「人手が足りないから仕事が片付かない・・・」
「求人を出しても応募がこないから人手不足から抜け出せない・・・」
このように、多くの企業で人手不足が年々深刻化しています。
人手不足の原因は少子高齢化にあると思われがちですが、それだけではありません。さまざまな要因が絡み合って生じていることも多いのです。この問題を解決するには、なぜ人手不足になるのかという原因を理解し、適切な対策を講じることが大切です。
そこで今回は人手不足の原因とともに、効果的な対策や人手不足の解消事例を紹介します。
人手不足の現状
最近では、新型コロナウイルス感染者数の減少から、業績回復の兆しが見える企業も増えてきました。
しかし、コロナの影響で雇い止めや派遣切りを行った企業、店に顧客が戻ってくることで、人手不足がさらに深刻化する事態に陥っています。
中小企業庁が発表した統計資料「2021年版中小企業白書」によると、建設業、製造業、卸売業、小売業、サービス業の全業種で従業員数過不足がマイナス域に転じていることが報告されています。
下記のグラフは直近1年間の売上高の動向別に、人員の過不足状況を表したものです。
このグラフを見ると、直近1年間の売上高が「増加」した企業の割合が高く、業績が回復傾向にある企業ほど人手不足の状況にあることが分かります。
来店人数が増えてきた飲食店にスタッフがいない
製造業で人員が足らずラインを増やせない
このように、頭を抱える企業も多いのです。
2022年以降も経済の先行きが不透明な状況が続く中、ビジネスを発展させながらどのように人手不足を解消していくかが重要な経営課題のひとつとして挙げられています。
人手不足になりやすい業種・会社
人手不足に悩む業界は多々あります。その中でも特に深刻な状況に陥っている業界を紹介します。
運輸・サービス・小売
運輸業界は、長時間労働など労働環境の悪さや、ドライバーの高齢化が原因で慢性的な人手不足に陥っています。
最近は、巣ごもり需要の高まりからEC通販が爆発的に伸び、小口荷物量の取り扱いが増加したことで、倉庫やドライバー不足が今まで以上に深刻な状況です。
さらに、離職率が高い業種として知られているサービス業も、「土日祝勤務がある」「深夜のワンオペ業務」などが問題で、人材離れが著しい業界です。
スーパーやコンビニなどの小売業も、サービス業と同じく深夜勤務や長時間労働などの影響から人手不足の解消が課題となっています。
中小企業
「中小企業庁2021年版中小企業白書」によると、2020年4月以降の雇用者数は、従業者規模が「1〜29人」、「30〜99人」の企業において、前年より大きく減少していることが分かります。
若年層の大企業志向や離職率の増加、少子高齢化などさまざまな要因が複雑に絡まり合い、小規模業者の人材確保は非常に難しくなっている状況です。
「求人を募集してもなかなか人材が集まらない」
「コストをかけて募集しても意味がないと」
と悩み、中には採用を諦めてしまう中小企業も少なくありません。
なぜ人手不足が起こるのか?原因は?
2021年10月に帝国データバンクが行った調査によれば、「正社員が不足している」と答えた企業はなんと43.8%。半数近くの企業が人手不足を実感していると答えています。
では、なぜここまで企業が人手不足に悩む羽目になってしまったのでしょうか。その大きな原因を4つ紹介します。
少子高齢化による労働人口の減少
「少子高齢化による労働人口の減少」が1つめの原因です。日本は少子高齢化が社会問題となっており、年々人口が減少傾向にあります。
内閣府が公表した「令和3年版高齢社会白書」によると、日本の総人口は令和2年10月1日現在で1億2,571万人、そのうち65歳以上の人口は3,619万人で、高齢化率は28.8%まで上昇しています。
15〜64歳人口は、平成7年に8,716万人でピークを迎え、その後減少傾向です。
高齢者が増え、若い世代の人口が減少しているということは、日本経済を担う労働人口も減少していくということです。
また、日本では高齢化社会の介護問題も人材不足を加速させる要因となっています。本来ならば働き盛りである若手人材が、介護のために離職するケースも増えているのです。
この傾向は、今後さらに増加していくことが予想されます。
人材獲得競争の激化
2つめの人手不足の原因は「人材獲得競争の激化」です。日本では求職者より求人数が多い「売り手市場」の業界が増えています。
例えば、下記のような業界です。
・エンジニア不足が叫ばれるIT業界
・建設現場のマネジメントを行う人材が不足する建築業界
・ドライバー不足が深刻な物流業界
・高齢化の影響で需要が拡大している医療・介護業界
上記のような業界は、企業が貴重な働き手である若者世代を取り合いをしているような状態です。いつまでも求職者の応募を待つような受け身の状態では、人手不足の解消は難しいでしょう。
採用コストの増大
3つめの原因は「採用コストの増大」です。採用コストとは、人材を採用する上でかかる費用のことです。
紙面、Webを活用した求人広告や、人材紹介会社を介した採用活動が活発化していますが、どれも費用がかかります。しかし広告費をかけて募集しても、思うように人材を確保できなければ、無駄なコストとなってしまいます。
前述したように、現在は求職者が企業を選べる時代(売り手市場)であることから採用が難しく、広告を出し続けなければならない状況です。
採用市場は、優秀な人材であればあるほどコストが高く「このままでは採用活動を継続できない」と嘆く企業も少なくありません。
企業と求職者のミスマッチ
5つめの原因は、企業と求職者の相性が合わない「ミスマッチ」です。企業本意な雇用を続けていては、求人を出してもなかなか応募が来なかったり、入社してもすぐ離職されたりしてしまいます。
