経理を外注して生産性は高まる?メリット・デメリット・選び方のポイントを解説!

経理を外注することで本当に生産性は高まるのか?「経理を外注してもお金だけかかって意味がないのでないか?

そんな不安を抱える方は多いのではないでしょうか。

経理業務の外注は、適切に導入すれば、コストや業務効率の面で有効な手段です。しかし、期待した成果が得られず「意味がなかった」と感じるケースも存在します。

本記事では、経理の外注に関するよくある誤解と、外注によるメリット・デメリット、失敗しないためのポイントを、中小企業の導入事例を交えて解説します。

経理アウトソーシングとは

経理アウトソーシングとは、企業が内部で行っていた経理業務を外部業者に委託することです。記帳、給与計算、決算など、企業の財務管理に関わる業務が含まれます。

これにより、企業はコアビジネスに集中できる環境を整えつつ、経理業務の効率化やコスト削減を図れることが特徴です。例えば、中小企業では限られたリソースを有効活用するために経理業務を外部に委託するケースが増えています。

経理アウトソーシングの主な目的には、業務の専門性向上やリスク管理の強化が挙げられます。経理専門のアウトソーシング先は最新の会計知識や法規制に精通しており、企業内部での対応が難しい複雑な経理処理も適切に行うことが可能です。

また、経理を新しく採用する場合や教育にかかる場合と比べると、コストと時間を削減でき、内部不正のリスクを低減する効果も期待されます。


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経理を外注しても「意味ない」と言われる理由

経理の外注は、業務効率化の方法として注目されていますが、「意味がない」と感じられてしまう背景には、いくつかの要因があります。

1. 業務の切り分けが曖昧な場合

経理業務は「社内でなければできない業務」と「外注可能な業務」に分かれます。しかし、あらかじめ切り分けをしておかないと、外注先と自社の担当が曖昧になり、業務の抜け漏れ二重処理が発生します。

例えば、振込業務のように意思決定や社内調整が必要な業務を外注しようとすると、外注先が対応できず、確認事項が増える一方です。結果的に社内でやる羽目になり「外注した意味がなかった」と感じてしまうでしょう。

2. コミュニケーション不足

外注先と定期的なやり取りを行わず、依頼内容が曖昧なまま進行してしまうと、意図しない処理認識のズレが発生しやすくなります。

外注したからといっても、すべての業務を説明や共有なしで任せられるわけではありません。必ずやり方やルールの共有、作業手順の確認が必要です。

「自分たちのやり方と違う」「確認に時間がかかる」といったストレスから、社内に不満が溜まり、外注が失敗に終わるケースもあります。

3. 自社に合っていない外注先を選んだ

業務量・専門性・対応スピードなど、外注先には得意不得意があります。「格安だったから」「有名だったから」という理由だけで選んでしまうと、対応の質に問題がある、自社の業種に合わないなどの問題が起こりかねません。

例えば、税理士の有無で、税務をお任せできる人がいないということも起こりえます。そのため、どこまでお願いできるのか自社の業務でお願いできない業務がないか契約前の確認が必要です。

経理を外注する5つのメリット

経理業務を外注することで、業務効率化だけではなく、次のようなメリットが得られます。

  1. コア業務に集中できる体制を構築できる
  2. 必要な分だけ依頼することで無駄を削減
  3. プロに任せて万全の体制を整えられる
  4. 人材不足にすぐ対応できる
  5. 属人化を解消して業務を行順化できる

それぞれのメリットについて、次で解説します。

1. コア業務に集中できる体制を構築できる

外注するメリットのひとつは、定型業務の作業を削減し、コア業務に集中できるリソースを確保しやすくなることです。

経理の仕訳や帳簿作成、振込処理などは、繰り返しの多い定型業務で外注しやすい業務です。正確さとスピードが求められる反面、時間がかかる業務のため、自社で処理し続けると、自社の価値を高めるコア業務への取り組みが後回しになってしまいます。

そのような経理の業務を外注することで、定型業務の負担を大幅に削減可能です。その結果、経理情報を元にした財務分析や、キャッシュフロー・資金繰りの改善案を検討するなど、より付加価値の高い業務に集中できます。

