どの部署であれ、仕事上重要な書類を手にする機会は毎日のようにありますよね。社内外のさまざまな情報が載っているため、取り扱いには細心の注意が必要です。
しかし、そんな書類を紛失してしまった方も、中にはいらっしゃるでしょう。会社にとって大きな損害につながりかねないため、早急に対策を講じなければなりません。
そこで本記事では、書類紛失時の対応方法や探し方、防止策などを解説します。
目次
書類を紛失した・紛失しかけた経験のある会社員の割合は30%
文書の保管・破棄を行う日本パープル社の調査によると、書類を紛失した・または紛失しかけたことのある会社員は221人中69人。全体の31.2%が「ある」と答えました*。
書類紛失は情報漏洩のような重大なアクシデントにつながる恐れがありますし、そうでなくとも会社の信頼低下などは十分に起こり得ます。上記の結果は、これらの危機に瀕するケースの多さを示しており、多くの会社において書類の取り扱いは危険な状態にあるといえるでしょう。
*:株式会社日本パープル/重要書類を紛失したことがあるサラリーマンは○%!?その原因や問題となる管理方法を聞いてみた
書類紛失でよくあるケース
一口に書類紛失といっても、そのパターンは複数あります。オフィス内での紛失とオフィス外での紛失、それぞれの主なケースを見ていきましょう。
オフィス内 |
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オフィス外 |
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いずれも不注意によるものであり、予防は十分に可能です。とはいえ、予防していても起こるときには起こるもの。実際に紛失してしまった場合どうすべきか、次項から考えていきましょう。
*第三者による窃盗もあり得ますが、今回の趣旨から少し外れるので省きます。
書類を紛失してしまったときにとるべき対応
ここからは、書類を紛失してしまったときにとるべき対応を、順を追って解説していきます。
①上司へ紛失の事実を報告する
まずは一刻も早く、紛失したことを上司へ報告しましょう。
気まずいですし、怒られそうで気が引けるのはわかりますが、部署の責任者とともに対策を講じなければ被害が拡大しかねません。解決に向けた行動を起こす前に、紛失の旨を素直に伝えることが大切です。
②紛失の事実関係を洗い出す
次に、紛失の事実関係を洗い出します。
- いつ
- どこで
- どのように
この3点について、可能性があるケースを片っ端からリストアップしましょう。場所は特に重要です。これがわかると回収できる可能性が高まります。
同時に、
- 紛失が発覚したきっかけ
- 紛失による具体的な影響
この2点も明らかにしましょう。内容によっては関係各所への謝罪以外にも、サービスの停止や損害への補填が必要になるかもしれません。
③書類がありそうな場所を探す
次に、先ほどリストアップした場所を一つひとつ回って書類を探します。あらゆる可能性を考えて「そこにはないだろう」といった所まで行くのが重要です。
一人だと時間がかかりすぎるのなら、周りに協力を仰ぐのも良いでしょう。ここで躊躇しても事態は好転しません。素直にお願いして、皆で探しましょう。
④バックアップのデータがないか確認する
探して見つからなかった場合、書類のバックアップデータがないか確認します。データがあれば再度作成し、それを使いましょう。
バックアップもないのであれば、その書類は完全に紛失したものとみなします。
⑤関係者へ謝罪する
書類の関係者や、紛失により影響が出た人への謝罪も欠かせません。
事実関係と再発防止策、そして今後同じ事態を起こさない旨をまとめ、謝罪とともに伝えるようにしましょう。
⑥再発防止策を取りまとめる
⑤と前後しますが、紛失を今後起こさないようにするための、再発防止策も取りまとめなければなりません。紛失の原因に対してどういう対策を講じるのかを具体化しましょう。
これは信頼回復への第一歩でもあります。当然、防止策の遵守は必須です。
個人情報を紛失したら個人情報保護委員会への報告が必要
紛失した書類に個人情報が含まれていた場合、紛失の旨を個人情報保護委員会へ報告しなければなりません。個人情報保護法で定められた義務であり、報告期限は紛失の発覚から30日以内です。
自社の紛失案件が報告すべきものか等の確認は、以下の委員会公式サイトにて確認できます。
【個人情報保護委員会HP】
書類紛失の防止策
書類紛失を防止しようとなると、会社単位で取り組む必要があります。どんな方法があるか、例を解説します。
書類管理のルールを社内で統一する
従業員が個人の基準で書類を取り扱うと、紛失のリスクが高まるばかりか、紛失時のリカバリーも難しくなります。よって、書類管理のルールを社内で統一しましょう。
<書類管理のルールの例>
①分類方法
②重要度
③保管場所
④保管期間
⑤保全や編集、廃棄の権限
⑥持ち出しの可否
etc.
書類の持ち出しを制限する
書類を紛失しやすくなるのは、それを社外へ持ち出したときです。したがって、書類持ち出しに制限をかけることも有効になります。
特に個人情報が含まれるものは、持ち出しを禁止するなどして厳しく扱いましょう。他には、直行直帰の場合のみ持ち出し可能な書類を設定するといった手もあります。
加えて、持ち出す書類にはパスワードを設けて部外者が開封できないようにしたり、紛失防止タグを付けて書類の居場所を追跡できるようにしたりすると、より万全な対策が可能になります。
書類のバックアップをとっておく
探しても見つからなかった際に最終手段として再作成できるよう、書類のバックアップもとっておきましょう。もちろん、作成者や保存場所といった、バックアップ作成についてのルール整備も必要です。
まとめ
今回は、書類紛失時の対応を解説しました。
紛失は重大なインシデントですが、これを完全にゼロにするのも難しいといえます。よって現実的には、発生の可能性をできる限りゼロへ近づけることと、万が一の発生後にリカバリーをスムーズに行うことが求められます。
ぜひ本記事を参考に、書類紛失の対応と防止策を検討してみてください。