商品やサービスの代金を確実に支払ったこと、売上や経費が発生したことなどを証明する書類が領収書。
取引の真実性を担保する信憑書類の一つであり、法律で7年間の保存が義務付けられています。
一方、何らかの理由で領収書を紛失したり破損したりする方もいらっしゃるでしょう。その場合、再発行してもらえるのでしょうか?
本記事では上記のほか、領収書の再発行を依頼された際の対応方法などを解説します。
領収書の再発行は義務付けられていない
民法486条により、依頼された領収書の発行義務そのものはありますが、それは初回のみ。紛失や破損といった理由での再発行については義務付けられていません。
再発行するかどうかは発行者の裁量次第なのですが、実際のところ、断る/断られるケースがほとんどです。主な理由は次の3つ。
- 義務でない上に手間がかかる
- 二重発行による経費の不正計上のリスクがある
- 再発行にも収入印紙が必要である
ただし、内容に不備があるケースでは書類自体に問題があるため、速やかに再発行しなければなりません。
領収書の再発行を断られた際の対応方法
領収書の再発行が難しいのは上述の通りですが、再発行を断られた場合どうすればよいのでしょうか。基本的には、次のような代替の書類を使うことになります。
支払証明書
領収書の再発行に対応していない事業者であっても、支払証明書の発行はできるケースがあります。
日付・金額・取引内容・支払先、領収書の代替である旨が記載されており、信憑書類としてもきちんと使用できます。ただし、ほとんどの場合で手数料が発生するでしょう。
銀行口座やクレジットカードの支払情報
銀行口座やクレジットカードの支払情報も、領収書の代替になります。第三者による公式な記録なので、税務調査にも対応可能です。
出金伝票
上記2つと異なり、出金伝票は自分で作成するため、書類としての信用性は大幅に下がります。関係先へ税務署が事実確認をすることもあるため、いずれにしても紛失の旨は先方へ伝えましょう。
<出金伝票に記載する項目>
- 日付
- 金額
- 取引内容
- 支払先
領収書の再発行を依頼された際の対応方法
次に、再発行を依頼された際の対応方法を解説します。
基本方針は「再発行しない」
そもそも再発行は義務ではありません。二重発行による不正計上に巻き込まれるリスクまであることから、破損や紛失を理由とした領収書の再発行はしない方が賢明です。領収書にもその旨を記載しておくようにしましょう。
支払証明書で代替する
もし、再発行の依頼や相談があったら、支払証明書での代替を提案しましょう。前述の通り、取引の証明としての役割を十分に果たせます。
どうしても再発行が必要な場合
とはいえ、取引先との関係性によっては再発行に応じざるを得ないケースもあるでしょう。その場合、以下の点に注意してください。
1:再発行である旨を領収書へ明確に記載する
不正利用を避けたり、後から元の領収書が見つかった際の混乱を避けたりするために、再発行した領収書には「再発行である旨」を明確に記載しましょう。赤色のスタンプのような、目立つものが最適です。
2:再発行に関する情報を記録しておく
トラブル発生時や税務調査の際にスムーズに対応できるよう、取引先の情報・依頼を受けた日付・理由などの情報を記録しておきましょう。
3:元の領収書は回収する
元の領収書は回収し、再発行に関する情報を記載の上保管しましょう。回収のタイミングは、破損だった場合はすぐに、紛失だった場合は見つかり次第です。
電子化で領収書の紛失や再発行をゼロにしよう
領収書の破損や紛失は、電子化によって防ぐことができます。
最初から電子データで作ったものはもちろん、スマホで撮影した紙の領収書のデータも信憑書類として認められるようになりました。
電子化した場合、収入印紙が不要、保管スペースを省ける、経理ソフト等と連携しやすくなるといったメリットがあり、導入する企業が年々増加しています。
ただし、電子化に際しては要件が定められているため、国税庁のサイトで情報の確認が必要です。
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まとめ
今回は領収書の再発行について、依頼する場合と依頼された場合に分けて解説しました。
繰り返しになりますが、領収書は再発行されないものとして考えましょう。そして、支払証明書などの代替手段で対応するのが基本です。
破損や紛失をしないに越したことはありません。もし領収書の再発行が必要になった場合、本記事を参考に対応していただけますと幸いです。
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