具体的に、求職者がどのようなところで企業と合わないと感じてしまうのか、多い原因は以下の通りです。
・労働条件が合わない(給料が少ない、残業が多いなど)
・求人情報と実際の雇用条件が違う
・上司や先輩など職場の人間関係がうまくいかない
・労働環境が悪い(作業台が低く腰を痛めてしまったなど)
このような不満を求職者側が抱いてしまうと、採用したとしても離職率が高くなり長く働いてもらえません。
また、人の出入りが多くなれば企業の悪評が広まることも考えられ、人手不足が一向に解決しないという悪循環に陥ります。
人手不足による企業への影響
深刻な人手不足が続くと、企業にさまざまな悪影響があります。例えば労働環境の悪化による従業員の意欲低下や、離職率の高まりです。人手不足から長時間労働や過剰労働が増えれば、従業員の健康状態が悪化し、離職へ繋がります。
さらに、人材が減れば必然的に処理できる業務の量も減るため、事業を縮小せざるを得ません。これでは新規事業への着手もできず、事業継続が不可能になります。
最悪の場合、労働力不足が原因となり倒産する恐れもあるのです。実際に、多くの老舗企業では跡継ぎが見つからず「人材不足倒産」と呼ばれる事態に陥っています。
人手不足解消のための対策
慢性的な人手不足は企業にとってデメリットしかありません。人手不足を解消するには、原因となっているものを改善すべきです。
ここでは、企業が取り組むべき「人手不足を解消する方法」を解説します。
労働環境の改善
まず1つめの方法は、労働環境の改善です。労働環境を整えることで労働者にとって魅力的な企業となれば、既存社員の離職を防ぎ求職者の応募率がアップします。
現在の労働環境が、果たして働く側にとって満足できるものか否かを見直してみましょう。
例えば…
・社員同士の人間関係はどうか
・会社が社員同士の交流の場を設けているか(レクリエーション、社員旅行など)
・社員が意見を言いやすい環境になっているか
・仕事がしやすい設備を整えられているか(デスクやイスの質、ウォーターサーバー設置など)
・無駄な作業が発生していないか
・特定の人に業務が集中していないか
など。
ここで大切なのは、経営者目線ではなく労働者目線で考えることです。経営者目線だとどうしても会社都合を優先した労働条件・環境になってしまうので、実際に働く社員たちの意見を参考にするなどしながら、見直すように心がけてください。
業務に無駄や非効率のものがあれば、ITツールを導入した業務効率化や外注の活用などもおすすめです。
採用の計画や形態の見直し
次に、「採用の計画や形態の見直し」をしましょう。
例えば、目先の労働力だけを求めて20代を中心に採用すると、10年後には中堅層がメインになってしまいます。5年後、10年後、20年後に会社がどうなるか、中長期的な目線で採用計画を見直しましょう。
また、求人募集をしても採用がうまくいかないのは、求職者の条件と企業の提示する条件がマッチしていないことが原因の1つです。
子育て中の主婦(夫)を対象としているにもかかわらず、土日や18時過ぎまでのフルタイム勤務では、求職者の希望とずれています。一方で、時短勤務や子供の体調が悪い時はリモートワークOKの体制を整え求人情報に記載すれば、魅力的な企業に見られるでしょう。
このように、雇用形態を見直すことも必要です。
アウトソーシングの導入
人手不足を解消できる即効性のある方法は「アウトソーシングの導入」です。人手が足らない業務を外注すれば、自社で人材を抱えなくても業務を遂行できます。
例えば、売上に直接関与しないノンコア業務を担ってくれる外注サービスオンライン秘書などがおすすめです。
オンライン秘書とは、高い実務能力を持つオンラインアシスタントに必要な時だけ業務を依頼できるサービスです。業務はメールや電話、スカイプなどオンラインで依頼できます。
依頼できる業務内容は、スケジュール管理や出張先のホテルの手配などの秘書的なものから、経理・人事などスキルや知識を必要とするものまでさまざまです。
このように、ノンコア業務を外注すれば、社員はコア業務に専念できます。費用は1ヶ月10万円程度で外注可能なところが多く、人を雇って給料や保険料などを払うよりも圧倒的に安く済ませられるため、人件費削減につながります。
オンライン秘書を依頼できるサービスはたくさんありますが、人件費削減を意識するならコスパを重視した業者選びをすることがおすすめです。
例えば、業界最安値と言われている『フジ子さん』であれば、1ヶ月6.27万円で一般相場の半額以下で業務を委託できます。※2023/11/1より新価格。
秘書業務の他に経理や人事、Webサイト運用などもお任せできるので汎用性が高く人気です。無料で試せるトライアルプランもあるため、気になる方は一度検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
人手不足に陥る原因は少子高齢化による労働人口の減少、介護問題、若年層の大企業志向などさまざまな要因が関与しています。
この問題を解消するには、企業側も時代に合った対策を講じなければならないのですが、具体的にどのようにすれば人手不足から脱却できるのか分からない方も多いでしょう。
そんな時は、ぜひ本記事で紹介した人手不足解消の対策法を参考にしてください。
特におすすめしたいのはオンライン秘書の活用です。「人手不足だから人員を補充しよう」という考えもアリですが、コロナの収束が見えない中での安易な採用は避けた方がいい業界もあるでしょう。
オンライン秘書なら必要な時、必要な分だけ外注し人手不足による業務の圧迫を解消できます。人を雇うよりも低コストですから利益率のアップも期待できます。
人手不足の課題を抱えている企業は、人を雇うという対策以外にも目を向けてみてはいかがでしょうか。