2. 必要な分だけ依頼することで無駄を削減できる

経理担当者を正社員で雇う場合、月30〜40万円の人件費に加え、社会保険や教育費などの固定費がかかります。また、一度雇用すると、簡単に辞めさせることもできません。

そのため、繁忙期と閑散期で業務量に大きな差が出る場合、人件費が大きな負担になる可能性があります。

一方で外注なら、処理件数や対応範囲に応じて料金を調整できます。経理業務を外注することで、経理にかかるコストを抑えることが可能です。

例えば、「月次決算だけ外注する」「仕訳入力だけ外注して、月次チェックは社内で対応」など、自社の体制に応じて柔軟に設計できます。

経理業務の対応体制を柔軟に調整することで、人件費の無駄を省くことで、経理業務にかかるコスト負担を最適化できます。

3. プロに任せて万全の体制を整えられる

経理に特化した外注先であれば、会計や税務に精通したプロフェッショナルとして、経理業務に関する万全な体制を整えやすいことがメリットです。

税制や会計基準は年々変化しており、高度な知識と継続的な学習が求められます。たとえば、インボイス制度や電子帳簿保存法といった最新の法改正にも迅速に対応可能です。

社内に専門家がいない企業でも、専門知識を持った人材に対応をお任せできます。「仕訳ルールを誤って経費が否認された」「税務調査で指摘された」といったリスクも、プロのチェックにより最小限に抑えることが可能です。

4. 人材不足にすぐ対応できる

経理人材の採用は難易度が高く、人材不足になりやすい点がデメリットです。採用ができた場合も、教育・引き継ぎに時間がかかります。また、退職や休職によるリスクも常に付きまといます。

外注であれば、人材不足の課題を一挙に解消できるのが利点です。契約後すぐに対応できる体制を構築できる上、仮に外注先の担当者が交代しても、業務は引き継がれて継続されるため、自社の体制は安定します。

採用に悩まされる中小企業や急成長中のスタートアップにとって、外注は「人材リスクを避ける手段」として有効です。

5. 属人化を解消して業務を行順化できる

属人化を防ぎ、標準化しやすいこともメリットのひとつです。経理業務は「その人しかわからない属人化した業務」が生まれやすく、属人化が進むと、トラブルや退職時の混乱につながります。

外注を導入するには、業務フローの可視化とマニュアル化が必要です。その過程で属人性が排除され、標準化された運用体制が整えやすくなります。

また、クラウドツールを使ったやりとりにより、経理作業の進捗や履歴が常に可視化され、経営者や管理者も安心して状況を把握可能です。

外注をきっかけに業務フローを見直すことで、長期的に安定し、誰が見ても理解できる経理体制を構築できます。


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経理を外注する3つのデメリット・注意点

外注には多くのメリットがある一方で、「内製のほうがスムーズだった」と感じる場面もあります。ここでは、外注化の際に注意すべきポイントを、内製との比較も交えて解説します。

1. 社内事情を知らないため、情報共有に手間がかかる

外注先は社内のルールや商習慣、取引先の特徴などを把握していないため、情報共有の手間がかかる点がデメリットです。

たとえば、「この取引先はいつも月末に請求書が遅れる」や「交通費は毎回現金で精算する」など社内特有の慣習や背景がある場合、情報共有がなければ、外部委託された業者には伝わりません。そのため、導入初期には丁寧な情報共有が不可欠です。

一方、内製であれば担当者が継続的に業務を行っているため、暗黙知のまま処理できる場面も多く、情報伝達のコストは比較的少なく済みます。ただし、情報伝達が少ないことで、「属人化」がしやすくなるというリスクもあります。

そのため、外注化は情報共有の手間をかけて、業務ルールの言語化や標準化を促せるともいえるでしょう。

2. 即時対応が難しいこともある

外注の場合、急ぎの修正依頼やイレギュラー対応にすぐ対応できないケースがあります。

たとえば、「今すぐこの請求書を再発行してほしい」「至急報告がほしい」といった依頼をしようとした場合、対応できないことがあります。外注先が他のクライアントの対応状況に左右され、対応リソースが確保できない可能性があるためです。

