アウトソーシングと人材派遣の違いとは?それぞれのメリット、使い分け方などを解説

アウトソーシングと人材派遣の違いとは?それぞれのメリット、使い分け方などを解説

「人手が足りない」「臨時でスタッフが必要に」「専門スキルのある人がほしい」など、社内の人材不足に悩む担当者は多いはず。そんなとき重宝するのが、外部リソース活用です。

外部リソースとはアウトソーシングや派遣のことで、コストを抑えながら人材を満たせるとあって、近年利用する企業が増えています。

ただし、アウトソーシングと派遣では仕事の進め方が異なるため、向いている業務も変わってきます。それぞれの違いを把握し、うまく使い分けるのが重要です。

そこで今回は、アウトソーシングと派遣の違いやそれぞれのメリット・デメリット、そして使い分け方などを解説します。

アウトソーシングとは?

アウトソーシングとは、企業が自社の一部業務を外部の専門業者に委託する方法です。この形態は「アウト(外部)」と「ソーシング(調達)」という言葉を組み合わせたものであり、「外部から調達する」という意味があります。主に経理やWebサイトの保守といった定型業務だけでなく、採用や人事、マーケティングなどの専門的な分野でも活用されています。

アウトソーシングでは、委託された業務の管理や運営全般が外部業者によって請け負われます。このため、依頼元企業は業務の具体的な指示や管理権を持つことができません。委託企業は、ワークスペースの確保、人材管理、業務日程の管理などを含む業務全般を責任を持って遂行します。

報酬形態に関しては、案件や成果1つにつき◯円、または月額◯円というのが一般的です。業務に必要な人数や時間については、受託側が決定しますので、残業代などの追加コストは発生しません。

また、アウトソーシングの対義語である「インソーシング(内製)」もあります。インソーシングは、企業が自社の内部で業務を遂行することを指し、特に企業価値に深く関わるコア業務に対して使われます。

アウトソーシングとBPOの違い

アウトソーシングと類似した形態として「BPO(Business Process Outsourcing)」があります。

BPOでは業務のすべてを外部に委託することが特徴で、アウトソーシングが業務の一部を対象とするのに対し、BPOは業務の全般を対象とします。

このため、部署全体を外部に委託することで、経営レベルでの改革や業務効率化を目指すことが可能です。

アウトソーシングとBPOは、企業が特定の業務に対して外部の専門知識やリソースを活用する点で類似していますが、委託範囲や組織レベルでの違いがあります。どちらも企業の業務戦略やニーズに応じて選択されるため、適切な選択が求められます。


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人材派遣とは?

人材派遣とは「スタッフを外部から派遣してもらい、その人に自社内で働いてもらうこと」です。

派遣されたスタッフの指揮命令権は企業側が持ち、業務の内容やスケジュールを管理します。派遣スタッフの報酬は、時給や日給などの形で支払われますが、雇用関係は派遣会社が担当するため、企業は労働法や社会保険の義務を負わない点が特徴です。

アウトソーシングと人材派遣の違い

ここまで見てきたアウトソーシングと人材派遣について、両者の違いをまとめておきます。

業務管理の範囲

アウトソーシングでは、企業は業務の全般的な管理と運営を外部の専門業者に委託します。外部業者は、企業から委託された業務に対して責任を負い、自らのリソースと専門知識を活用して業務を遂行します。例えば、ITインフラの運営や管理、カスタマーサポートセンターの運営などが挙げられます。企業はアウトソーシング契約を通じて、業務の品質向上やコスト効率化を図ることができます。

一方、人材派遣では、企業は特定の業務を遂行するための人材を派遣会社から借りてきますが、その業務の指揮命令権は企業側が持ちます。派遣されたスタッフは企業内で働き、企業の業務遂行に従事しますが、労働法や社会保険などの法的責任は派遣会社が負います。企業は、短期的なプロジェクトの人員補充や専門的な業務ニーズに対応する際に人材派遣を利用します。

