「社内Wiki」は組織の情報やナレッジの蓄積・共有を効率的に進められる便利なツールです。現在スタートアップから大企業まで、業種を問わず多くの企業が導入を進めています。
導入すれば、部署間を超えての情報共有がスムーズに進み、業務効率化やノウハウ共有による業務品質向上を期待できます。しかし社内Wikiツールは、無料から有料までさまざまなサービスが存在しており、どのツールを選ぶべきか悩んでいる担当者も多いはず。
そこで本記事では、社内Wikiの事例やメリット、選び方を解説し、おすすめツールを紹介していきます。
目次
社内wikiとは?
「社内Wiki」とは、社内で情報やナレッジを蓄積し共有するためのWiki型ツールです。
そもそもWikiとは、不特定多数のユーザーがWebブラウザからサイト上の情報やコンテンツを編集・書き込みできるシステムです。Wikiといえば、ウィキペディアが有名ですが、社内Wikiはその企業版と考えていただければ、わかりやすいかと思います。
社員それぞれが持っている情報をオンライン上に蓄積し、ウィキペディアのような形式で情報を更新・追記・共有できます。
社内の情報は日々アップデートされていますが、その共有方法に悩んでいる企業も多いでしょう。社内Wikiを活用すれば、効率的に社員の知識・情報・ノウハウを共有することができます。
社内wikiの導入事例
ここで社内wikiの導入に成功している事例を紹介します。
東芝テックソリューションサービス株式会社
POSシステムの導入・設置から運用・メンテナンスまでをトータルサポートする「東芝テックソリューションサービス株式会社」では、社内wikiツール「NotePM」を導入して、情報の一元管理を実現しています。
同社では10年前に一度社内wikiを導入していましたが、検索機能が低いことやバージョンアップ・メンテナンスに手間がかかることなど多くの課題を抱えていました。12拠点あるサポートセンターで、wikiのサーバーをそれぞれ分けて運用していたため、既存のwikiシステムで検索しづらくなっていたのです。
そこで、複数の拠点のナレッジを一元管理できるシステムの導入を検討。NotePM、DocBase、Kibela、QAメーカーのトライアルを試し、最終的にNotePMを導入するに至っています。
NotePMを導入後は、顧客情報の共有や社内のコミュニケーションの場としても活用。業務手順書、製品情報、顧客サポート記録、社内連絡事項などの一元管理に役立っています。
(参考:【導入事例】12拠点あるサポートセンターのナレッジを一元管理! – 東芝テックソリューションサービス株式会社)
株式会社メルカリ
強いチームワークと企業文化で知られる「メルカリ」では、毎月数十人が入社するという
急成長の段階にあります。社員のほとんどが中途採用ですが、社内のカルチャーは変わらず、強いチームワークを維持しています。
企業が大きくなればなるほど、会社のカルチャーや雰囲気が変わっていく壁にぶつかることが多い中、メルカリが強いチームでいられる理由のひとつが社内wikiの活用です。
海外出張のレポートや採用活動の成果など、個人情報以外のストック情報は、すべて社内wikiにまとめられています。いわばこの社内wikiが、メルカリで働く上でのマニュアルになっているのです。
入社した社員は、まず自分の情報を社内wikiに書き込むことからスタート。わからないことがあっても、質問する前に社内wikiを見るのがルールです。
個人が学んだことやプロジェクトで得た知見などを、アウトプットする場としても社内wikiが活用されています。社員がどんどん社内wikiを更新し、その投稿に反応することが、メルカリ流のコミュニケーション文化です。
(参考:メルカリが「急成長」「ほとんど中途採用」でも強いチームワークでいられる理由)
社内wiki導入のメリット
社内wikiを導入すると、下記のようなメリットが得られます。
- 業務効率化
- 属人化の防止
- 人材育成の円滑化
それぞれ詳しく解説していきます。
業務効率化
社内wikiで情報やナレッジを共有し、活用すれば業務効率化につながります。例えば、先ほど事例で紹介したメルカリのように、わからないことも社内wikiで検索することで質問する手間を省き、疑問をすぐに解決できます。
また、必要な資料や似たような書類を探せば、書類作成の手間も省けるでしょう。「同じ質問を何度もされてその都度、業務の手を止めなければならない」「入社したてで誰に聞いたらいいかわからず業務が進まない」といった事態を避けられます。
社内wikiは誰でも更新できますから、古い情報に惑わされた無駄な作業の防止にも役立ちます。
属人化の防止
