「税理士に依頼したいけど、費用相場がわからない」
「どのような料金体系があるの?」
このように、税理士に外注する際の費用について、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
税理士に依頼すると、決算申告や年末調整などの専門知識が必要な税務業務を、スムーズにこなしてくれます。しかし契約方法や代行内容によって費用は様々なので、費用相場がよくわからないという方もいますよね。
そこで今回は、税理士に外注する際の費用相場について、代行内容別に紹介していきます。
目次
税理士の料金体系
税理費用は「売上高」「業務量」「契約方法」という3つの要素によって、以下のように決まります。
売上高に応じて
1つ目の要素は売上高。売上が大きいと取引数や納税額が増えて、税理士の作業量も増えるため、そのぶん報酬も増えます。
業務量に応じて
2つ目の要素は業務量です。例えば税務申告に加えて、記帳代行や年末調整など依頼する業務を増やせば、当然料金は高くなります。
契約方法に応じて
3つ目の要素は契約方法です。契約方法には「スポット契約」と「顧問契約」の2つがあります。
「スポット契約」は、記帳代行や年末調整など、それぞれの業務ごとに依頼する方法です。
その一方で「顧問契約」は、経営サポートや税務指導を依頼する方法です。
顧問契約には、各業務の費用がすでに含まれており、スポット契約と料金が変わる場合があります。
税理士に外注する際の費用相場~顧問契約~
顧問契約で税理士に依頼する際の費用相場を、「法人」「個人事業主」それぞれの場合で紹介します。
法人の場合
売上高 | 月1回訪問 | 3ヶ月に1回訪問 | 6ヶ月に1回訪問 |
5,000万円未満 | 35,000円~ | 30,000円~ | 25,000円~ |
5,000万円以上1億円未満 | 40,000円~ | 35,000円~ | 30,000円~ |
1億円以上3億円未満 | 60,000円~ | 50,000円~ | 40,000円~ |
3億円以上 | 要相談 |
法人の場合、売上高が5,000万円未満だと月1回の訪問で35,000円~です。そこから売上高が増えていくと共に、料金もあがっていきます。3億円を超えると、相談の上で料金を決めるのが一般的です。
個人事業主の場合
売上高 | 月1回訪問 | 3ヶ月に1回訪問 | 6ヶ月に1回訪問 |
1,000万円未満 | 20,000円~ | 15,000円~ | 10,000円~ |
1,000万円以上3,000万円未満 | 25,000円~ | 20,000円~ | 15,000円~ |
3,000万円以上5,000万円未満 | 30,000円~ | 25,000円~ | 20,000円~ |
5,000万円以上1億円未満 | 35,000円~ | 30,000円~ | 25,000円~ |
個人事業主の場合、法人よりも料金は少し抑えられます。売上高1,000万円未満の月1回訪問で20,000円~が相場です。そこから売上高があがるにつれ、料金が増えていきます。
税理士に外注する際の費用相場~スポット契約~
次に、スポット契約の場合の各業務ごとの費用相場を紹介します。
記帳
記帳の相場は、1仕訳あたり50〜100円です。月々の伝票・領収書を渡せば会計ソフトへの入力・試算表の作成などを代行してもらえます。
料金は仕訳数で決まることが多いのですが、売上高から決まる場合もあります。
給与計算
給与計算の相場は、従業員1人当たり約1,000円です。従業員数が多いほど、料金も高くなります。
経費精算
経費精算業務の相場は、1カ月につき約1万円です。領収証の整理や精算金額の振込などを依頼できます。
年末調整
年末調整の相場は、従業員10人当たり2万円。従業員数が多いほど、料金も高くなります。
従業員が記載した各種書類を税理士に渡して、年末調整の対象である従業員の算定と税額の計算をしてもらいます。
決算申告・確定申告
決算申告の費用相場は15万円~、確定申告の費用相場は3万円~です。
個人であれば確定申告、法人であれば決算申告を行います。税理士に帳簿・領収書などを渡して、申告書の作成・手続きをしてもらいます。
消費税申告
消費税申告の料金は、基本的に決算申告の費用に含まれています。消費税のしくみは複雑なので、税理士に相談するとよいでしょう。
税務調査対応
税務調査対応で担ってくれる業務は主に2つです。1つ目は「必要書類の確認」「書類不備の修正」などの事前準備。2つ目は、調査当日に税務職員から行われる質疑応答のサポートです。
これらの税務調査対応は一日がかりになることが多く、日当制で報酬を算出するので「1日3〜5万円 ✕ 調査日数」が費用相場になります。
税務相談
税務相談の相場は、1時間につき5千円から1万円程度です。無料相談を行っている税理士事務所もあり、これなら気軽に利用できます。
税理士費用には法的な規定がない
2001年の税理士法改正により、税理士報酬の規定がなくなったため、現在では税理士ごとにある程度自由な価格が設定がされています。
そのため、本記事では税理士の費用相場を解説していますが、あくまで相場だと理解してください。
費用が高くても相応の仕事をしてくれる場合もあれば、逆に安いと値段相応の粗雑な内容になる場合もあります。そのため税理士を選ぶ際には、次項で挙げることを確認するようにしましょう。
税理士の費用などでチェックするべきポイント
ここでは税理士の費用を考える際の、5つのチェックポイントを解説します。
費用の内訳は具体的か
「費用の内訳が具体的に示されているか」を確認しましょう。
顧問契約の場合、料金が月額・年額で示されます。しかしそれだけでは、どのような業務が含まれているのかわかりませんよね。記帳代行や決算申告など、具体的にどの業務が含まれているか把握するのが大事です。
業界に詳しいか
「業界に詳しいか」ということも、事前に確認しておきたいポイント。一般的な税務知識はもちろん、自社の業界に関する知識を持っている税理士がおすすめです。
自社の業界について全く知らない税理士よりも、業界用語や内部事情などに精通している税理士の方が、業務がスムーズに進むでしょう。過去に同じ業界の顧客を担当したことがあるか、確かめておく必要があります。
経営のアドバイスまでしてくれるか
腕の良い税理士であれば、税務面から会社の経営についてのアドバイスをしてくれます(専門的な内容だと要追加料金)。逆にアドバイスできない税理士は、知識不足であまり能力が高くない可能性があるでしょう。
書類の読み方を教えてくれるか
決算申告や給与計算などの税務作業には、素人には難しい書類がつきもの。そのため、どのように書類を読めばいいのか教えてもらうことが重要です。
書類の読み方を教えてもらえないと、会社の税務業務を社内の人間が誰も理解できません。専門用語を使いすぎず、分かりやすい言葉で丁寧に教えてくれる税理士なら安心です。
高圧的でないか
税理士から税務についてのアドバイスを貰う際、高圧的な態度をとられてしまうと気持ちよく仕事ができません。分からないことを質問しにくく、思うような取引ができない可能性があります。長く一緒に仕事をしていくためには、人としての相性も大切です。
まとめ
今回は、税理士に外注する際の費用相場について、代行内容別に紹介しました。
依頼する業務内容や契約方法に応じて、費用相場は変わります。「内訳は具体的か」「経営アドバイスまでしてくれるか」などの点に注意しながら、貴社に合った税理士を選んでください。