業務範囲と契約条件

アウトソーシングでは、通常は長期的な契約が結ばれ、外部業者は特定の業務分野における専門知識やリソースを提供します。このような契約により、企業は外部の専門知識を活用することで、自社の業務の効率化やサービス品質の向上を図ることができます。

一方、人材派遣は、企業が短期間のプロジェクトや特定の業務ニーズに対応するための柔軟な解決策として利用されます。派遣契約は一般的に柔軟であり、企業は必要な期間や業務範囲に合わせて人材を調達することができます。

アウトソーシングと人材派遣は、それぞれ異なる業務ニーズや法的・リスク管理の観点から企業にとって有益な解決策を提供します。企業は自社の具体的な業務要件や長期的な戦略に基づいて、適切な外部リソースの活用を検討することが重要です。

アウトソーシングのメリット・デメリット

次に、アウトソーシングのメリットとデメリットを解説します。

アウトソーシングのメリット

アウトソーシングの主なメリットは、以下の3つです。

専門的な知識とスキルの活用

日々進化する技術や業務について、外部の専門知識を活用することができます。例えば、IT関連の進展に迅速に対応するために、開発や運用を外部に委託する企業が増えています。

コア業務への集中

自社のコア業務にリソースを集中できます。例えば、マーケティングや製品開発など、競争優位性を保つために不可欠な業務に時間とリソースを注げます。

柔軟な契約条件

アウトソーシングでは、業務の期間や範囲に制約がないことが一般的です。長期間にわたるプロジェクトや、短期間の一時的な業務でも対応可能です。

効率化とコスト削減

外部の専門業者に業務を委託することで、効率的な業務運営が可能となります。また、自社内での人件費や設備投資を抑えることで、コスト削減にもつながります。

アウトソーシングのデメリット

アウトソーシングの主なデメリットは、以下の3つです。

ノウハウの内部蓄積の困難

業務を外部に委託することで、外部のノウハウが自社に蓄積されないという課題があります。これにより、業務の品質維持や継続性に影響を及ぼす可能性があります。

急な変更への対応の遅れ

業務を委託している場合、計画外の急な変更に対応する際に時間がかかることがあります。委託先との調整や新たな仕様の確定までに時間がかかることが挙げられます。

業務管理の課題

外部業者が業務を担当するため、業務の進捗状況や品質管理を完全に把握することが難しい場合があります。定期的な報告やコミュニケーションが重要です。「進捗はどうなっているか」「異変は起きていないか」など、委託先とマメに連絡を取り、業務の状態を把握するのをおすすめします。


このように、アウトソーシングにはメリット・デメリットが存在しており、業務や業種によって委託契約先を選び分ける必要があります。具体的なメリット・デメリットや選び方については、こちらのブログでも解説しているので、ぜひこちらもご覧ください。

アウトソーシングとは?メリット・デメリットや契約先の選び方【わかりやすく解説】

人材派遣のメリット・デメリット

次に、人材派遣のメリットとデメリットを解説します。

人材派遣のメリット

人材派遣の主なメリットは以下の4つです。

業務遂行の柔軟性

企業は必要に応じて、業務の規模や期間に応じて派遣スタッフの数を調整できます。これにより、「繁忙期のみの人手増加」「特定プロジェクトの一時的な人員補充」など、臨機応変に対応可能です。

知識の内部蓄積

派遣スタッフが自社内で業務を遂行することで、その成果物や過程から得られる知識やノウハウを内部に蓄積できます。これにより、企業は業務の質の向上と持続的な学習を促進します。

人件費の最適化

派遣スタッフの雇用に際しては、育成や福利厚生にかかるコストが大幅に削減されます。また、業務に必要な専門スキルを持った即戦力を効率的に確保できるため、人件費の管理が容易です。