情報やナレッジが特定の社員に偏ると、その社員が不在の際に「誰もわからない」状態に陥ってしまいます。社内wikiは、このような属人化の防止にも役立ちます。
社内wikiには必要な情報がストックされているので、担当社員が不在でも業務効率が低下しません。また特定の社員が退職しても、知識や技術が奪われることがないのもメリットです。これまでの属人化を解消すれば、社員によって業務の質が異なることもなく、業務の質統一と向上を実現できます。
人材育成の円滑化
社内wikiは、人材育成の円滑化にも効果的です。通常、新入社員や他部署からの移動による業務の引き継ぎなどは、研修やOJTの実施が必要です。しかしこれらには時間とコストがかかり、教育担当者の負担を増加させる原因となっています。
社内wikiに、引き継ぎ内容やこれまでの業務のナレッジが蓄積されていれば、その情報を活用できるため、人材育成の手間を省くことが可能です。
入社した従業員にしてみても、わからないことは社内wikiでチェックできますので、質問する相手を探したり、気を遣ったりする必要がなく能動的に知識を吸収できるでしょう。
社内wikiツールの選び方
社内wikiはさまざまなサービスがあるため、どれを選んだらいいか迷う担当者も多いのではないでしょうか。
せっかく導入しても使いづらく社内に浸透しなければ、余計なコストと手間をかけてしまいますよね。業務効率化を図る上で、このような事態は避けたいものです。
そこでここからは、失敗しない社内wikiの選び方について解説します。
自社に必要な機能が揃っているか
まずは利用人数、権限の設定、スマホ対応など、自社に必要な機能が揃っているかを確認しましょう。
どんなに優れたツールでも、自社に必要な機能が備わってなければ意味がありません。社内wikiの機能は各ツールによって異なりますので、自社の目的や条件に見合ったものを選びたいものです。
検索機能が充実しているか
次に、検索機能が充実しているかも重要なポイントです。膨大な量の情報の中から自分が必要とするものを探し出すには、検索機能が不可欠です。
検索機能が低く使いづらい場合は、社内wikiとしての意味をなしません。検索しやすく、アクセスしやすいツールを選びましょう。
操作しやすいUIか
社内wikiは情報の「登録・蓄積」と検索して情報を「閲覧」するという、2つの側面を持っています。どちらから利用する場合でも、操作しやすいものを選びましょう。
社員全員が複雑なマニュアルを読まなくても、感覚的に操作できるツールでなければ活用されません。
特定知識の習得が必要だったり、操作が複雑だったりすると更新が滞りがちになります。いつの間にか誰も使用せず、従来のやり方に戻ってしまう恐れもあるため、操作性の高さは非常に重要な要素です。
セキュリティ対策は整っているか
社内wikiは、社員なら誰でも閲覧・更新が可能な情報です。情報の共有には便利なツールですが、外部に機密情報が漏れる恐れがあるため注意しましょう。
特に最近はテレワークの拡大により、さまざまな環境からアクセスするケースが増えています。セキュリティが情弱なツールは、社員も自覚のないまま情報が漏洩する恐れもあるでしょう。
ITリテラシーが高くない社員が使用しても安全かどうかは、ツールを選ぶ上での重要項目のひとつです。
【無料あり】社内wikiツールのおすすめ5選:①クラウド型
クラウド型の社内wikiのメリットは、誰でもどこからでもアクセスできる点です。社内のパソコンに帰属しませんから、テレワークでも活躍します。欲しい情報がいつでもどこでも手に入る環境は、社員にとって活用しやすいポイントと言えるでしょう。
またコスパも良く、バージョンアップやメンテナンスをサービス提供元に任せられる点も大きなメリットです。
一方でデメリットは、セキュリティが情弱だと情報漏洩の恐れがあることです。ツールを導入する際は、セキュリティやサポート体制を重視して選びましょう。
ここからはおすすめの社内wikiを紹介していきます。
NotePM
画像:NotePM
「NotePM」は、登録企業5,000社を突破した、実績ある情報共有ツールです。本記事の事例でも紹介した、東芝テックソリューションサービス株式会社も導入しています。
高機能エディタとテンプレートで、ウィキペディアのように社員が直感的に情報を書き込みやすい仕様です。矢印や吹き出しなど画像編集機能も搭載しています。
検索機能では、Word・Excel・PowerPoint・PDFなどファイルの中身まで検索可能です。他にも、アクセス制限やページを見た人がわかる機能、コメント・いいねなど機能も充実しています。
Slackやchatworkとも連携可能で、活用の幅も広がります。マルチデバイス対応でスマホからの閲覧・操作も快適です。
