アウトソーシングは、業務効率化、人材不足など企業の抱える課題を解決する手段のひとつです。
アウトソーシングを利用する上で知っておくべき情報や、契約の種類、アウトソーシング先の選び方をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
※この記事は、主にバックオフィス業務のアウトソーシングを検討している方向けのものになっています。
目次
アウトソーシングとは?
アウトソーシングとは、簡単に言うと「外注」のことです。
企業が自社で行っていた業務の一部、または全部を外部の業者に委託することを指します。英語の「outsource(アウトソース)」に由来する和製英語です。「外部委託」ともいいます。
近年、企業の経営効率化や人手不足解消を目的として、幅広い業種でアウトソーシングが導入されています。
以下のグラフから分かるように、環境・防犯関連、情報処理のような専門的なサービス、事務処理といったマニュアル化が可能な業務のアウトソーシングが進んでいるようです。
画像:「経済社会と働き方の変化等について/アウトソーシングの現状」(厚生労働省)より引用
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アウトソーシングと人材派遣との違い
アウトソーシングと人材派遣は、外部の力を活用するという点では共通しています。違いが良く分からないという方も多いでしょう。
しかし、違いが分からないまま人材派遣と同じ感覚でアウトソーシングを行うと、罰則を受ける恐れもあるので注意が必要です。
人材派遣は許可を受けた者でないと派遣業を行うことができないと、法律で定められています。
■アウトソーシングと人材派遣
アウトソーシング | 人材派遣 | |
契約形態 | 業務委託契約 | 労働者派遣契約 |
業務の指示者 | 指揮命令関係はない
※雇用契約ではないので、依頼元の企業から直接指示することはできない |
指揮命令関係あり
※派遣先企業の指揮命令に従う |
責任の範囲 | 準委任契約:業務を行う契約。最終的に結果や成果物に繋がらない場合もある。
請負契約:結果や成果物を納める。 |
派遣先企業:業務の遂行、結果、衛生管理について責任を負う。
派遣元:労働時間の管理、給与の支払いなど。 |
契約形態
アウトソーシングの場合、「業務委託契約」、人材派遣の場合は、派遣元企業と労働者派遣契約を締結します。
業務委託契約は準委任契約または請負契約に分かれますが、詳しくは後述します。
業務指示
業務の指示を誰が出すかという点も異なります。
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人材派遣:業務を依頼する企業が直接業務の指示を出す(指揮命令関係あり)。
アウトソーシング:依頼元の企業から作業者に直接指示を出すことはできない(指揮命令関係なし)。
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指揮命令関係の有無については、法律で明確に定められています。
アウトソーシング契約であるにもかかわらず、人材派遣と同じように依頼元の企業から直接指示を出すと「偽装請負」とみなされる恐れがあります。
アウトソーシングといいながら実質的には人材派遣を行っているとされれば、依頼元の企業、人材を供給した企業双方に罰則があります。
参考(外部サイト):あなたの使用者はだれですか?偽装請負ってナニ?(東京労務局)
責任の範囲
アウトソーシングの場合、委託先企業の責任の範囲は契約内容によって異なります。
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- 準委任契約:明確な最終成果物がない事務作業など、特定の業務を行ってもらう契約です。
受託者は、結果や成果物には責任を負いません。 - 請負契約:プログラムやデザインなど、成果物や結果への対価として報酬を支払います。
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人材派遣では、派遣先企業が、業務遂行、成果物の品質など、業務に関する責任を負います。派遣会社は、派遣社員の労働時間、給与支払いなどに関する責任を負います。
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アウトソーシングの種類
アウトソーシングが盛んになるにつれて、アウトソーシングする業務内容によって細かく分類されるようになりました。
特定の分野専門のアウトソーシング先を探す際には、この略語を使用すると探しやすいので参考にしてください。
■BPO(ビジネス プロセス アウトソーシング)
企業の業務プロセス全体、または一部を外部に委託することです。
例)コールセンター運営、会計処理、人事管理など
■RPO(リクルートメント プロセス アウトソーシング)
採用活動の全体、または一部を外部に委託することです。
例)求人広告の掲載、応募者選考、面接など
■KPO(ナレッジ プロセス アウトソーシング)
情報の分析を中心としたマニュアル化しにくい知的業務処理を、社外に委託することです。
例)企画、業務改革など
■ITO(インフォメーション テクノロジー アウトソーシング)
情報システムの運用・管理を外部に委託すること
例)サーバー管理、セキュリティ対策など
■SPO(セールス プロセス アウトソーシング)
営業活動の全体、または一部を外部に委託すること。
