「経費で落とせるものの範囲が分からない」
「今年から個人事業主になったから、経費計上できるものを知りたい」
このようにお悩みではありませんか?
経費計上は、個人事業主や経営者にとって節税のために不可欠です。しかし、何を計上できるのかイマイチ分かっていない方も多いはず。
そこで本記事では、経費で落とせるものの概要・具体例を紹介します。家事按分や減価償却についても解説するので、参考にしてください。
経費で落とせるもの一覧
経費で落とせるものの概要と具体例について、一覧表にまとめました。
勘定科目 | 概要 | 例 |
旅券交通費 | 仕事のなかで発生する移動や宿泊にかかる費用 | タクシー代、電車代、宿代、駐車場代など |
出張費 | 出張時に発生する費用。どこまでを経費として認めるかは、会社の規則に準ずる | 新幹線、飛行機代などの交通費や宿泊費、社員の慰労のための出張日当など |
接待交際費 | 取引先など、企業と関係のある人物に対して、接待・謝礼をする際にかかる費用 | 取引先との会食代、取引先に送るお中元の費用など |
会議費 | 会議を実施するための費用 | 会議のための場所代、印刷代、機材代など |
通信費 | 業務で使用する電話や郵便などの通信にかかる費用。ただし、個人事業主の場合は、スマホをプライベートと業務で併用するため、家事按分により一部のみを経費として計上する | 業務で使用するインターネット料金、電話代、郵便料金など |
水道光熱費 | 仕事中に使用した水道光熱費。ただし、自宅で仕事をしている場合、家事按分により一部のみを経費として計上できる | 水道代、電気代、ガス代など |
地代家賃 | 仕事をしている建物と土地の賃料。ただし、自宅を事務所としている場合、家事按分により一部のみを経費として計上できる | 家賃、管理費、共益費、礼金、敷金、駐車場代など |
消耗品費 | 業務上必要な備品のなかでも、比較的安価で、短期間で使い切れるものにかかる費用 | トイレットペーパー、名刺、文房具など |
新聞図書費 | 事業に関する知識や情報を集めるための図書にかかる費用。ただし、経営ノウハウ本など、業務と直接関連のない本は計上されない | 書籍、雑誌、新聞、電子書籍、メールマガジンなど |
車両運搬具 | 業務で使用する車両にかかる費用 | 業務で使用する自動車、オートバイ、トラック、バス、台車、電車車両など |
広告宣伝費 | 商品・サービスを宣伝する際に発生する費用 | ホームページの作成費用、広告掲載費用、チラシ作成費用など |
仕入 | 仕入れにかかった費用 | 原材料、商品製造に必要な機会にかかる費用など |
荷造運賃 | 商品の発送にかかる費用 | 段ボール箱、ガムテープ、ひもなどにかかる荷造費。宅配便、ゆうパック、航空費などにかかる運賃 |
給与 | 従業員に支払う給与 | 基本給、賞与、各種手当など |
福利厚生費 | 従業員のために使用される費用 | 社員旅行、社宅費用、忘年会費用、健康診断費用など |
法定福利費 | 事業主が負担する保険料 | 健康保険料、社会保険料、雇用保険、労災保険など |
保険料 | 事業に必要な保険にかかる費用 | 自動車保険料、火災保険料、地震保険料など |
リース料 | 業務上必要でリースしているものに対してかかる費用 | 機械、車、エアコン、防犯カメラなど |
外注費 | 外部に依頼してかかった費用 | 外部業者に依頼したデザイン費、システム開発費など |
租税公課 | 税金の支払にかかった費用 | 消費税、個人事業税、固定資産税、事業で使用する車にかかる自動車税など |
減価償却費 | 購入した固定資産の価値の低下を事前に予測し、会計期ごとに分けて計上する費用のこと | 車両、建物、ソフトウェアなど |
支払手数料 | 事業のなかで発生する手数料や報酬などの支払にかかる費用 | 振込手数料、報酬・相談料、仲介手数料、解約手数料など |
支払利息 | 借入金の返済時に支払う利息にかかる費用のこと。例えば、借入金の10,000円は計上できないが、利息である1,000円は経費として計上できる | 借入金の返済時に発生する利息 |
修繕費 | 事業に必要な固定資産の修繕にかかる費用 | 機器のメンテナンス費用、排水管の修繕、外壁の塗り替えなど |
諸会費 | 業務に関連する団体への会費にかかる費用 | 業務に関連のある組合や法人会、商工会議所などに支払った会費 |
寄付金 | 国又は地方公共団体に対する寄付金、指定寄附金は全額経費として計上できる。一方、特定公益増進法人等に対する寄附金・一般の寄附金には限度額があり、限度額を超えると計上できない | 国や地方の公共団体に対する寄付金、通常の寄付金よりも公益性があると政府が判断した「赤い羽根募金」「日本赤十字社」など |
雑費 | 当てはまる勘定科目がない経費は、雑費に計上される | 引っ越し代、ゴミ処理代、キャンセル費用、クリーニング代など |
企業と個人事業主で扱いが異なる費用もある
経費で落とせる費用は、企業と個人事業主で異なります。企業なら経費で落とせても、個人事業主は落とせないというケースが多いのです。
個人事業主が計上できる経費には以下のものがあります。
- 広告宣伝費
- 仕入れ
- 消耗品費
- 旅費交通費
- 水道光熱費
- 通信費 など
一方、個人事業主が計上できない経費は以下の通りです。
- 住民税
- 所得税
- 住宅ローン
- 出張手当
- 健康保険料
- 国民年金
- 福利厚生費(従業員がいない場合)
上記から分かる通り、事業主自身に必要な税金や保険料などは経費になりません。また、福利厚生費、健康診断費用も計上できません。他にも、住宅ローンや借入金なども対象外なので注意してください。
家事按分と減価償却も理解しておこう
経費の計上に関して、「家事按分」「減価償却」という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。ここでは、2つの意味について詳しく解説します。
家事按分とは
家事按分とは、事業にかかった経費とプライベートにかかる経費を分けて考える方法です。例えば、自宅で仕事をするフリーランスの家賃や電気代などは家事按分の対象になります。
按分比率は明確に定められておらず、個人事業主自身で決められます。
例えば、家賃の場合は仕事で使う部屋の㎡数分、パソコンなどに必要な電気料金は作業時間分、スマホなどの通信費は事業用で使う分を経費として計上できるのです。
このように、業務で使ったと説明できる分は経費として計上できます。
減価償却とは
減価償却とは、購入した固定資産の価値の低下を事前に予測し、会計期ごとに分けて経費として計上する考え方のことです。
減価償却費には「定額法」と「定率法」の2つの計算方法があります。
定額法とは、法律で規定された耐用年数で固定資産額を分割し、耐用年数内で一定の額を計上する方法です。
一方、定率法とは、計上していない償却残高に、耐用年数によって法律で決められた一定の割合をかけた額を計上する方法です。かける割合は一定なので、初年度が最も高く、残高が減るにつれ、減価償却費は小さくなっていきます。
経費で落とすには領収書かレシートが必要!
経費計上をするためには、証拠となる領収書やレシートが必要です。費用を払った際のレシートや領収書は、捨てずに保管しておきましょう。
また、Web上で支払った場合は、クレジットカードの売上票を証憑とすることで経費として落とせます。
※証憑とは?
取引が成立したことを立証するための書類のこと
まとめ
本記事では、経費で落とせるものの概要・具体例を紹介しました。多くのものが経費計上できますが、企業と個人事業主で扱いが異なる費用もあるので注意が必要です。
本記事を参考に、経費を的確に計上し節税対策を行いましょう。