これに対し、内製であれば経理担当者が社内に常駐しており、緊急時にも対面やチャットですぐ相談できる体制が取りやすいという利点があります。

そのため、外注化を検討する際は「緊急時にどのような対応ができるか」「対応時間の取り決め」など、あらかじめ想定される運用フローを外注先とすり合わせておくことが重要です。

3. 機密情報の管理リスク

経理業務では、給与情報や取引先の口座情報、売上・利益といった極めて重要な機密情報を扱うため、機密情報の管理リスクがあります。

社内で完結する内製体制であれば、アクセス権限の管理や社内ルールで情報漏洩リスクを比較的制御しやすいでしょう。しかし、外注の場合は第三者に情報を渡す以上、リスクをゼロにはできません。

そのため、業務委託契約書や守秘義務契約(NDA)の締結業務ごとのアクセス権限の制限など、セキュリティ体制の構築が不可欠です。

特にクラウド会計を併用する場合は、共有設定やログイン履歴の確認など、技術面でのチェックも欠かせません。安心して業務を任せるためにも、事前のリスク評価と確認が必須です。

経理外注先を選ぶ3つのポイント

経理業務の外注を成功させるには、パートナー選びが大切です。ここでは、外注先選定時に押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。

1. 自社業務との相性はよいか?

経理業務には、記帳代行、請求書発行、給与計算、決算支援などの業務があり、どの業務を外注すべきかは会社によって異なります。

たとえば、スタートアップでスピード感が求められる場合は、対応スピードや柔軟性が重視されますし、製造業など複雑な原価計算が必要な企業であれば、業界知識や専門性が求められます。

また、「月次決算まで依頼したい」「給与計算もセットでお願いしたい」など、高度な業務が含まれる場合、どこまで対応可能かの範囲を事前に確認することが重要です。

2. セキュリティと契約体制は万全か?

経理業務では、給与情報・振込口座・取引明細などの機密情報を扱うため、機密情報の取り扱いについての取り決めも重要です。以下の内容については、事前確認する必要があります。

  • NDA(秘密保持契約)の締結は可能か
  • クラウド共有やメール送信時のセキュリティ対策
  • 社内の情報管理体制(端末の管理体制、アクセス制限、従業員教育体制)
  • 情報漏えい時の対応フロー

セキュリティ意識に温度差があるとトラブルが起こりやすくなります。信頼できるかどうか、契約前に具体的なやりとりや説明を受けて確認しましょう。

3. 定例連絡・対応スピードなど、コミュニケーションのとりやすさ

「質問してもなかなか返事が来ない」「依頼したはずの書類が届いていない」など、連絡のズレや遅延が続くと、業務が滞りかねません。以下の内容を事前に確認しておきましょう。

  • 連絡手段(メール/チャット/電話)とレスポンスの早さ
  • 定例ミーティングの有無と頻度
  • 専任担当の有無
  • 繁忙期や締め日対応の体制

特に月末・決算期などは経理業務が集中しがちです。そのようなタイミングでどう動いてくれるかは、過去の事例なども含めてヒアリングしておくと安心です。

経理業務を外注するのにおすすめのサービス

経理業務を外注できるサービスには、いくつか種類があり、どのサービスにすればよいか迷ってしまうかもしれません。

ここでは、経理業務の外注におすすめできるサービスを紹介します。

フジ子さん

オンラインアシスタント フジ子さん

当ブログを運営している「フジ子さん」は、経理・人事・総務などのバックオフィス業務をオンラインで代行するサービスです。​クラウドツールの導入サポートや記帳代行、経費精算など、幅広い業務に対応しています。​業務はすべてオンラインで完結可能です。​

経験豊富なアシスタントが対応し、セキュリティ体制も万全です。​また、業務時間に応じた柔軟なプラン設定が可能で、必要な分だけ依頼でき、コストパフォーマンスに優れています。​

