派遣社員にさせてはいけないこと!業務外の出張や部署異動

  • 派遣社員を雇うと、
  • 福利厚生費がかからない
  • 交通費もかからない
  • 賞与を支払わなくていい
  • 有期雇用が可能

といったさまざまなメリットがあります。
派遣会社へのマージンが入っている分、時給は多少高く感じられるでしょうが、トータルでは正社員に毎月発生する月給よりも安くなるのです。
また、新人を一から教育するには費用も時間も根気も必要ですが、派遣社員の場合は最初から必要なスキルを持っている人材が入ってくるので、引継ぎさえきちんとすれば即戦力になってくれます。
しかし、派遣社員は直接雇用ではないため、契約内容によって依頼できる業務とそうではない業務がはっきりしています。
結論から言うと、契約書にない業務や違う部署の仕事は派遣社員には依頼できません。出張にも制限がつきます。就業時間外の接待や食事会も難しいです。
本記事では、派遣社員にさせてはいけない業務と、その業務を外注するための方法をまとめました。ご一読いただき、ぜひ参考にしてください。

派遣社員にさせてはいけないこと①:契約外の業務

派遣社員を雇う際は、必ず派遣会社と契約書を交わします。基本的に、この契約書に記載されている業務以外はお願いできません。
記載されていない業務をお願いしたいときは、更新時期に合わせて契約書を改訂し、締結し直す必要があります。

派遣契約書について

派遣契約書は、「基本契約書」と「個別契約書」の2種類が必要になります。
「基本契約書」は、派遣社員を実際に派遣する前に企業間で取り交わされる契約です。
これは“労働者派遣の根本規則”となるもので、企業間での取引における基本的な事項について定めています。
具体的には、

  • 派遣料金について
  • 派遣社員の休暇取得について
  • 派遣社員の交換について
  • 派遣社員の急な退職や事故などの損害賠償について
  • 契約の解除について
  • 守秘義務について

などです。
こちらは民事によるものなので、記載内容は自由となっています。
一方、「個別契約書」は派遣社員一人ひとりの契約期間や業務内容などを定めるものです。個別契約は、派遣法第26条により義務づけられた法定記載事項を記載しなければなりません。
具体的には、

  • 派遣社員が担当する業務内容
  • 派遣社員が就業する事業所の名称、住所、組織単位
  • 直属上司について
  • 就業日と派遣期間
  • 就業時間と休憩時間

などです。

契約書にない業務とは?

上記にもありますが、契約書に記載されていない業務は、派遣社員にお願いすることはできません。
契約書には、派遣社員が派遣先でどんな業務をおこなうか、どの部署でおこなうかが記載されています。しかし、「一般事務およびそれに付随する業務」と書かれている場合、どこまでが「不随する業務」なのか迷いますよね。

例えば電話がなった場合、受話器を取るのは「一般事務」になりますが、電話の内容によっては専門の担当者に替わらなければなりません。そこを「ちょっと話を聞いておいて」「対応しておいて」と言うのは不随業務になるでしょうか?伝言を聞くだけならともかく、専門的な結論を要求されると「一般事務の付随業務」という域を超えています。

このように、電話をとるのはOK、その先はNGなど、「付随業務」の線引きは難しいものですが、はっきり契約外だと言えるのは、まったく違う部署の業務の手伝いや、業務に関係のない買い出し(お遣い)などです。これは派遣先が配慮しなければなりません。仮にお願いしても、断られることがあります。

お茶汲みや掃除はダメなの?

お茶汲みや掃除はダメなの?

企業内でのお茶汲みや掃除も業務のうち…という考えはあって当然ですよね。社員みんなが気持ちよく業務をおこなうために、お茶汲みも掃除もそのほかの雑務も必要不可欠なものです。

ただ、それを派遣社員にお願いしてもいいのか…となると、ちょっと考えなければなりません。
契約書には雑務に関して記載がない場合がほとんどなので、派遣社員が「それはちょっと…」と言った場合にトラブルになりがちです。

お茶汲みや掃除、その他の雑務が業務に含まれている場合は、契約前にその旨と頻度を説明して派遣社員に納得してもらっておくべきでしょう。派遣社員がなんのために会社に派遣されているのか、根本的なところを確認してみてください。

派遣社員にさせてはいけないこと②:契約外の出張

頻度はさほど高くないでしょうが、派遣社員にも出張をお願いすることはできます。ただし、あらかじめ契約書にて出張時の業務内容や事業所名、出張期間などを記載しておくことが前提です。契約書にない出張はお願いできません。

また、出張になると交通費や滞在費のほか諸手当て、出張先での勤怠管理、万一事故が起こった場合の補償など考えなければならないことがたくさん出てきます。
さらに、派遣社員の出張時の交通費や宿泊費などに関しては、業務上必要な経費という扱いになるので、派遣先企業が負担しなければなりません。

条件を満たせば出張もお願いできるとはいえ、諸々の手当てや補償を考えると、自社の社員に出張を依頼したほうが早くて簡単に済む場合が多いでしょう。

派遣社員にさせてはいけないこと③:部署異動

原則として、派遣社員が派遣先で部署異動をすることはありません。就業前に交わす契約書に、派遣先での部署、仕事内容や上司に当たる人間について記してあるからです。

派遣先が自由に部署異動をさせることになると、契約違反になってしまうのみならず、派遣社員の負担が増えてしまいます。
ただし、

  1. 派遣先と派遣社員、双方の合意があること
  2. 契約期間が満了していること

以上二点を満たしている場合は部署異動をさせることができます。

①は言わずもがなですね。部署異動の必要があるならば、まず派遣社員にその旨を伝えて相談しなければなりません。次に②について説明すると、派遣期間は原則一ヶ月以上(31日以上)と決められています。そのため、その契約期間を待たずに部署異動をすることはできません。途中で契約を切った形になってしまうからです。

