社内広報とは?目的や重要性、仕事内容、取り組み事例などを解説

企業が自社の社員へ向けて広報活動を行う「社内広報」。

企業のあらゆる情報を効率よく社員と共有し、組織を強化できることから、近年、その重要性が改めて見直されています。

しかし社内広報と一口にいっても、目的や仕事内容が曖昧でよくわからない方もいるでしょう。

そこで本記事では、社内広報の重要性や仕事内容を取り組み事例とともに解説していきます。

社内広報とは?

社内広報とは、文字通り社内向けの広報活動を指します。経営方針や企業理念をはじめ、企業や事業部の最新情報や経営者のメッセージなど、さまざまな情報を社員へ共有する活動です。

組織は大きくなればなるほど情報共有が難しくなり、企業と社員の信頼関係が薄れがちです。組織全体に情報を効率よく届け、信頼関係を構築するために社内広報が活用されています。企業と社員が情報を共有するためのコミュニケーションツールとして、大切な役割を担っているのです。

最近は紙媒体だけではなく、動画やオンライン、ラジオなど、ユニークな方法を導入する企業も増加。社内広報の手法も変化しています。

社内広報の目的・重要性

社内広報は企業によって異なりますが、主に以下のようなことが挙げられます。

  • 企業理念や経営理念、経営方針の理解浸透
  • 社内風土や企業文化を育成し連帯感を醸成
  • 企業価値観の共有
  • 社内コミュニケーションの強化
  • 社内の動きや業界の動向など自社の状況把握
  • 社員のモチベーション向上
  • 社員家族の企業理解
  • 部署や場所を超えた従業員の相互理解

社内広報の大きな目的は、企業理念や経営方針を社員に浸透させることです。終身雇用が崩壊し転職が当たり前となった今、会社に対してのロイヤリティは低下しています。

そこで、社内風土や企業価値観を共有することで、社員のベクトルを合わせ、組織の団結力を強くするための施策として、社内広報の重要性が見直されているのです。

社内報で社員を取り上げたり表彰したりすることで、モチベーションアップになりますし、社内での話題づくりに最適です。社員同士の会話が広がり、コミュニケーション不足を解消する狙いもあります。

このように社内広報による情報共有は、社員の足並みを揃え部署間で連携が起こるなど、さまざまな効力を発揮します。

社内広報の仕事内容

社内広報の仕事は、多岐にわたります。最近ではSNSなどのツールを活用することも多くなり、活動範囲はますます広がりつつあります。

ここからは、社内広報の仕事内容についてみていきましょう。

社内報の作成

まずメインの仕事は、社内報の作成です。
社内報とは、社内の情報を集めた新聞・雑誌のようなものです。手にとって見やすいため、世代を超えて人気があります。

しかし制作に手間と費用がかかりますので、最近は速報性の高いPDFや社内専用の掲示板など、社内メディアを利用する企業も増加しています。

社内メディアの運用

先述したように最近はWebやアプリを活用した社内メディアを、社内報の代わりとする企業も増えています。

デジタル媒体は紙媒体よりデザインの自由度が高く、動画なども気軽に掲載可能です。制作時間や労力、印刷費用がかからず、更新も配信もスピーディーに行えます。

パソコンやスマホで読んでもらえることから、リモートワーク中心の現場でも重宝します。

社内向けメルマガの配信

社内情報やニュースをメールマガジンで配信する企業も少なくありません。メールマガジンなら、導入コストが低く、すぐにでも実施可能です。

社員専用メディアがあっても、忙しさからアクセスする社員が少なく、共有されるべき情報が共有できていないなどの問題が生じます。しかし、メールマガジンなら社員に直接届きますから、情報共有の手段として効果的です。

開封率なども計測できるため、社内広報活動の改善にも役立ちます。

社内SNSの運用

続いて、社内SNSの運用も社内広報の業務のひとつです。

社員だけが見られるSNSですから、社員同士のコミュニケーションの場としても効果的です。「いいね」や「シェア」機能を搭載し、社員同士が活発に意見交換できる場として、活用している企業も少なくありません。

社内イベントの企画・運営

社内イベントの企画や運営も、社内広報の業務に含まれます。

例えば、企業理念や経営方針の浸透を目的としたキックオフミーティングや社員アンケート、座談会といったさまざまなイベントの開催など。意見交換を通じて、社内の改善点や問題点を把握し、制度の改革や働きやすい環境づくりの改善を提案するなどもいいでしょう。

ちなみに会計クラウドソフトサービスを提供する「freee」では、経営メンバーがマスター(ママ)をつとめる「社内スナック」が人気です。

普段コミュニケーションを取る機会が少ない経営陣とフランクに話せる機会です。このようなユニークな企画を行う企業も増えています。

リサーチやアンケート、インタビュー

社内誌や社内向けメディアのコンテンツを作成するにあたって、リサーチやアンケート、インタビューも社内広報の仕事です。

例えば、社員をクローズアップする記事を作成したり、社内制度や社内報についてのアンケートを実施したりとその内容はさまざまです。

読者である社員の生の声を聞き、社内報に掲載しているコンテンツの見直しや企画に役立てます。

社内広報でよくある内容

社内広報に載せる内容は多岐にわたります。ここからは、社内広報でよくある内容を解説していきます。

企業理念やビジョン

前述したとおり、社内広報の目的のひとつは、企業理念や経営方針を社員に浸透させることです。そのため経営者が企業理念や今後のビジョンについて語るようなコンテンツを掲載するのは、よくある内容です。

