたとえ必要な叱責であっても、言い方ひとつで伝わり方は180度違ってきます。
たとえば、なにか失敗してしまった社員に対し、注意だけにとどまらず「給料泥棒」などの暴言を浴びせたり、ほかの社員の前で一人にだけ長々と説教をしたり…。これらは立派なパワーハラスメントになります。
繰り返しになりますが、ハラスメントを受けることは誰にとっても苦痛です。
苦痛を抱えたまま仕事を続けていけば、心身ともに参ってしまい、退職してしまっても無理はないでしょう。
実際、「ハタラクティブ」(運営レバレジーズ)の調査結果によると、2019年にパワハラやセクハラで仕事を辞めたことが「ある」と答えた人は41.8%で、2018年(29.2%)と比べて12.6ポイントも増加していました。
給与が低い
誰であっても、労働に対する報酬は正当にもらいたいと思うものです。
給与が低いとモチベーションが低下していき、結果的にミスにもつながります。
しかしミスをしても、モチベーションが低いので次はがんばろうという気にもならず、またミスを繰り返すという悪循環に陥ってしまいます。こうなると、同僚や上司のみならず、顧客にも迷惑がかかり、会社の信用にも関わってきます。
悪循環に陥った社員は、仕事を続けようという気持ちもなくなってきて、結果的に離職率も高くなるでしょう。人材の確保をするためにも、給与には正当性が必要です。
評価制度がない
給与と同じように、昇進を含めた評価制度も正当なものが必要です。
どんなにがんばっても評価されず、昇進もないのではやる気はなくなってしまいます。
正当な評価制度もないままに、ただ仕事の精度を上げていくように、というのは酷な話です。
自分の仕事への評価をきちんとされないと、給与が低いのと同じように社員は仕事へのやる気がなくなっていき、会社から去ろうとするでしょう。
退職の理由に多いのは、以下のようになっています。
・やりがいを感じない
・給料が低かった
・会社に将来性を感じなかった
・人間関係が悪かった
・嫌がらせに遭った etc…
これらに該当すると、離職率は高くなっていきます。
離職率が増加・上昇してしまう原因
では、離職率が増加・上昇してしまう原因は何なのか。いくつかありますが、代表的なものを解説していきます。
人間関係がうまくいかない
職場において、円滑な人間関係の構築は、ときに仕事そのものよりも大切なファクターです。
どんなに仕事が好きでも、興味のある仕事でも、またやりがいがあったとしても、人間関係がうまくいっていなかったら会社に行くこと自体が苦痛になってきてしまいます。仕事で最終的にものをいうのは人間関係だ、という言葉もよく聞きますよね。
逆に、円滑な人間関係であれば、仕事に悩みが生じても周囲に相談できます。相談できれば、難しい仕事もうまくいく可能性が高いです。
人間関係がうまくいかず、独りで仕事を抱え込んでしまうようになったら、その人は段々と会社から去ることを考えるでしょう。同じように仕事をするなら、一緒に仕事をしていて楽しい状況でやりたいからです。
働きがいがない
求人票を見て就職したのはいいけれど、その求人票に記載されていた仕事内容と実際の仕事内容が違っている、という話を時々耳にします。
せっかく興味のある仕事と思っていたのに、実際は違っていたらがっかりですよね。やる気も働きがいもまったくなくなるでしょう。人が働くのは給与のためだけではありません。もちろん給与のためという人は多いでしょうが、同じ給与で働くなら、働きがいがあって夢中になれる仕事がしたいのです。
やってもやっても『甲斐』がない仕事なら、次の職場に行きたいと願うのは当然のことですよね。
将来に不安を感じた
職場の将来に不安を感じると、社員はその職場から離れていきます。不安を感じる要素はさまざまですが、以下のようなものが挙げられます。
・業績が上がらない
・会社として成長しない
・社員を大切にしない
業績が上がらないについては説明するまでもないですよね。問題は、業績が上がらないにも拘らず営業方針を変えないことです。業績を上げるための努力を怠ると、社員は会社を見限ってしまいます。
また、一族経営やワンマン経営で、上役の入れ替えをまったくしないような会社は、会社として成長しません。成長しない会社に将来性を見出すことはできませんので、社員は離れていくでしょう。
さらに、社員を大切にしない会社にも、将来性はありません。社員は会社の大切な財産です。そのことに気づかずに社員を使い捨てるような会社では、社員はがんばれません。会社に大切にされていると感じるからこそ、社員は会社に尽くそうとするのです。
離職率を下げる方法
優秀な人材を長く確保するために、離職率は下げていきたいですよね。そのために、どのような手段を講じればいいのか紹介します。
雑務を外注する
まずは、雑務を外注してみましょう。社員は、自分の本来の仕事であるコア業務に専念できます。
すると、仕事に対するやりがいも湧いてくるはず。自分がコア業務をしている間に雑務が終了しているのですから、時間を有効活用することもできます。
経理事務・総務事務・SNS運用など、オンラインでできる雑務は、ほぼすべて外注可能です。
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福利厚生を充実させる
「この会社に入職してよかった」と、社員に思ってもらえるような福利厚生も大切です。
たとえば、
・割安の社員食堂
・リラックスできる休憩室
・子育て支援
・介護支援
・医療支援
などがあると、社員はとても仕事がしやすくなります。給与以外の手当てを充実させることで従業員満足度を上げ、ひいては定着率を上げましょう。
従業員満足度を調査する
定期的に、従業員に対してアンケート調査をしましょう。
従業員が本音ではどう思っているのか、どうしてほしいのかを調査することが大切です。
ただし、アンケートはただ実施するだけでは意味がありません。調査結果を基に、組織を改善していかなくてはなりません。一度にすべての要望を受け入れるのは難しいですが、少しずつでも社員のために改善していくことで、会社の社員を思う気持ちは伝わっていくでしょう。
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まとめ
離職率は、社会がその企業をどう思うかの判断材料になります。
絶対的な計算式がないとはいえ、どう計算しても平均より高ければ、会社はなんらかの対策を取らなければなりません。対策をしないと、会社は先細りしていきます。
社員のことを考え、離職率を抑えて永く会社を存続させていきましょう。