「この交際費の内訳を詳細に教えてください!」
「領収書、早く出してください!」
経理担当者からこういったことを言われて「うるさいなぁ……」と思った方は少なくないのでは。
ただ、当然ではありますが、相手にも理由があります。経理の事情を理解し、上手く付き合っていくのが肝要です。
本記事では経理がうるさい理由と付き合い方を解説していきます。
経理がうるさくなってしまう理由
前述のとおり、経理がうるさいのには立場上の理由があるわけです。具体的にどういうことか、以下にて解説します。
決算の最終処理
1つめは決算の最終処理。
経理には発生主義というものがあります。これは、実際に金銭のやり取りが行われた時点ではなく、取引が発生した時点で処理をすること。例えば、精算が新年度に行われても、その取引自体が前年度に起きていたら、経費は前年度扱いになるのです。
こうしないと、取引先によって違う振り込み日に対応するのが大変すぎます。
そして経理担当者にしてみると、経理書類の提出が滞ったら決算の最終処理ができなくなるわけです。もし決算後に提出したとしても、もう前年度の会計は締めているため対応できません。
締日にうるさい担当者にはルール上の理由があり、融通を効かせることもできないのです。
税務調査対策
2つめの理由は税務調査対策。
企業が納める税金の額は、決算書をもとに厳密に算出されます。決算書を作成する経理担当者からすれば、例えば提出された領収書の内容が曖昧だと、正しい経費精算ができません。すると、税務調査の際に税務署から指摘が入り、追徴課税のペナルティを課されるかもしれないのです。
特にうるさく言われるのは交際費でしょう。金額によって税率が変わりますし、場合によっては他の勘定科目で処理した方が良い場合もあります。そもそも経費として認められるかも見極めなければなりません。
ここでツッコまれる手間を減らすには、提出書類にあらかじめ詳細を記入しておくといった手がありますね。
会計監査対策
3つめの理由は、会計監査対策です。
会計監査とは、企業が行った決算を、公認会計士による第三者組織がチェックすること。上場企業や大会社には義務付けられていますが、中小企業は任意です。会計監査は決算の正しさを保証するものであり、これに通らないと株主や銀行からの信頼、ひいては社会的信用を失ってしまいます。
こうした事態を避けるためにも、経理担当者は細かい点にまで目を光らせるのです。
スピーディーな事業戦略策定
4つめは、スピーディーな事業戦略策定のため。
事業戦略を決める上で重要なリソース、資金。これを把握するには経理から上がってきた会計情報が必要不可欠です。
もしこの情報が不正確だと、戦略を見誤ることになりかねません。また、情報を上げるのが遅くなると、経営判断も遅れてしまいます。
経理が早さと正確さを求めるのには、こうした理由もあるのです。
経理がうるさいと感じたら付き合い方を見直そう
上のとおり、経理担当者は意地悪でうるさく言っているのではないのです。したがって、うるさい理由を把握した上で、彼らと上手く付き合っていくことが大切になります。
具体的にどんな方法があるのか、例を解説していきますね。
会社の経理規定を把握する
まず何より、会社の経理規定を把握しましょう。
読んで字の如く、経理の手続きや処理について成文化したのが経理規定。専門的な部分まで細かく覚える必要はありませんが、自分の提出する書類に関して、基本的な要項やルールは覚えておくべきです。
経理規定を知らない社員は案外多く、このせいでムダな手間がかかりがちです。社内で公開されているはずなので、一度チェックしてみてください。
経理書類はすぐに提出する
経理書類はすぐに提出するようにしましょう。
他の業務との兼ね合いもあると思いますが、溜め込むと締め切りギリギリで作業に追われることになり、双方が大変です。分からない点があればどんどん質問しましょう。
また前述のように、領収書などの裏面に詳細を記入しておくのも良いですね。
まとめ
今回は経理がうるさい理由と付き合い方を解説してきました。
お金の流れを管理する経理担当者は、どうしても細かい点まで把握しなければなりません。決算期限もあるため、他部署に対して急かさざるを得ないのです。
業務を円滑に進めるには、経理担当者が他部署の事情を理解するのももちろん重要です。一方で経理以外の方は、本記事を参考にしながら良い関係を築いていただければと思います。