料金プランはユーザー数8人まで4,800/ 月〜。見るだけのユーザーは無料です。初期費用、サポート費用は0円なので、導入費用も低コスパ。30日間のお試し期間では、すべての機能を利用できます。
Notion
画像:Notion
ビジネスやプライベートの情報管理に役立つツールとして人気の「Notion」は、機能性の高さと便利さから神アプリとの呼び声も高いアプリ。すでに世界では多くのユーザーに愛されており、日本でも大ブーム間近と言われています。
Notionの大きな特徴は、メモの作成、タスクリストの管理、チームWiki、ロードマップ機能、文書やプレゼン資料といった、さまざまなドキュメントを共有できるなど、豊富な機能を搭載していること。シンプルな画面と直感的な操作で、誰でも使いやすい仕様です。
しかも、無料で利用できるプランでも「ページ」や「ブロック」の数が制限なく使用できます。個人利用なら無料プランで十分です。
有料プランは$4/月〜$20/月で、料金に合わせてメンバー数やゲスト数が異なります。いずれもお試し期間が用意されていますから、気になる方は実際に使用してみることをおすすめします。
flouu
画像:flouu
「flouu」は、プライズ株式会社が提供するクラウド型の情報共有ツールです。ナレッジ共有に必要なあらゆる機能が備わっており、使いやすさに定評があります。
ドキュメント作成機能では、リアルタイムの同時編集や共有が可能。よく使用するテンプレートの登録機能やファイル添付機能も搭載されています。
Slack、chatworkとの連携もOKで、ドキュメント単位のリアルタイムチャット機能もあるため、コミュニケーションツールとしても活用可能です。
基本料金は1ユーザーあたり30日500円〜。14日間の無料トライアルも提供されています。
Kibela
画像:Kibela
「Kibela」は中小企業から大企業まで、業界問わず利用されている情報共有ツールです。テレワークの定番として、多くの企業で導入されています。
大企業にも適したセキュリティの高さが魅力で、IPアドレス制限、脆弱性診断テスト、監査ログなどに対応しています。グループやフォルダで権限を分けて共存できますから、あらゆる情報を蓄積可能です。
機能もデザインもシンプルで、直感的に使用できるところが優れています。
料金プランは無料と有料プランがあり、ユーザー数5名までなら無料で利用できます。有料プラン(スタンダードプラン)は、1ユーザーにつき540円(税込)/月で利用可能です。
Qiita:team
画像:Qiita:team
「Qiita:team」は、2014年8月よりサービス提供をスタートし、サイバーエージェントやリクルートなど大手企業を中心に5,000社以上の導入実績を持つツールです。
クラウド型なのでテレワークにも最適。記事投稿機能では、Markdown記法が使えるので簡単にドキュメントを作成できます。日報や議事録のテンプレート機能があるのも便利。記事の内容にコメントできますから、コミュニケーションや議論の場としても活用されています。
多彩な検索軸で、必要な情報にすぐにアクセスできる点もメリット。新着記事やコメントの通知機能なども搭載されています。一番安いプランは月額1,520円〜。最も高額な上位プランでも月額15,300円〜とリーズナブルです。
社内wikiツールのおすすめ3選:②オンプレミス型
オンプレミス型とは、社内のサーバーにシステムを構築し、自社で運用を行う形式のツールです。カスタマイズが自由にできるため、自社に適した仕様に細かく調整できます。既存システムとの連携もできますので、大量のデータを保有している企業には大きなメリットです。
また、自社サーバーを使用し社内で構築するためセキュリティが高く、社内で適切に管理すれば情報漏洩のリスクも少ないでしょう。
一方で、初期費用や保守費用が高額になりやすい点がデメリットです。導入後もシステムのバージョンアップやメンテナンスで費用がかかります。他には導入までに数ヶ月の時間を要すること、スマートフォン、タブレットなど外部端末からのアクセスの設定に手間がかかることもデメリットです。
ここからは、オンプレミス型の社内wikiのおすすめツールを紹介します。
Crowi
画像:Crowi
メルカリが導入していることでも有名な「Crowi」は、Crowiが提供する社内wikiツールです。オンプレミス型で、無料で利用できます。Markdownでの編集、見た人機能やいいね機能搭載で、コミュニケーションツールとして最適です。
SNSのような感覚で使えるため、社内に定着しやすいのも利点。初期費用・月額費用0円と低コストで、スタートアップ企業から大企業まで幅広い企業に利用されています。