部署が変わるということは、仕事内容や上司が変更することになります。そのため、変更後の仕事内容や上司の名前が記載された契約書類を改めて結び直す必要があります。つまり、契約を更新する段階で部署異動の相談をする必要があるというわけです。

派遣社員にさせてはいけないこと④:就業時間外の業務や接待

派遣社員にさせてはいけないこと④

就業時間を過ぎての業務には、残業代を支払わなければなりません。サービス残業はさせられないことになっています。

就業時間を過ぎての接待・食事会は、業務に含まれません。したがって、歓送迎会や飲み会に無理に誘うことも不可能です。もちろん、派遣社員が業務外と割り切ったうえで参加することは可能です。

親睦を深めて業務の効率を上げるための食事会なら、参加してくれる派遣社員もいるでしょう。また、派遣社員を接待に同席させることは稀でしょうが、どうしても同席が必要な場合はあります。取引先には「派遣社員だから」という事情は関係ありませんしね。

そういった場合は、一方的に同席を通達するのではなく、派遣社員と派遣元に相談のうえで同席をお願いしてください。

派遣社員にさせてはいけない業務を外注するには?

派遣社員にさせてはいけない業務、こうしてみると色々ありますね。いくらスキルを持っていたとしても、あまりに融通が利かないと不便に感じてしまうでしょう。
では時間外の業務や、部署をまたがって業務をお願いしたいときはどうすればいいでしょうか?

オンラインアシスタントを利用する

派遣社員ではなく、オンラインアシスタントを利用するのが一つの手段です。オンラインアシスタントですので事務所の掃除やお茶汲みはできません。

しかし、先に交わした契約に基づき、限られた業務しかできない派遣社員と違い、実にさまざまな業務を依頼することができます。業務内容は多岐にわたり、経理事務、総務事務、営業事務、web担当など部署は問いません。

派遣社員と同様、オンラインアシスタントを利用する場合でも社会保険などに新しく加入する必要はないため、新人を雇う場合に比べて時間も費用も省けます。
また、派遣社員のように出社するわけではないので、新しく机やパソコンなどの備品を用意する必要もありません。

直接会って話をすることができないため、オンラインに不慣れなひとは最初は戸惑うでしょう。しかし、利用すれば慣れていくものですので、心配は要りません。

基本的に派遣社員は「ひと」にお願いするものですが、オンラインアシスタントの場合は、「チーム」にお願いするものです。例えば派遣社員が急遽病欠したりなんらかの都合で辞職してしまったりするとその「ひと」が担当している業務が滞ってしまいますが、オンラインアシスタントの場合は「チーム」で担当しているため必ずフォローが入ります。
つまり、一度依頼した業務が「ひと」の都合で滞ることがないのです。

派遣社員とオンラインアシスタントの費用比較

派遣社員を雇うのと、オンラインアシスタントを利用するのと、どちらのほうがお得でしょうか。比較してみました。

時給 柔軟性
派遣社員 ◎2,000円台~ 〇スキルがあるひとが多い◎業界経験者もいる△社会人未経験者もいる △個人で対応するのでフォロー体制がない△契約書にない業務はできない△時間外の対応はできない
オンラインアシスタント ◎2,000円台~ ◎スキルのあるひとしかいない◎あらゆる業界の経験者がいる ◎チームで対応するのでフォローはばっちり◎部署をまたいで業務ができる〇契約によっては夜も対応できる

時給だけを見ているとさほど変わらないように見えるかもしれません。
しかし、質や柔軟性を見た場合、オンラインアシスタントのほうが小回りが利き、自由に業務を依頼できるということがわかります。

派遣社員は個人で仕事をするので、急病や急用で会社を休む場合、自社で仕事のフォローをしなければなりませんが、オンラインアシスタントの場合はチームで仕事をしているので、仕事に穴が開くという心配がありません。

また、派遣社員を雇う場合はそのひと用の机やパソコンなどの備品を新しく用意しなければなりません。会社の方針によっては制服や名札も必要になるでしょう。
それに比べて、オンラインアシスタントを利用する場合は、そういった備品は必要ありません。スキルを持っているという点でも派遣社員との遜色はなく、むしろ経理、人事、秘書、総務、webサイト運用など部署を限定しなくていい分どんな作業も依頼できます。

オンラインアシスタントが気になる方はこちら

まとめ

派遣社員は、自社に必要なスキルを持ったひとが自社の社員のように働いてくれる、とても便利なシステムです。しかし、契約書によるさまざまな制限があることもまた事実ですので、ときにもどかしく感じることもあるでしょう。
自社に人手が必要なときは、派遣社員を検討すると同時にオンラインアシスタントの利用を検討してみてください。
自社にどういった手助けが必要なのか、どこになにを依頼するか、そのためにどのくらいの費用をかけられるか…。
新入社員、派遣社員、オンラインアシスタントなど複数の選択肢を視野に入れ、自社を発展させていってください。