貿易事務とはどんな仕事?業務内容の例や必要な能力などを解説

「貿易事務」という言葉を聞いたことがあっても、具体的な仕事内容までは知らない方が多いのではないでしょうか。

貿易事務とは、輸出入などの貿易に関わる事務のこと。貿易書類の作成や輸送手配などの業務を行い、専門的な知識や語学力が求められる事務職です。

今回は、貿易事務の仕事内容、必要な能力などを解説します。本記事を読めば、貿易事務の仕事内容を具体的にイメージできるようになり、転職に必要な基礎知識を身につけられますよ。

貿易事務とはどんな仕事?

貿易事務とは、輸出入などの貿易に関わる事務のことです。営業事務、経理事務などと同様に書類作成といった作業を行いますが、他社員のサポートではなく最前線で貿易業務に取り組みます。海外の企業と連絡を取ることも多いため、ある程度の語学力が必要です。

貿易事務の仕事を抱えるのはどんな会社?

貿易事務の仕事を抱える会社の種類は主に3つあります。

1つ目は商社です。仕事内容は、海外企業とのやり取り、商品の受発注、荷積み手配などです。海外企業と納期交渉ができるだけの語学力や、さまざまなタスクを同時にこなす能力が求められます。

2つ目は、国際物流会社です。最善の貨物輸送ルートを考える役目を果たします。仕事内容は、複数企業との打ち合わせや交渉、荷積み手配や関連書類作成などです。輸出入に関する書類作成を迅速にこなす事務処理能力が求められます。

3つ目は、倉庫会社です。商社の依頼を受けて輸出入に関係する業務を代行します。主な仕事内容は、輸出入の許可を得るために必要な通関書類作成、荷積みなどです。ある程度の英語力や事務処理能力が求められます。

貿易事務の主な業務内容

貿易事務の主な業務内容を3つ紹介します。

輸出に関わる業務

輸出に関わる業務は主に次の3つです。

  • 貿易書類の作成:インボイスや信用状といった、商品の輸出に必要な書類を作成します。書類は英語で書かれていることが多いので、ある程度の英語力が求められます。
  • 輸送手配:商品を輸送できる体制を整えます。海運業者や物流会社と連携し、最適な輸送経路・手段を手配します。
  • 通関手配:税関に対して、輸出(輸入)の許可を取る手続きを行います。

輸入に関わる業務

輸入に関する業務は主に次の2つです。

  • 関税・消費税の納付:規定の関税・消費税を納付しなければ、輸入した商品を受け取れないため、税金を算出して納付します。
  • 納品管理:顧客に商品が確実に届くように管理業務を行います。具体的な業務内容は、在庫確認、発注、スケジュール調整などです。

その他の業務

その他の業務は次の4つ。

  • 電話・メール対応:国内外の企業との連絡業務です。商品の発注やスケジュール管理、納期交渉などを行います。
  • 来客対応:会社に来客があった際に、部屋へ案内したり飲み物を出したりします。一般的な事務業務の1つです。
  • 郵便物の発送・仕分け:郵便物を発送・仕分けする仕事で、一般的な事務業務の1つです。一般事務とは違い、英語などの異国語で書かれた郵便物も多いです。
  • 備品管理:会社に必要な備品を管理・発注する業務で、一般的な事務業務の1つです。

貿易事務に必要な能力・スキル

貿易事務に必要なスキルは次の5つです。これらのスキルを身につければ、貿易事務に転職できる確率がグッと上がりますよ。

英語を中心とした語学力

貿易事務に必須の能力は、英語を中心とした語学力です。貿易関連の書類作成は、英語で行うことが多いです。英語の読み書きはもちろん、英会話スキルも身につけておくと良いでしょう。

また、英語圏以外の企業と取引する場合もあるので、中国語、スペイン語なども話せると重宝されます。また、英検やTOEICといった語学系の資格を所有していたり語学系の大学を出ていたりする場合もチャンスを掴みやすいです。留学経験がある場合も、しっかりアピールしましょう。

コミュニケーション能力

コミュニケーション能力とは、他者と円滑に意思疎通するための能力のことで、貿易事務だけでなく、社会人であれば必須の能力です。

特に、社内外の人とやり取りをする機会が多い貿易事務にはコミュニケーション能力が不可欠です。少しでもコミュニケーション不足があれば、商品が顧客に届かなかったり期日に遅れたりなどのトラブルが起こってしまいます。

また、日本語だけでなく、英語でも円滑にコミュニケーションをとれる状態にあるのが望ましいです。

事務処理の速さ・正確さ・柔軟さ

貿易事務では、事務処理の速さや正確さが求められます。なぜなら、複数の企業・機関と連携して業務を進めることが多いからです。例えば、輸送ルートを決めるためには物流会社と連携しますし、通関手配の際には税関に連絡をする必要があります。

多くの企業と同時にやり取りしながら、書類作成や手続きなどの業務をこなすことが求められるため、事務処理の速さ・正確さ・柔軟さは必須です。

貿易への専門的な理解

貿易事務をするなら、貿易の専門的な知識も必要です。例えば、物流の流れ、自国・他国の法律や制度、取引国の商習慣、通関手配の方法など。未経験の場合、これらの知識を身につけておくと、転職しやすいでしょう。

ただ、日常生活で貿易の専門的な知識に触れるのが難しい方も多いと思います。その場合におすすめなのが「貿易実務検定(R)C級」という資格を取得すること。必須資格ではありませんが、貿易取引の一連の流れを理解していると判断され、採用の確率が高まるでしょう。

貿易事務は専門性の高い事務職

貿易事務は専門性の高い事務職です。一般に事務職と言うと、データ入力や電話対応など他社員をサポートするイメージが強いですが、貿易事務は専門的な知識を駆使しながら最前線で貿易業務を行います。

そのため、物流の流れや通関手配の方法といった貿易の専門的な知識、英語を中心とした語学力などの高いスキルが求められます。とはいえ、未経験の方がチャレンジできないわけではありません。正社員が難しければ、まずは派遣社員やアルバイトとして基礎的な業務知識を身につけた後にキャリアアップする働き方もありますよ。

まとめ

今回は、貿易事務の仕事内容、必要な能力などについて解説しました。

貿易事務は、通関手配や貿易書類作成、輸送手配などの貿易に関する業務を行う事務職です。商社・メーカー、国際物流会社、倉庫会社などで貿易事務は雇われています。

また、他の事務職と比べると専門性が高く、貿易の専門的な知識、英語を中心とした語学力などのスキルが求められます。そのため、事前に貿易知識を身につけたり語学系の資格を取得したりすることで、採用確率が高まるでしょう。

今回紹介した内容を参考に、貿易事務の仕事にぜひチャレンジしてみてください。