中堅社員が辞めていく。離職率が高い5つの原因
「中堅社員」という言葉の定義は会社によって違いますが、多くの場合は入社3年目から主任や課長などの役職に就いていない社員のことを指します。
一定の経験を積んでいるため、ある程度重要な仕事を任せられますし、後輩の育成もお願いできる存在です。
会社内にいる社員の層としては一番多いかもしれません。会社によっては管理職に準じる仕事をすることもあるでしょう。『新人と管理職の間に立っている社員』という見方もできますね。
新人と管理職、双方の意見を自然に聞けるという点で、会社にとってはなくてはならない中堅社員。
しかし、優秀な社員ほど会社のことや自分のことを冷静に考え、考えた結果、辞めてしまう場合も多いです。
最近では、テレビやインターネットで転職を勧める風潮もあります。中堅社員に辞められることは会社にとってとても大きな問題です。
今回では、中堅社員が辞めていく、離職率が高い原因と離職率の改善方法をご紹介します。その対策を紹介していきます。
業務がルーティン化してつまらない
同じ仕事を長く続けていると、業務がルーティン化されていきます。ルーティン化されていると、決められたことだけをこなすだけになるため自分で考えずに仕事ができ、失敗する確率も減っていきます。そのため、楽ではあります。
ただ、ひとによっては、毎日毎日同じ作業を繰り返すことに対し刺激が少なくてつまらない、と感じるようになるでしょう。
ルーティンワークのない職場などないとは言え、適度に刺激があり、自分で考えて判断する仕事がしたいと思うようになる社員が出てきても仕方がないと言えます。
自分の成長につながらない
中堅社員は、新入社員よりも落ち着いて会社全体を見られる分、この会社にいて自分が本当に成長できるかどうかを冷静に考えています。
自分の意見を言える環境にない、言えたとしても、その意見を上司がまったく聞き入れてくれない、キャリアアップのモデルケースもないなど、自分の成長につながらないと考えると、会社を辞めるという選択肢が出てきます。
会社で仕事をするのは、もちろん会社や顧客のためでもありますが、根底には自分が成長するためという思いがあるのです。
会社に将来性がない
会社全体を俯瞰して見ている中堅社員は、その会社に将来性があるかどうかも見ています。それも、かなりシビアに。
業績が下がり続けているにもかかわらず新しいことに挑戦しない、社員の意見を聞かない、経営陣の刷新をしない、業務改善に着手しないなど、「現状」にすがり付いている、またはあぐらをかいている会社では将来性がないと思われても仕方がありません。
将来性がない会社にいつまでもいたいと思う社員はいませんよね。いつでももっと「上」にいくため、新しいことに挑戦している会社でなら、がんばろうと思えます。
出世できる見込みが薄い
社員を大切にしない会社は、社員から見切りをつけられます。出世ができるかできないか、またどのくらいがんばれば出世できるのか…。それは社員を大切にしているかどうかを判断する大きな材料です。
何年間もひたすらにがんばっているのに昇給も出世もないのでは、やる気がなくなっても仕方がありませんよね。ここまでやれば出世できるという目標があるからこそがんばれるのです。
出世する見込みが低いのにずっとその会社で尽力せよ、というのは酷な話だと思いませんか?
部下や上司との人間関係
誰かと一緒に働いている以上、必ず出てくるのが人間関係の問題です。誰もがみんなと仲良く、楽しく働ければそれが一番いい環境ですが、なかなかそうはいきません。
現実では、意思の疎通が図れずに摩擦が起こっていたり、さまざまなハラスメントに遭い嫌な思いをしたりしている社員も多いでしょう。まったく嫌な思いをしたことがないという社員はいないかもしれません。
人間関係のもつれはストレスになり、ストレスは体調不良を呼びます。そうなると心も弱ってしまいます。心身ともに弱ってしまうと、仕事どころではなくなってしまいますよね。
どんなに仕事が好きでも、人間関係が悪いと仕事に行くのが億劫になるものです。そして一度億劫になると、なかなかやる気は戻ってきません。もしくは、やる気があっても身体がついてこないのです。最悪の場合、精神的な病気になってしまいます。
円滑な人間関係の構築は、会社で仕事をして生活をしていくうえで、ある意味業務そのものよりも重要なファクターです。
中堅社員が辞めない、離職率を改善する4つの条件
会社にとって大きな戦力になる中堅社員が辞めていかないように、まずは環境作りをしましょう。ポイントを4つにまとめましたので、参考にしてください。
中堅社員のルーティン業務を減らす
つまらない、と思われるようなルーティンワークを減らしましょう。中堅社員にはルーティンワークではなく自分の判断が必要になる業務を振ってください。この業務は自分の裁量にかかっていると思うと、それだけでもきっとやる気が出ます。
中堅社員は、一定の期間以上会社でがんばってくれている社員です。そんな社員を信じて、ある程度の仕事を任せてみましょう。任せてみたら、期待以上の結果を出してくれるかもしれません。
中堅社員の上流業務を増やす
上流業務とは、その名の通り企業において上流の業務を指します。具体的には、社員の権限を増やして任せられる仕事を増やすのがいいでしょう。
上記と少し重複しますが、自分の裁量で仕事ができるようになると、社員はやる気が出て、成長にもつながります。社員の成長は、そのまま企業の成長にもつながっていくのです。
社内交流のイベントを増やす