Confluence
画像:Confluence
「Confluence(コンフルエンス)」は、オーストラリアのAtlassian(アトラシアン)社が提供する情報共有ツールです。高いレベルのセキュリティ対策が行われていますので、利用企業の大切なデータをしっかりと守れます。
カスタマイズできるテンプレートが豊富で、文字だけではなく、画像や動画、GIFを追加可能。コンテンツを「ページ」という単位で作成し階層構造で管理するため、わかりやすくて検索しやすい点も魅力です。
あらゆる階層の従業員がドキュメントに自由なコメントを投稿でき、チャットの内容もナレッジとして蓄積されます。何気ない会話や議論から生まれるアイデアを、消失することがありません。
10名まで2GBのファイルストレージの利用は無料です。まずはお試しで利用してみてはいかがでしょうか。
GROWI
画像:GROWI
「GROWI(グロウィ)」は、WESEEKの提供するOSS社内wikiツールです。自社のエンジニアが「自分たちが使いやすいツール」をコンセプトに開発されました。
テキストはもちろん、UIカスタマイズや図の作成に対応。リアルタイムで複数人が編集できる、Bootstrap による HTML コードにも対応するなど、多様な機能を備えています。Markdownで記事を書くことができるため、誰でも簡単に活用できるところがメリットです。
利用料金は月額固定制なので、ユーザーの増減に左右されない点も魅力。クラウド版では、環境構築、メンテナンス、バージョン管理などをすべて運営元に任せられるため手間がかかりません。
社内wikiを定着させるコツ
費用や手間をかけて社内wikiを導入したものの、社内に定着しなければ宝の持ち腐れになってしまいます。新しいシステムを導入すると、従来のやり方とは異なるため反発する従業員も少なからずいるでしょう。しかし、社内wikiは社員が一丸となって取り組まなければ、活きないツールです。
特にITが苦手な世代こそ、経験豊富でさまざまなノウハウを持っているため、積極的に利用してもらいたいものです。
そこで、社内wikiを定着させるコツを下記で紹介していきます。
導入の目的を明確にする
まずは導入の目的を明確にして、全社員と共有しましょう。
何の目的で導入するのか目的がわからなければ、メリットが感じられず業務負担だけが増えてしまう感覚に陥ってしまいます。これでは「最初はなんとなく活用したけど、すぐに誰も使わなくなった」という状態になりかねません。
そこで会社が抱えている課題を挙げ、それらを解決するためには社内wikiの導入と活用が必要であることを明確に伝えて、協力を仰ぐことが大切です。
社員にとってもメリットを感じられる目的であれば、社内wikiを活用しようという強いモチベーションを保つことができるでしょう。
投稿や編集のルールを整備する
次に投稿や編集ルールを整備することも大切です。社内wikiは自由に編集・更新ができるツールですが、ルールを制定しなければ「どう使っていいかわからない」「どんな時に利用するべき?」と悩んでしまいます。
こうなると社内wikiの利用が億劫になり、浸透しません。そこで、投稿や編集ルールを整備して明確にしておくことで、社内wikiの使い方のイメージが湧いて活用が促進されます。
利用促進のためのプロジェクトチームで先導する
社内wikiが社内に定着するまでは、利用促進のためのプロジェクトチームが先導する形で活用しましょう。
例えば、テンプレートを作成したり情報共有の必要性を周知したりすると、利用のハードルが下がり、徐々に活用する社員が増えていくはずです。
技術的なサポートや効果的な使い方の発信をすることで、より定着率が向上するでしょう。
フジ子さんでは社内wikiツールに関する諸業務を代行しています!
画像:フジ子さん
本ブログを運営するオンラインアシスタント「フジ子さん」では、社内wikiツールのリサーチやシステム構築といった諸業務を代行しています。
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まとめ
本記事では、最近話題の社内wikiについて解説しました。社内Wikiを使えば社内の情報やナレッジを共有するのが円滑になり、業務効率化を図れます。
社内wikiにはさまざまな種類のツールがありますので、自社の目的や条件にあったものを選びましょう。ツールに関する諸業務のリソースが足りない場合は、代行業者のフジ子さんなどを活用するのもおすすめです。
ツール選びに悩んだら、本記事で紹介したものを参考に比較検討してみてください。