例)顧客への提案、受注、アフターフォローなど
■LPO(リーガル プロセス アウトソーシング)
法務事務を外部に委託すること。
弁護士に依頼する場合は「委任契約」を結ぶことになります。
アウトソーシングの契約形態
アウトソーシングの契約形態には、次の2種類があります。
- 準委任契約
- 請負契約
アウトソーシング先のサービスによって契約形態が決まっている場合がありますので、業者選びの際に確認が必要です。
準委任契約
準委任契約は、特定の業務を遂行することを目的とした契約です。
例えばオンラインアシスタント(オンライン秘書)の場合、メール確認や、スケジュール調整、資料作成など日々様々な業務の依頼を受けます。
オンラインアシスタントの場合、一つ一つの成果物作成を請け負うのではなく、事務作業などの業務遂行自体を目的とした準委任契約の方が適しています。
請負契約
請負契約は、結果や成果物を求める場合に適した契約です。
システム開発、ホームページ制作、製品の製造など、確実に成果物を納品してもらう必要がある場合には請負契約を結びます。
契約の違いについては以下の記事でも紹介しています。「委任契約」についても解説していますので、ぜひご覧ください。
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BPOサービスの契約形態
アウトソーシングのメリット
アウトソーシングには次のようなメリットがあります。
- コストを削減できる
- 人材不足を補える
- コア業務に集中でき業務効率がアップする
コストを削減できる
人件費は企業によっては、大きな割合を占めます。採用や教育にもコストがかかりますが、一度採用した人材が辞めずに勤め続けてくれる保証はもちろんありません。
アウトソーシングの場合、繫忙期と閑散期で依頼の量を変更できるため、企業によっては社員を雇うよりもコスト削減に繋がるでしょう。
人材不足を補える
ただでさえ人手不足が叫ばれ、求職者優位となっている近年、経理や労務など、経験やスキルが求められる業務を自社で人材を確保するのが難しいことも多いでしょう。
担当者が退職した場合、新たに採用・教育する必要もあります。ただでさえ人手不足の中で採用・教育に手が取られることになってしまいます。
その点、アウトソーシングでは業務を依頼すれば、業務を行うために必要な人材はアウトソーシング先が用意してくれます。人員の交代があったとしても、アウトソーシング先で引継ぎをしてくれるので負担がありません。
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コア業務に集中でき業務効率がアップする
例えば立ち上げ間もない会社の場合、ひとりが複数の役割を持っていることは珍しくありません。
経営者が経理、人事労務などバックオフィス業務を行っていたり、営業担当者が事務作業や商品在庫の管理を行っていたりする場合もあるでしょう。
しかし、経営者の本来の業務は経営戦略を立てるなどの経営に直結する業務であり、営業のコア業務は注文を取るための営業活動のはずです。
アウトソーシングを利用すればノンコア業務は外部に委託し、コア業務に専念することができます。
不慣れなノンコア業務を自分で行うよりも、アウトソーシングを利用した方がノンコア業務の効率もアップするはずです。
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スタートアップ企業にはアウトソーシングがおすすめ!外注できる業務やおすすめ業者なども紹介
アウトソーシングのデメリット
アウトソーシングにはデメリットもあります。
- 社内にノウハウが蓄積されない
- 必ずしも人件費削減ができるわけではない
- 準委任契約の場合 成果や結果を求めることができない
社内にノウハウが蓄積されない
業務を社外に任せるアウトソーシングの大きなデメリットは、社内にノウハウが蓄積されないことです。
社内でノウハウを継承していきたい根幹となる業務(自社サービスに関わる部分など)ではなく、バックオフィス業務などがアウトソーシングには向いていると言えます。
必ずしも人件費削減ができるわけではない
アウトソーシングのメリットとしてコスト削減を挙げましたが、アウトソーシング費用が必ずしも人件費よりも低くなるとは限りません。
アウトソーシングを惰性で利用し続けるのではなく、委託する業務のボリュームを適切に管理しましょう。
専門性の高い業務を受託するアウトソーシングサービスでは、費用が高くなる傾向にあります。
準委任契約の場合 成果や結果を求めることができない
アウトソーシングが準委任契約である場合、業務を実行することが依頼内容となるため結果や成果までたどり着くとは限りません。
例えば月20時間などの時間契約の場合、契約時間内で完了できなかった業務を完了まで続行して欲しいと思えば、追加の費用が必要となります。追加対応に応じてもらえるとも限りません。
進捗状況や使用時間の確認は随時行い、いつでも軌道修正できるようにしておいた方が良いでしょう。
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アウトソーシングで業務効率がアップする業務
業務効率をアップさせるためにアウトソーシングを利用するなら、バックオフィス業務を外部委託することをおすすめします。
業務を内製すべきかどうか判断基準を知りたい方はこちらをご覧ください。
その業務、外注と内製どっちにすべき?メリット・デメリットを踏まえて解説!!