企業理念はただ掲げるだけでは意味がありません。その言葉にどのような思いやビジョンが詰まっているのか、企業のトップが語ることで、より一層理解を深められます。

自社の現状に関するデータ

次に自社の現場に関するデータを掲載するのも、自社の状況把握に効果的です。

業界内での活躍や動き、ライバル企業や業界の動向を伝えることで、自社が今どのような状況に置かれているのか理解できます。

異動や社内制度の情報

社内広報では、社員の異動や社内制度の情報なども紹介します。社内の福利厚生や休暇制度をどのように活用しているのか、社員の声も入れるとリアリティがあり効果的です。

また人事異動の情報や新入社員の紹介なども、コンテンツとしてよく掲載される内容です。

社内イベント

社内で行われたイベントレポートも、社内報の定番コンテンツです。

イベント中のスナップ写真や動画を配信することで、参加できなかった社員もどのような雰囲気だったか知ることができます。また、「次回は参加してみようかな」など、イベント参加率を向上させるためにも効果的です。

競合や業界全体の動向

競合や業界全体の動向も、自社を把握する上で重要な情報です。

業界内で自社がどの位置にいるのか、どのような状況なのか理解しやすくなります。特に顧客や売上に直接関わらないバックオフィス業務の社員は、業界内での自社の動向が把握しづらい立場です。

社内報で情報共有できれば、ただ目の前の仕事をこなすだけではなく、業界を意識した違う目線で仕事に取り組めるでしょう。

メディア掲載

自社がメディアに掲載された内容も広報すべき情報です。

自分の会社がメディアにどのように取り上げられているのか、どのような活動が注目されているのか、社員が理解しやすくなります。

また、知っている媒体に自社がピックアップされると、誇らしく感じる社員もいるでしょう。このような活動は、企業に対する社員の意識改革と働くモチベーションの向上、離職率の低下に効果的です。

社内広報の取り組み事例3選

社内広報に力を入れている企業は、どのような取り組みをしているのでしょうか。本項で代表的な事例を3社紹介します。

株式会社ニトリホールディングス

「お値段以上ニトリ」でお馴染み株式会社ニトリホールディングスは、1967年に創業し、今年で創業55年目。1979年にはじまった社内報は40年以上の歴史を持ちます。

社内報がスタートしたのはニトリの従業員数がまだ100名に満たない頃。現在従業員数は5,500名を超えますが、創刊から1度も休むことなく社内報を発行し続けています。

ニトリの社内報は、現在20ページで構成され、その制作のほとんどを自社で担っています。しかも担当するのは広報ではなく人事部がメイン。ニトリの方向性やトップの思いを共有するだけではなく、ニトリでの働き方や企業文化を正しく理解してもらうためにニトリの組織や仕組み、商品やサービスを社内広報で紹介しています。

参照:40年以上の歴史があるニトリの社内報─社内報制作も自前主義!従業員のキャリアを本気で応援 | ニトリン

株式会社クレオフーガ

ストックミュージックサービス「Audiostock」や音楽コンテストサービス「CREOFUGA」を運営する株式会社クレオフーガは、社内広報活動のひとつとして社内ラジオを実践しています。

クレオフーガは東京と岡山の2拠点で活動していますが、拠点間のコミュニケーション不足が課題となっていました。そこで、2018年その解決策として取り組み出したのが社内ラジオです。

放送時間は5分〜10分の短いもので、東京と岡山の情報差を埋めるため、主に東京オフィスの様子を伝える内容を放送しています。「社長の脳内が知りたい」という、社員の要望を実現することも目的です。

ラジオを通して社長の考えを伝える他にも、社内のコミュニケーション不足解消に役立っています。

参照:クレオフーガが実践する「社内ラジオ」社内コミュニケーションが活性したそのノウハウとは? | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

株式会社マクロミル

株式会社マクロミルの社内報「ミルコミ」は、ウィズワークス株式会社主催「社内報アワード2019」社内報部門(紙)において「ゴールド賞」を受賞。Web社内報部門・動画社内報部門にて「ブロンズ賞」を受賞するなど合計6つの賞を受賞しています。

企画・取材・撮影から編集・デザインまで全て自社で内製。月平均20万PVを誇るWeb社内報では、関連ニュースや社内状況などをタイムリーに発信しています。毎日複数回情報を更新するため、社員に1日何度もアクセスされています。

参照:社内報アワード2019、マクロミルの「ミルコミ」がグランプリ受賞 紙、Web、動画の3部門で受賞した唯一の企業に

  • まとめ:社内広報を活用して組織内の関係を強化しよう

  • 社内広報は、自社の企業理念や経営方針を伝える上で有効な方法です。他にも社内コミュニケーションの強化や企業価値観の共有など、さまざま効果を期待できます。リモートワークや部署間の伝達がうまくいかず、社内にコミュニケーション不足や情報共有の差が生じている企業は、社内広報を今一度見直し、組織内の関係を強化することが大切です。

    社内報は紙媒体だけではなく、社内専用Webメディアやメールマガジン、SNSなど、自社の社員に情報が届きやすいものを活用しましょう。