料金

プラン名月間稼働時間月額料金(税込)
PLAN2020時間65,560円
PLAN3030時間97,350円
PLAN5050時間143,000円

フジ子さんについて詳しくはこちら

マネーフォワード クラウド経費 BPO

出典:マネーフォワード クラウド経費

「マネーフォワード クラウド経費 BPO」は、経費精算業務の承認や領収書の確認・保管など、経理部門の高負荷業務を代行するサービスです。​マネーフォワード クラウド経費とセットで利用することで、さらなる効率化が期待できます。​

料金について詳細はお問い合わせください。​

freee 受取請求書アシスト

出典:freeの受取請求書

「freee 受取請求書アシスト」は、請求書の受取から仕訳までをプロのアシスタントに任せられるサービスです。​請求書専用システムで電子保管し、AIが自動で処理を行います。​

freee会計との連携がスムーズで、請求書の明細行まで仕訳化が可能です。​また、専用クラウドシステムが付帯し、バックオフィスのDXも進められます。​

料金

プラン名月間稼働時間
受取請求書キャビネット4,980円~
受取請求書インボイス19,980円~

スマート経理

出典:Smart経費

「スマート経理」は、クラウドサービスを活用した経理代行サービスです。​必要書類をスキャンするだけのシンプルなオペレーションで、経理業務を代行します。複数人の経理スタッフによるチーム体制で、経理業務の属人化を防げることが特徴です。

料金プランの詳細は公式サイトに記載がありません。詳細はお問い合わせください。

実際どうだった?経理外注の導入事例

経理外注でどのように業務効率が改善できたのか、フジ子さんの利用事例からいくつか紹介します。

飲料関連企業様の導入事例

地方の飲料関連企業様では、経理・総務を担っていた社員の定年退職を機に、業務継続が難しくなっていました。

採用も困難な中、フジ子さんが業務整理やマニュアル化、勤怠システムの導入支援などを担当。チーム制による安定した対応力や、業務構築の支援にご満足いただき、安心して本来業務に集中できる体制を実現できました。

飲料関連企業様の導入事例

人材・HRテック会社での導入事例

教育関連企業様では、これまで社長が一人で請求書発行などの経理業務を兼任しており、負担が大きい状況でした。

そのため、フジ子さんが請求書の作成・発行業務を引き継ぎ、さらに社内体制に合わせたフロー改善をご提案。業務を見える化し、属人化を解消できたことで、社長は営業や事業拡大といった本来の業務に集中できるようになりました。

アビリティーセンター株式会社の導入事例

Webサービス会社での導入事例

経営コンサルティングを主業とする会社で、代表者が実務も担う多忙な体制のため、経理や労務、法務、営業事務といったバックオフィス業務に時間が取られ、本業のコンサルティングに集中しきれないという課題を抱えていました。

「フジ子さん」に経理業務を外注することで、定型業務を効率的に分担できるようになり、代表をはじめとしたメンバーが顧客対応や提案業務など、本業に集中できる体制が整いました。リーズナブルな価格も導入の後押しとなりました。

株式会社BALANCeの導入事例

経理業務の外注はフジ子さんをご検討ください

経理業務を外注するなら「フジ子さん」がおすすめです。日々の仕訳や帳簿作成、請求書発行から月次決算サポートまで幅広く対応可能で、必要な業務だけを柔軟に依頼できます。

税理士とのやりとりを代行することも可能で、業務負担を大きく軽減可能。すべてのスタッフが実務経験者で、クラウド会計ソフトにも対応できるため、質の高いサポートが魅力です。

通信やデータ管理に関しても厳重なセキュリティ体制を整えており、安心して業務をお任せいただけます。

フジ子さんについて詳しくはこちら

経理業務を外注して、業務効率化を進めよう

この記事では、経理業務を外注するメリットや注意点について解説しました。

経理業務の外注を成功させるためには、事前に情報共有体制を整え、業務範囲や業務量を確認し、自社にあったサービスを選ぶことが大切です。

この記事を参考に、経理業務の負担にお困りの方は、経理業務の外注をご検討ください。