総務・人事労務
一口に総務と言っても、備品購入、入退社手続き、給与計算などその業務内容は多岐にわたります。
総務スタッフの業務量が多く、残業が常態化している場合はアウトソーシングを利用すると良いでしょう。
マニュアル化しやすい手続き関連や、給与計算などある程度経験が必要な業務についてはアウトソーシングを利用すると業務効率がアップする可能性があります。
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人事労務アウトソーシングのおすすめ5選!費用相場や外注先の選び方なども解説
給与計算アウトソーシングサービス10選!選び方のポイント5つも解説
採用
採用には、募集文面を考えたり、面談をしたりと様々な業務が含まれます。
求める人材を採用するには、最新の求人動向に合わせた採用活動も必要です。ノウハウがない場合、思うように進められない可能性があります。
時間がかかる採用活動を効率的に行うためにアウトソーシングを利用すると良いでしょう。
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経理
経理作業はバックオフィス業務の中でも特に専門性の高い業務です。
専門知識や経験が求められる場面も多く、人材の確保が難しかったり、人材育成に時間がかかったりしがちです。月末月初、期末など繫忙期には残業が多くなる場合も多いようです。
経理の専門家に一部だけでも任せれば、経理スタッフの負担軽減に繋がります。
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経理アウトソーシングの失敗しない使い方!メリット・デメリット、料金相場やおすすめ会社なども紹介
コール業務
コール業務もアウトソーシングに適した業務です。
営業活動のためのテレアポはまだまだ有効な手法です。しかし、100件架電して、実際にアポイントメントを獲得できるのは1,2件です。
コール業務は外部にアウトソーシングし、社内リソースはより大事な業務に回した方が効率が良いと言えるでしょう。
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情シス
社内のシステム関連の管理を行う情報システム部門の業務には専門性が求められます。パソコン、インターネットを使用しない企業は現在ではほぼないことから、セキュリティ対策などを行う情シスは必要な存在です。
専門性が求められるため、企業によっては、人材確保や育成が難しい場合もあります。そのため情シスもアウトソーシングするのに適した業務と言えるでしょう。
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情シス・社内SEを外注!メリット・デメリット、おすすめアウトソーシング先などを紹介
デザイン
デザインはスキルや経験が必要となる業務です。優秀なデザイナーは採用市場でも引く手あまたです。募集をかけても、求めるレベルのデザインが可能な人材から応募が来ないということも十分にあり得ます。
デザイナーの採用経験があまりなく、どんなデザイナーを採用したら良いのか採用の判断が難しいという場合もあるでしょう。
アウトソーシングなら、採用コストをかけることなく、ハイレベルなデザイナーに依頼できます。
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アウトソーシング先の選び方
数多くあるアウトソーシング会社の中から、何を基準に選定したら良いかポイントをご紹介します。
目的・予算を明確に
アウトソーシングを検討する場合、どの業務を委託するのか、予算はいくら必要なのかを明確にしておく必要があります。
予算を決めるには、その業務をアウトソーシングする費用の相場感も持っておくと良いでしょう。
- アウトソーシングの目的を明確にする
- 業務内容を整理する
- 予算を決める(相場・現在の人件費などから)
チェックポイント
アウトソーシング先を選ぶ際にチェックしておきたいポイントをご紹介します。
- アウトソーシングする業務の対応実績があるか
- 契約形態は準委任契約か、請負契約か
- 対応できない業務はあるか
- 費用対効果は見込めるか
- セキュリティ面で安心できるか
- 契約開始後のイメージができるか
契約前に疑問点は解消し、アウトソーシングを開始した後のイメージを持てるくらいにしておきましょう。
バックオフィスのアウトソーシングならオンラインアシスタントがおすすめ
アウトソーシングサービスには、経理専門、採用専門、コール専門など特定の専門分野に特化したサービスもあります。
規模の大きな会社で、特定部門の業務量が大きく、専門サービスに依頼するだけの費用対効果が見込める場合には専門サービスを利用するのが良いでしょう。
しかし、経理と採用、その他の事務作業にもできるだけアウトソーシングを利用して、自社スタッフの負担を減らしたいという場合もありますよね。そのような時には、ひとつの契約で様々な業務を依頼できるオンラインアシスタントがおすすめです。
例えばフジ子さんの場合、スケジュール調整などの秘書業務だけでなく、経理、採用、コール、WEB制作など専門知識が必要な分野にも対応可能です。
依頼する業務を絞る必要がないので、利用途中に新たな業務を依頼することもできます。
オンラインアシスタントについては以下の記事で詳しくご紹介しているので、ぜひご覧ください。
オンラインアシスタントとは?利用するメリット・デメリットから導入事例まで徹底解説
バックオフィスのアウトソーシング成功事例 フジ子さんお客様の声より
バックオフィス業務をフジ子さんにアウトソーシングした方々の声をご紹介します。
※リンク先のページ下部にお客様の声を掲載しています。まとめ
アウトソーシングは、業務効率化やコスト削減、人材不足という課題を解決する手段です。
マニュアル化できる仕事、専門性の必要なバックオフィス業務などをアウトソーシングすれば、自社スタッフの負担も軽減できるでしょう。
オンラインアシスタント フジ子さんは、バックオフィス業務全般をお手伝いしています。
オンラインアシスタントに興味をお持ちの場合は、ぜひフジ子さんにお問い合わせください