社内交流のイベントを増やして、社員同士がフランクに会話をできる機会を増やしましょう。具体的には、社内報や慰安旅行、食事会などになります。
べったり仲良くなるためではなく、社員同士が職場仲間としての良い関係性をもち、能力を高め合い、業務を効率化するためのイベントです。
食事会などを強制することはNGですが、社員同士が円滑なコミュニケーションをとれるようになれば、業務がスムーズに進みますし、情報を共有することでフォロー体制も整い、顧客満足度も上がります。結果的に顧客との関係も良くなり、業務がさらにやりやすくなるのです。
また、上司や部下に意見を言いやすい環境を作ることで、言いたいことを心の中に溜め込んでストレスになる、ということが減ります。
適切な評価制度を整える
業務に対する適切な評価は、企業にとっても社員にとっても必須です。
誰であっても評価は正当にしてもらいたいですし、がんばった分だけ評価してもらえると思うとモチベーションも上がります。また、はっきりした制度を公表していれば企業全体に対する社会からの評価も上がるでしょう。
ところが、現実では社員に対する評価制度が手薄になっている企業がほとんどです。制度そのものがなかったり、あったとしても機能していなかったりと、社員の評価がされていないのです。
評価制度は給料を決めるためだけに導入するのではありません。業務に対して社員が明確な目的をもち、成長し、顧客満足度を高め、結果的に企業の業績アップを目指すために導入するものです。
平等に、適切に社員を評価できる制度を整えて実施していくことが、企業にも社員にもプラスに働きます。
今すぐできる中堅社員の離職率改善案
離職率改善には、まず現状把握が必要
退職を未然に防ぐためには、日ごろからコミュニケーションをとっておくことが大切です。定期的に面談や紙によるアンケートを実施し、現状に対する社員の思いを聞いておくのがいいでしょう。
- 会社に対する満足度(働き甲斐はあるか、会社をよりよくしていくためにはどうすればいいと思うか)
- 業務そのものに対する考え方(業務への適性はあると思うか、自分の成長につながると思うか)
- 自分の立ち位置をどう思っているか(役職や給与に満足しているか、人間関係の悩みはないか)
- 私生活で困っていることがないか(休みの日はなにをしているのか、最近楽しかったことはなにか)
- etc…
聞き取りをしてみると社員の考えが見えてきますし、質問に気軽に答えられる環境があるということは、社員はまだ会社に期待できているということです。
こういった質問に答えない、もしくははぐらかすようになると、会社に見切りをつけている可能性があります。
辞職の意思が固まっている社員を引き留めることは難しいですが、未然に防ぐ手立てならたくさんあります。
大切なのは、「この会社は社員を大切にしている、心配している」という組織や制度作りをし、それを社員に伝えることです。
中堅社員の業務量を減らすことも必要
しかし、現実的に、今すぐに中堅社員をルーティンワークから外すことは人手不足のためにできないし、時間がないので社内交流も難しい、資金不足のために昇給もできない…という企業は多いでしょう。
そこで一つの手段として考えてほしいのが、ルーティンワークをオンラインアシスタントに外注するという方法です。
オンラインアシスタントに外注することで、日々のルーティンワークからは解放され、その分の時間を上流業務や社内交流にまわせるようになります。
外注ですのでもちろん費用はかかりますが、ルーティンワークをしてもらうための社員を新しく雇うよりはコストを抑えられます。
常に月給が発生する自社の社員と違い、オンラインアシスタントは困ったときに困っている分だけ業務を依頼できるからです。
今月は忙しいのでたくさん入ってほしい、この月は閑散期なのでサービスは不要、という要望にも応えてくれます。
オンラインアシスタントを上手に利用すれば、時間的にも金銭的にも、さらには精神的にも余裕をもって仕事に向き合えるようになるでしょう。
費用は提供されるサービスによって変わりますが、安価ならば時給換算で2,000円台からあります。
オンラインアシスタントのワーカーさんは高いスキルをもっていますので、安心して業務を任せることができ、新人さんを一から教育するという時間もコストもかかりません。
また、サービスを提供する会社によって特徴も違います。外国語対応ができたり、web業務が得意だったり、デザインに強かったり、経理事務に強かったり…。
自社にどういったサービスが必要か、またどのくらい必要かを洗い出し、自社に合ったサービスを見つけてください。
多くのオンラインアシスタント業者は、無料相談や無料トライアル期間を設けています。まずはそちらを試し、自社の求めるサービスを提供してくれるか判断しましょう。
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まとめ
冒頭でもお伝えしたとおり、中堅社員は、会社にとってなくてはならない存在です。
新人社員と管理職の間に立ち、双方の考えを行き来させられるのは中堅社員しかいません。彼らの働き次第で企業の空気が変わると言っても過言ではないでしょう。
企業としては、すべての社員を大切にすべきです。しかしすべての社員は、新人から中堅を通って役職に就いていき、ゆくゆくは会社を支え、引っ張る存在になっていきます。
今こそ中堅社員の重要度を考え、企業と社員のために制度を作っていきましょう。