「請求書を紛失したので再発行してほしい」
「先方から請求書の再発行を依頼されたけど、どのように対応すべき?」
請求書の再発行を「単に書類を印刷し直して送付すればいい」と安易に考えると、二重請求などのトラブルが生じる恐れがあります。どのような理由であれ、適切に対応しなければなりません。
そこで本記事では、請求書を再発行するルールや問題点、注意点などを解説していきます。
目次
請求書の再発行は「できる」ケースが多い
請求書の再発行は可能です。請求書は、取引内容や契約を取り交わした金額、振込先などを記載し、期日までに支払いを求める書面です。
口頭だけでは言った言わないのトラブルに発展するため、取引では必ず請求書が発行されます。紛失した場合は、再発行が必要です。
請求書の再発行が必要になるケースで多い理由は、下記のようなものです。
相手が紛失してしまった
請求書に誤りがある
請求に応じず支払われない
プリントアウトした書類の紛失は、たびたび生じます。特に、請求書の数が膨大な大企業や人手が足りない中小企業では、紛失リスクが高いです。
また、請求書に誤りがある場合も再発行が必要です。誤りがあるまま支払いが行われると、取引先に迷惑をかけますし、信用問題に発展することもあるでしょう。
誤った金額のまま支払いまで行われると、後の経理処理も複雑になります。内容に誤りがある場合は、早急に修正し再発行しなければなりません。
さらに、発行した請求書の期日に支払いが行われない場合や請求に応じないケースでも、支払期日を新たに設定して再発行します。
請求書の再発行を依頼する際の注意点
もし、あなたが請求書の再発行を依頼する側なら、下記の点に注意しましょう。
再発行が可能か先方に確認する
まずは取引先に、請求書の再発行が、可能かどうか確認しましょう。「再発行してください」と伝えるより「再発行可能でしょうか?」とお伺いを立てる方が丁寧な印象を持たれます。
再発行は、取引先にも手間や迷惑がかかるため、紛失がわかったら早急に連絡すべきです。支払期日の前日や月末は、経理処理が忙しくなる時期なので配慮しなければなりません。
また、依頼する際は、メールなどで一方的に連絡するのではなく、電話のほうが丁寧です。
再発行を依頼する理由は明確にする
請求書を紛失した場合、取引先にその事実を伝えづらいものです。しかし、誤魔化したり理由を告げなかったりすると、いい加減な印象や不信感を持たれてしまいます。紛失した理由によって対応が変わることもあるため、正直に伝え謝罪するのが礼儀です。
今後の取引にも支障をきたしますので、理由は明確に伝えましょう。
先方に原因があっても丁重に
取引先の誤りで再発行してもらう場合、ミスを感情的に指摘するのは避けたいものです。もしかすると、相手のミスではなく自社のミスで発生したことかもしれません。
先方のミスだとしても、攻めるような印象を与えないよう丁寧にわかりやすく伝えることが大切です。
請求書を再発行する際の対応方法は理由によって異なる
請求書の再発行は、請求する理由により対応方法が異なります。ケースごとに解説するので、自社が請求書を再発行する側の場合は参考にしてください。
①受領側の都合
まず、受領側の都合で再発行が必要となったケースから解説します。
①ー1:紛失
取引相手が請求書を紛失した場合、発行した側は再発行する請求書の情報を先方から聞き出し、自社のデータと照らし合わせましょう。自社には保存した控えデータが残っているはずです。
控えデータが見つかったら、再発行して相手側に送付します。この際、先に発行した請求書が出てきた場合は、破棄をお願いする旨の挨拶文をつけておくと安心です。
また、紛失した請求書が見つかり二重請求とならないよう、再発行した請求書には「再発行」スタンプを押しましょう。
①ー2:記載内容の変更
受領側の都合で記載内容の変更がある際は、変更していい内容かどうか、自社の規定を確認しましょう。担当者だけで判断するのは避け、上司や経理部門などに確認することが大切です。
問題なければ、記載内容を変更します。この際も再発行スタンプを押しておきましょう。
②発行側の都合
発行側(自社)のミスや都合により再発行が必要な場合は、必ず上司に報告しましょう。請求金額が大きいほど重大なトラブルに発展しやすいため、担当者が一人で解決できるものではありません。
請求書を正しい内容に訂正後、上司や他の担当者との間でダブルチェックを行い、同じミスを繰り返さないよう意識しましょう。
また、ミスがあったことを心から謝罪し、今後の対応策なども伝え信頼を回復するよう努力しなければなりません。再発行した請求書を送付する際には、お詫びの挨拶状も添付しましょう。
請求書の再発行に関するルールや問題点
ここでは、請求書の再発行に関するルールや問題点も解説します。
日付
請求書の再発行では、日付に注意しましょう。基本的には最初に発行した請求書の日付のまま再発行すれば、問題ありません。
再発行したことを表す「再発行スタンプ」を押していたとしても、日付の変更はしなくていいというのが通例です。
ただし、取引先によっては再発行した日の日付に変更するよう求められることがあります。念の為再発行前に日付の取り扱いをどうするか、先方に確認しましょう。
二重請求
請求書の再発行でもっとも注意すべき点が「二重請求」です。例えば、請求書を紛失して再発行後、前の請求書が見つかった場合、二重請求になることがあります。
また、ミスなどで請求書の内容を変更して再発行した場合、どちらの請求書が正しいのかわからなくなってしまうことも。もしも二重振込となった場合、トラブルに発展する恐れもあります。
そこで、上述したように再発行した請求書には「再発行」のスタンプを押し、二重請求でないことを示しましょう。
支払期日を過ぎている場合
支払期日を過ぎた請求書の再発行は、最初に発行した請求書の支払期限を記載します。
もし延滞利息に関する契約を交わしている場合は、支払期日を変更することもありますが、基本的には元々の支払期日で対応しましょう。
支払期日を延長する場合は、請求書に同封する挨拶状にその旨を記しましょう。認識の違いを防ぐため、送付と同時に担当者へ電話することが望ましいです。
支払期日を過ぎて期日を変更する場合は、2週間〜1ヶ月後くらいで再設定します。
業務のシステム化で請求書管理をスムーズに!
請求書の紛失を防ぎ、再発行手続きをスムーズに行うには、請求書の発行側・受領側は、どちらも業務のシステム化がおすすめです。
まず発行側は、これまで紙で発行していた請求書を電子化すれば、メールへの添付でやりとりができます。
また再発行の際もメールならタイムラグが少なく、請求書のを印刷から、捺印、封筒に入れて送付する工程までを全てカットできます。手間を省き、郵送の時間を短縮できるでしょう。
受領側は請求書を万が一紛失しても、メールにデータが残っているため、再発行依頼をする必要がなく自社で解決できます。
さらに、電子データなら検索をすれば該当の請求書が見つかるので、紙ベースの請求書を探し出すよりも容易です。
このように業務のシステム化は、請求書を発行する自社はもちろん、請求書を受領する側にもメリットがあるでしょう。
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まとめ
請求書には、所得税法や法人税法、消費税法における保存義務があります。そのため、口頭で振込先を聞いて支払えばいいというものではなく、請求書の発行が必要です。取引先のミスで紛失した場合でも、速やかに再発行して取引をスムーズに進めましょう。
また、自社のミスで請求書の再発行が必要になった場合は、取引先へ謝罪し、直接請求書を渡すなど誠意ある対応が必要です。
紙ベースでの請求書は、どうしても紛失リスクが高いため、電子化して請求書の管理をスムーズにすることも検討するといいでしょう。