労務管理の軽減

派遣会社が労務管理や給与計算などの業務を代行するため、企業はこれらの煩雑な業務から解放され、業務遂行に集中できます。


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人材派遣のデメリット

人材派遣の主なデメリットは以下の3つです。

派遣期間に制限がある

有期の派遣の場合、派遣スタッフが1つの企業で働く上限は3年までとされています。そのため「長期的に働いてほしい」「期間を延長したい」と思っても、期限が来たら雇用は終了です。長期的に派遣スタッフを雇いたいのであれば、無期雇用派遣を利用することをおすすめします。

自社で人材を選べない

基本的に派遣会社がスタッフを決めるため、どの人材を採用するか自社で選べません。

「コミュニケーション能力が優れた人が良い」「協調性のある人材を求めている」と思っていても、事前に面接をして決めるわけではないので、必ずしも理想通りの人材が派遣されるとは限らないのです。

自社の社員にはならない

どんなに仕事ができて優秀な人材が派遣されたとしても、自社の社員にはなれません。雇用期間が終了すれば、会社を去ることになります。

情報漏洩のリスク

業務を外部に委託することで、企業の機密情報や知的財産が外部に漏れるリスクがあります。この点に対する対策が必要です。能力のある派遣社員にばかり頼っていたら、派遣終了後の業務の質が落ちてしまうので、自社の社員育成にも力を入れるようにしましょう。


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アウトソーシングと人材派遣の活用事例

競争の激しい業界で勝ち抜くためには、業務効率化や専門知識のアップデートが欠かせません。アウトソーシングと人材派遣どちらか一方ではなく、それぞれの強みを活かすことで、自社の課題を柔軟にカバーできるでしょう。

ここからは、アウトソーシングおよび人材派遣が、一体どのような場面で活用されることが多いのかを紹介します。

アウトソーシングの事例

企業がアウトソーシングを利用する目的には、業務効率化や人材不足の解消など、さまざまな目的があります。アウトソーシングを取り入れるとどのようなメリットが得られるか、アウトソーシングの活用事例をご紹介します。

製造業の場合

製造業では、新製品の迅速な市場投入が求められますが、すべての工程を自社内で完結するのは難しい場合もあります。設計や製造の一部をアウトソーシングすることで、時間とコストを節約できます。

製造には「資材発注→メイン加工→補助的な加工→検品→梱包→発送」などの工程があります。そのうちの一部、たとえば補助的な加工をアウトソーシングすることで、生産効率をあげることができます。

製造工程の一部にとどまらず、「製造ライン別」「工場での製造を一括」といったアウトソーシングも可能です。設備投資や人件費の大幅な削減が期待できます。

IT業界の場合

IT業界は革新的な技術が目まぐるしく進化する業界です。また、システム開発などのプロジェクトには多くの人手が必要です。プロジェクト期間の人手が必要な間だけアウトソーシングを活用すると、自社スタッフを雇用するよりも大幅にコスト削減ができます。

また、IT専門のアウトソーシングサービスの中には、常に最新の技術動向を把握し、必要に応じて迅速な移行をサポートしてくれる会社もあります。自社内にノウハウのない新たな要素・技術に対応することができます。

IT業界の業務には、ITインフラ管理、クラウドサービスへの移行作業、ソフトウェア開発、データ分析・管理、プロジェクト管理などがあります。

プログラミングなどの下流の業務だけでなく、上流のの業務の一部をアウトソーシング先へ委託できれば、自社リソースに余裕が生まれるようになり、効率化や長時間労働の是正を目指せるでしょう。

小売業の場合

小売業において、年末年始や大型セールなどの繁忙期では、普段のスタッフだけでは対応しきれず、数多くの人手を必要とすることがあります。この時に、レジや品出しの仕事などといった日常業務をアウトソーシング先に依頼すれば、自社のスタッフは重要な仕事に集中できるようになります。

どの業界でも共通 バックオフィス業務の場合

バックオフィス業務は、どの業界、どの企業でも必要不可欠な縁の下の力持ちです。経理や採用、一般事務、営業事務などがバックオフィス業務に入ります。

業界や特定の業務に特化したアウトソーシングサービスもありますが、様々な業務に対応できるオンラインアシスタント(オンライン秘書)サービスもおすすめです。フジ子さんでも、バックオフィス業務から、WEB開発、コール業務、採用業務など様々なジャンルのご依頼をお受けしています。

