社員の採用・育成や人事評価など、経営部門と従業員をつなぐ業務を行う人事。会社全体の運営を支えており、人材を活かすも殺すも人事の仕事次第といえるでしょう。
だからこそ、自社だけでは解決できない問題に悩まされている経営者・担当者の方は少なくないはず。そこで頼りになるのがコンサルタント。人事の専門家が、第三者目線で解決へ向けて導いてくれます。
本記事では人事のコンサルティングについて、依頼できる仕事やメリット・デメリット、業者の見極め方のほか、おすすめ業者などを紹介します。
目次
人事のコンサルティング│仕事内容の例
人事コンサルの対象は多岐にわたります。例えば……
・人事制度の設計
・人事戦略の立案〜実行
・報酬体系設計
・評価システムの構築
・研修プログラムの構築
・タレントマネジメント
・サクセッションマネジメント
・リテンションマネジメント
・次世代の幹部育成
・採用戦略の立案〜実行
・組織診断
・人事ITシステムの導入
etc.
実際にはまだまだありますが、クライアントが抱える上記のような課題を解決に導きます。コア業務にガッツリ関わったり、ノンコア業務の効率化を図ったりと、人事全般が領域になるのです。
人事のコンサルティング会社に依頼するメリット
人事のコンサルティングを導入するメリットは以下の3つ。
自社の人事について客観視できる
1つめは自社の人事について客観視できること。
外部の専門家であるコンサルタントが、自社の状況を公平に可視化してくれます。これにより、主観では見えてこなかった問題点が浮き彫りになるでしょう。
専門家の知見を取り入れられる
2つめは専門家の知見を取り入れられること。
餅は餅屋というように、その道のプロを頼るのは、課題解決に向けた最も確実で手取り早い方法です。
周囲を説得しやすくなる
3つめは周囲を説得しやすくなること。
外部の専門家という権威により、提案に箔が付きます。社内の人間が言っても通らなかったのに、コンサルタントが言ったらアッサリ通った……あるあるですね。良くも悪くも、コンサルタントの意見は反対派を賛成に回らせやすいのです。
人事のコンサルティング会社に依頼するデメリット
次にデメリットもお伝えします。メリットと天秤にかけ、どちらのウエイトが重くなるかを判断しましょう。
相応の費用がかかる
コンサルティングを受けるには、当然ながら相応の費用がかかります。今ある問題に当たっている最中に新しい問題が発生し、追加料金が必要になることも。
費用の回収性を考えたうえで依頼先を選定するのが大切です。
施策が自社にハマらない可能性がある
コンサルタントの提案した施策は、必ずしも自社に合うとは限りません。100%成功なんてものはないのです。
ただし、事前準備をしっかりすればリスクを抑えられます。次章では、最も重要なのパートナー選びについての注意点をみていきましょう。
失敗しない人事コンサルティング会社の見極め方
高い費用を払ったけど期待した効果が出ない……なんて事態は避けたいところ。人事のコンサルティング会社の選定は慎重に行いましょう。以下に見極め方を紹介します。
①コンサルタントの実績は確かか
まずはコンサルタントの実績を見ること。どんな企業の、どんな課題を、どうやって、どんな成果をもって解決したのか?しっかり確認しましょう。
ただ、実績ばかりを強調する人は権威主義的で、それはそれで良くありません。
②ヒアリングは細部までしてくるか
ヒアリングに対して意識の低いコンサルタントは避けるべきです。
問題解決の第一歩は現状把握。これなくして問題やその背景を見つけることはできず、現状把握のために行うのがクライアントへのヒアリングです。
よって、ヒアリングが不十分なコンサルタントは信頼に値しないことになります。細部まで根掘り葉掘り聞いてくる人を選んでください。
③根拠を添えて説明してくれるか
コンサルタントの言葉に根拠があるかどうかも重要です。無根拠な施策では、自分自身はもちろん社内の人間も説得できません。
ただ、いざコンサルタントと対面すると、雰囲気やトークに流されるケースもあります。話が弾むのは大いに結構ですが、冷静さは保ち、提案にはエビデンスを求めるようにしましょう。
④「この人と一緒に頑張りたい」と思えるか
問題解決に向けては、自社とコンサルタント双方が協力し合わなければなりません。ですので、「この人と一緒に頑張りたい」と思える魅力的なコンサルタントを選びましょう。
ソリの合わない人と一緒にやるのはストレスになりますし、何より施策実行へのモチベーションが下がってしまいかねません。
人事コンサルティングのおすすめ企業一覧
ここからは、人事コンサルティングのおすすめ企業を3社紹介していきます。業者選定の参考にどうぞ。
パーソル総合研究所
「パーソル総合研究所」は、人事にまつわる調査・研究・コンサルティングを提供する、人材派遣大手のパーソルホールディングス傘下の企業です。戦略立案や制度設計、組織開発といったコアな部分へのソリューションに強みを持っています。
同社には、労働市場を調査研究し、機関誌「HITO」を発刊するなど自ら情報発信を行うシンクタンクの側面も。こうした活動や実務で得た豊富な知見を用い、クライアントの課題を解決します。
人事戦略研究所
「人事戦略研究所」は、中小企業から上場企業まで500社以上のコンサル実績を持っています。特に中堅・中小企業への支援が強み。さまざまな業種で培った経験とノウハウを元に、人事制度の構築と導入コンサルティングを実行。社内に定着させるところまで対応が可能です。
同社は書籍や経営雑誌でノウハウを公開しており、さらに金融機関や商工会議所などで講演会を行うなど積極的に活動しています。Webセミナーも開催していますので、まずは参加してみるのも良いですね。
日本能率協会コンサルティング
「日本能率協会コンサルティング」は、1942年に創業した日本初のコンサルティング会社。製造業を中心に支援を展開し、近現代の日本の発展を支えてきました。
実際の現場の状況を汲み取りながら、じっくりと施策を煮詰めていくのが同社の特徴。加えて、制度や戦略の運用〜定着に重きを置いており、中長期にわたってクライアントに寄り添うコンサルを行っています。
まとめ
今回は人事のコンサルティングについて、対象領域や依頼のメリット・デメリット、おすすめ業者などを紹介してきました。
最も重要な経営資源である「人」にまつわる人事の仕事は、事業の規模や社会の流れとともに求められるものが変わってきます。自社だけだと、この変化に対応するのは難しいです。
課題解決だけでなく、現状評価のために人事コンサルを導入するのも良いでしょう。自社に合ったコンサル会社を選ぶうえで、本記事が参考になれば幸いです。