バックオフィス業務のアウトソーシングの事例として、フジ子さんのお客様の声をご紹介します。

「業務にあたる50%を削減。余った工数を他の業務にアサインできた」
「コア業務に集中できる時間が30~40時間増えた」

ノンコア業務と言われる、事務作業、ルーティン業務をフジ子さんにアウトソーシングした結果、空いた時間でコア業務に集中して取り組めるという声を多数いただいております。

お客様の声は以下のページの下部にご紹介しています。

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人材派遣の事例

企業が人材派遣を利用する場面は、一時的な人員需要や特定の業務に対する柔軟な対応が求められるケースが多くあります。以下に、具体的な事例を紹介します。

イベント運営などの場合

企業が主催するイベントや展示会など、一時的な大規模な行事の運営には多くのスタッフを動員しなければなりません。そのため人材派遣を依頼し、専門的なタスクや適切な業務を割り振ることで、イベント成功に向けたサポートを提供してくれます。

具体的には、イベントの受付や案内、セキュリティの仕事などを派遣スタッフに任せるといったものがあります。

専門性が要求される一時的な業務の場合

特定のプロジェクトや技術的な業務において、企業内のリソースだけでは対応が難しい場合があります。例えば、新しいコンピューターシステムを導入するときや、難しい技術的な問題を解決するときなど、普段のスタッフだけでは難しいことがあります。

そこで、専門性の高いスキルを持つ人材派遣であれば、できるだけコストをかけずに業務の質を維持しながら最適化できるようになります。

アウトソーシングと人材派遣の使い分け方

ここからは、アウトソーシングと人材派遣をどのように使い分ければよいか、そのポイントを解説します。

アウトソーシングが向いている会社

これまでの内容を踏まえると、アウトソーシングが向いている会社の条件は以下のようになります。

  • 定形的な業務が多い企業
  • 自社に特定のノウハウがない業務
  • 業務を社外に持ち出せる柔軟性がある
  • 複数名での業務遂行が可能
  • 定期的な業務がある

定型的な業務の外部委託や専門的なサービスを求める際に有効であり、上記のいずれの条件に当てはまっているのであれば、アウトソーシングを利用することをおすすめします。

人材派遣が向いている会社

人材派遣が向いている会社の条件は、以下の通りです。

  • 急な人材補充が必要な場合
  • 業務を社外に出せない制約がある
  • 繁忙期だけの一時的な人手不足
  • 自社の社員が指示を直接する必要がある
  • イレギュラーな業務が多い

人材派遣は急な人員補充や特定業務の管理を自社内で行いたい場合に最適です。企業のニーズや業務状況に応じて、適切なサービスを選択しましょう。

まとめ

今回は、アウトソーシングと人材派遣の違い、それぞれのメリット・デメリット、使い分け方などを紹介しました。

両者の違いは「業務管理を外部の社員がしているか、内部の社員がしているか」ということです。業務管理を外部でしていい場合はアウトソーシング、自社内で行いたい場合は人材派遣を利用しましょう。

また、定期的な業務量はどのくらいか、ノウハウを蓄積する必要があるかなども、アウトソーシングと人材派遣を使い分ける際の基準になります。

アウトソーシングは外部の専門家に業務全般を委託し、自社のコア業務に集中することができる一方、人材派遣は必要な時に必要なスキルを持つ人材を迅速に確保する柔軟性を提供します。

それぞれの利点を活かして使い分けることで、企業の業務効率化やリソース最適化が実現します。企業は自社の特性や業務の性質に応じて、最適なサービスを選択することが重要です。

オンラインアシスタントのフジ子さんなら、経験豊富なアシスタントによる様々なバックオフィス業務のお手伝いが可能です。アウトソーシングをお考えの方はぜひ、一度お気軽にご相談ください。

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